第179話 ソレイユVSアルマ

「決着!!準決勝第1試合、激闘の末に勝ったのは鬼灯蓮!!」


 おおおーーーーー!!!!


 リベリオンとのギルドバトルではサブマスター、ルーカスに判定戦の末に勝利を収めた郁斗。

 その郁斗に勝った蓮。これぞ鬼姫のギルドマスターと示す結果を残した。


 残念ながらギルドマスター決定戦のリベンジならずの郁斗だったが、意外と悔しそうじゃない。

 全力で戦った結果だ。それにこの負けは次に活かせばいい。もっと強くなれる。ブルーみたいに技術面はもっと磨く余地がある。


 ふう、何とか勝てたけど、絶空を使われてたら負けてたな。何で使わなかったのかな。条件が満たせてなかったとかかな。

 次はオリヴィアの準決勝第2試合だ。

 相手は準々決勝で莉菜に勝った生田目朔夜さん。

 ここで勝った方と決勝戦で当たるのか。

 オリヴィアが勝ち上がって来たらギルドマスター決定戦のリベンジになるのか。

 逆に生田目朔夜さんが勝ち上がってくるとソレイユが厄介だな。

 まあ、とりあえず俺は同じギルドの仲間だし、オリヴィアの応援かな。


「準々決勝ではまさかまさかの新入生代表トーナメント優勝者、姫島莉菜が敗北。そうして勝ち上がって来たのは生田目朔夜!!この白黒モノクロ学園学年別個人トーナメント1年生の部におけるダークホースの一角!それに対するはオリヴィア・ブラウン!どのようなバトルになるのか今から楽しみです!!」


