第167話 ブルーの状態と2回戦の結果

 俺は2回戦第2試合が終わったところで家に帰る。自分の部屋に入るとすぐにARゴーグルを装着してブルーたちを召喚する。

 いつもならプルプルしている筈のブルーがおとなしい。代わりにピヨピヨと元気に鳴く声は聞こえるけど。


「リーフィア、ブルーの調子はどう?」


「まだ本調子じゃありません。今日のバトルは出さなくて正解だったかと」


「うーん、そっか」


「ブルー、おいで」


 プル、プル、プルン、プルプル


 あ、ちゃんと甘えるくらいの元気はあるのか。よかった、よかった。よしよし、ブルーが元気になってくれないと明日は厳しいよな。


「ブルー、明日戦えそう?」


 プル、

 ピヨピヨ!ピヨ

 プル

 ピヨ!

 プルプル!


 んーとピナとブルーの間で何か話がまとまったのかな。リーフィア通訳して!


「主、どうやら大丈夫のようですよ。ブルーはピナにいいとこ見せようと張り切っています」


「そっか、よかった!じゃあ明日の蜆景虎くん戦の選出を考えよっか」


 ブルーはこのまま抱き抱えたままでいっか。俺の腕の中でいつも以上にプルプルしてる。

 ここ最近甘えることが少なくなってたし、偶にはいいかな。


「俺はカイゼルにはブルーを当てたいと考えてるんだけど、リーフィアとラグニア、あとピナはどう?」


「カイゼルの最も脅威なのはあの素早さと体の小さいところです。連続攻撃系のスキルは当たっても初撃のみで二撃目からは当たらないと考えるべきです。そうなると私はスキルが乏しいのでかなり厳しいです」


 グルグル、グルグルグルグルグル、グルグル

 ピヨピヨ、ピヨ


 うん、リーフィア通訳お願い。


「ラグニアはステータス差が気になると言っていますね。全体的にステータスで上を取られているのでは?そうなると決定打に欠けると」


「うん、確かにそうだ。攻撃が当たりさえすれば戦えるんだけどね。例えば、素早さが極端に低くてカウンター狙いの戦法を取る相手とかだとラグニアなんだけどな。さすがにカイゼル相手だと厳しいよね」


 グルグル


「リーフィア、ピナはなんて言ったの?」


「えっとブルーなら勝てる的なことです」


 ?何だろう。何か違和感を感じるけど、気の所為かな。とりあえず、当初の予定通りカイゼルにはブルーを当てるでよさそう。ブルーの調子が戻ってくれてホントに助かったよ。

 俺の腕の中で任せておけみたいな感じでプル、プルプルってしてる。

 うん、ピナが盛大にはしゃぐだけだからもう辞めようね。うん、えらい、えらい。


 よし、問題は次。ブレイドとのバトルだ。


「ブルーの選出は確定したわけだけど、まだブレイド戦をどうするかが残ってる。我こそはっていう希望とかある?」


 ピヨ!ピヨピヨ!

 プル、プルプル

 ピヨ…


 ああ、ごめん。ピナにはまだ早いかな。

 ブルーがいい感じに説得してくれたのかな。面倒見がいいな。


 それはそうとリーフィアとラグニアはどうなの?

 何か話しているみたいだから少し待とうかな。



 待つこと10分と少し


「主、ブレイドは私が倒します!」


「うん、わかった。頼んだよ、リーフィア」


「はい」


 リーフィアとラグニアの間にどういった会話があったのかまではわからないけど、バトルを見ているリーフィアが倒すと言った。ならそれを信じるだけだ。


「主、少しブルーをお借りします」


「うん、俺はいいけど…」


 ブルーがいいかはわからないよって言おうとしたらブルーがすんなりプルンと俺の腕の中から飛び出てリーフィアの元に向かった。




 これが成長というやつなのか!