『生田目朔夜VSオリヴィア・ブラウン バトルSTART』


「お願いね、ソレイユ!」


「お願いします、アルマ!」


 両者ともに1体目のモンスターは準々決勝と変わらず、ソレイユとアルマ。

 オリヴィアには莉菜が苦戦を強いたソレイユの防御をアルマでどう突破するのか。そこが勝敗を分ける鍵になるのは間違いない。


「ソレイユ、日輪の舞、巫女の祈り、神秘の輝き!」


「アルマ、エネルギー充填、デュアルショットモード、ダブルショット!」


 オリヴィアはソレイユの防御は魔法攻撃にのみ効果を発揮すると考えている。

 実際にマリンの魔法攻撃を尽くシャットアウトした。

 でも、エルナが合技で突破したみたいに超高火力の魔法攻撃なら突破は可能。

 だが、このスキルは強力すぎる。エルナが合技を使ってやっと突破では同ランクモンスターの突破は困難を極める。

 何かしらのデメリットが無いとおかしい。

 考えられるのは魔法攻撃の対極、物理攻撃には効果がない。つまり、魔法攻撃は防げても物理攻撃は防げない。

 もし、そう考えるならアルマの攻撃は全て物理攻撃扱い。デュアルショットモードだろうが、スナイパーモードだろうと全てが物理攻撃。

 ソレイユの天敵とも言えるモンスターの筈だった。


 しかし、いざ攻撃してみると見えない障壁に阻まれてアルマの攻撃は届かない。


「ソレイユ、灼熱の業火!」


「アルマ、飛んでください!」


「ソレイユ、灼熱の雨!」


 地を這うように灼熱の業火が迫って来るが、空を飛べるアルマはギリギリの所で回避に成功したが、更に上空から降り注ぐ灼熱の雨によって地に落ち、灼熱の業火に焼かれる。


「アルマ、リペア!」


「!回復量が増えてる」


 今のアルマのリペアのスキルLvは7。つまり、HPが700回復できる。

 僅かな違いでしかないが、この差は大きい。

 塵も積もれば山となるだ。

 だが、それでもマックスまでHPが回復していない。

 ソレイユの防御は物理攻撃には効果を発揮しないという読みも外れ、完全に手詰まり。


 ここで一度作戦をリセットして、考え直す。

 何故、物理攻撃が防がれたのか。

 舞い続ける以外のデメリット無しのスキルなのか。

 いや、それは違う。舞い続けることでバフを付与しているだけであの防御スキルは関係ない。

 何かしらのカラクリがある筈。

 見落としている可能性があるとすれば何か。

 まだマリン、エルナ、アルマと実践していないことは何か。

 そして一つの答えに辿り着く。

 物理攻撃でなく、遠距離攻撃を全て防ぐ。

 つまり、遠距離攻撃であれば、物理、魔法関係なく防げるのではないか。

 それなら試すことは一つ。


「アルマ、デュアルエッジモード、ダブルスラッシュ!!」


「!ソレイユ、灼熱の嵐!」


「アルマ、ミサイル発射!」


 地上付近を水平飛行していたが、灼熱の業火による嵐がアルマを近づけまいと抵抗する。

 逆噴射してそれを突破しようと試みているが、拮抗した状況を崩せない。

 そこで自身の後方にミサイルを発射し、その爆風を利用して突破。

 双剣の間合いにソレイユを捉えた!


 ダブルスラッシュは見えない障壁に当たることなくらソレイユを斬き裂き、日輪の舞は止められる。

 それでも神秘の輝きがによる対遠距離攻撃用の障壁が消えたわけじゃない。

 まだここで距離を取って立て直せれば、問題ないのだが、


「アルマ、トリプルスラッシュ!」


 アルマと距離が取れない。いや、取らせてもらえない。

 オリヴィアはここで一気にソレイユのHPを削り切り、倒すつもりでいる。

 距離を取られると面倒だから。


「ならソレイユ、赫灼からの紅蓮華!!」


 フィールド全体を光が包み込み、焼け焦がすと同時に真っ赤に染まり、灼熱の炎が吹き荒れる。

 その隙になんとかアルマから距離を取ることに成功する。


(アルマにはデュアルブレイクがある。まだ日輪は使えない。準々決勝と同じ過ちはしない)


(準々決勝でエルナに使おうとした日輪というスキルが気になります。デュアルブレイクをこちらが先に使わない限り、使ってこないでしょうか?)


「ソレイユ、日輪の祈祷、日輪の祝福!」


 日輪の祝福はソレイユに特定のスキルを強化するバフを、日輪の祝福はソレイユに継続回復を付与する。

 着々と準備は進んでいる。


「アルマ、ミサイル補填、ミサイル発射、エネルギースラッシュ、エネルギー解放、エネルギースラッシュ!!」


 オリヴィアがアルマにミサイル発射を指示したのは爆発でソレイユの視界を遮ることができるから。

 だが、最初数初はオリヴィアが思い描いた結果と全く同じだったが、途中で何かが割れるパリン!という音とともにソレイユにミサイルが当たった。

 これでソレイユを遠距離攻撃から守る障壁も消える。

 そして2連エネルギースラッシュによってソレイユのHPは5割を下回る。


「アルマ、エネルギー充填、デュアルショットモード、ダブルショット、トリプルショット!」


 ソレイユを遠距離攻撃から守る障壁が消えたことに気づいているオリヴィアはデュアルショットモードで一気に攻勢に出る。

 ここまでのダメージの入りからしてこれで倒せると判断し、デュアルブレイクは温存する。


「ソレイユ、日輪峠にちりんとうげ月輪がちりん!」


「!!まだ使っていないスキルが…」


 結果的にアルマの放った攻撃は何一つソレイユには届いていない。

 途中で全て霧散し、消えた。


 日輪峠の効果は少し複雑でオリヴィアがこのバトル中に理解することはないだろう。

 スキル名の通り、太陽が峠を迎えるスキル。

 これだけだと意味不明の効果だが、特定のスキルを使うことでとてつもない効果を発揮する。

 その特定のスキルが月輪と日輪。


 月輪は普通に使うと相手モンスターの既にクールタイムに入っている一部スキルのクールタイム延長だが、日輪峠を使用している場合、フィールド上のモンスターが使える全てのスキルをクールタイムに突入させる。

 その上、既にクールタイムに入っているスキルは全てリセットされ、再びクールタイムに入る。

 今回アルマの放った攻撃は強制的にクールタイムに入ったことの帳尻合わせが行われた結果、霧散して消えた。


 そして今、アルマは全てのスキルが使えないが、ソレイユには一つだけ使えるスキルがある。


「ソレイユ、日輪!」


 ソレイユの前に太陽のような灼熱の球体が現れ、アルマに向かって突き進む。

 躱そうと動き回るが、日輪峠の効果により日輪は必中攻撃となっている。

 どんなに頑張ったところで回避は不可能。

 7割近くあったアルマのHPはたった一撃で削り切られる。


『アルマ DOWN』

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