 ピナがピヨと寂しそうにしてるけど、ラグニアが残ってピナの遊び相手をしてくれるみたい。

 直ぐに元気よくピヨ!って鳴くようになった。

 何して遊ぶのかと思いきや、遊んでいるわけではなさそう。雰囲気的にラグニアがピナに何かを教えてるって感じだ。


 しばらく様子を見守るとラグニアがピナに毛繕いの方法を教えているとわかった。

 ピナが方足を上げてマネしようとしたらバランスを崩して倒れた。直ぐにラグニアが起こしてくれたけど、なんか今にも泣きそう。


 その後、泣くのを堪えて30分ほど奮闘したらピナもバランスが上手く取れるようになってラグニアに教わった毛繕いができるようになっていた。

 少し前までいつ泣いてもおかしくなかったけど、できるようになってからはすっかり元気だ。

 いつも以上にピヨピヨ鳴いている。


 このタイミングでちょうどブルーとリーフィアが戻ってきた。

 戻ってきたブルーを見るなり、ピヨピヨと走っていくピナは可愛かった。ラグニアも満足気な顔をしている。

 そしていつも通りのブルーとピナの戯れが始まった。




 翌日、念の為にブルーのステータスを確認するけど、空白スキルはそのまま。

 どんなスキルなのかもよくわかっていないし、そもそも使える状態にないからこれは一度頭から除外した方がいいかな。

 うーん、でもな。ロザリアさんたちがわざわざ俺にくれたスキルだしな。無下にはできない。

 …頭の片隅にだけ置いておこう。



 学園に着いたら郁斗たちに昨日の2回戦第3試合以降の結果と内容を聞いた。



 2回戦第3試合、藤森翔くんと星宮聡龍くんのバトル。

 かなりいい勝負だったとか。

 ダークエルフ対決は星宮聡龍くんが制したけど、藤森翔くんのレックスが早々に取り戻し、状況はイーブンに。

 そこからが特にすごかったらしい。

 なんと最後は星宮聡龍くんが勝利だったとか。

 つまり、レックスがそれだけ押していたということだ。


 星宮聡龍くんの2体目はガイアという名前の人類種らしい。バトルを見た郁斗たちがリーフィアと戦い方がどことなく似ていたとか。闇属性のスキルじゃなくて光属性のスキルを使っていたらしいけど。

 リーフィアに似ているってことは騎士系のモンスターなのかな。うーん、それにしても光属性が使える騎士か。覚えがあるな。うん、かなり苦戦した。



 2回戦第4試合は郁斗と秦陽葵さんのバトル。

 結果だけ見ると郁斗の圧勝だとか。ネメア1体で2体抜きを果たしたみたい。

 ただ、1回戦では見せなかった秦陽葵さんの2体目にはかなり苦戦を強いられたみたい。

 2体目のモンスターはかなり珍しい人類種のモンスターで郁斗は怪盗じゃないかと予想している。

 ネメアのスキルが幾つかバトル中のみだけど、盗まれて大変だったとか。

 その話を聞いた時、思ったんだけど、まだ未発見の大罪種強欲のモンスターが現れたらそんな感じでバトル中に相手モンスターのスキルを盗めたりするのかな。

 まあ盗まれるとかなり困るけど、盗む側も使いこなせないからあまり意味ない。普通に戦えるなら盗むだけ盗んでとかもありか。



 2回戦第5試合、莉菜と鈴木岑守さんのバトル。

 一言で言うならマリン無双だったらしい。

 まあ、容易に想像できるけど。


 2回戦第6試合は椎名伊織くんと青天目朔夜さんのバトル。

 こちらは第5試合を彷彿とさせるソレイユ無双があったらしい。

 まだ2体目のモンスターを見せていない。

 どうやってマリンと戦うのか早く見てみたいな。


 2回戦第7試合、葵美夏萌さんと神木怜苑くんのバトル。

 2人の1回戦を見た感じ、かなりの激戦になると思ったけど、そうでもなかったみたい。

 あの雪だるま、クレアという名前のモンスターがかなり強いみたいだ。忍者以上に神出鬼没だとか。


 そして最後の御影勝くんとオリヴィアの2回戦第8試合はカーラ無双だったらしい。

 影の中に潜るシャルも空を飛び、ナイトメアによる必中攻撃だけで戦われたら何もできなかったらしい。

 2体目のモンスターも空は飛べないらしく、可哀想になるレベルで一方的だったとか。




 やはりと言うべきかな。

 準々決勝は鬼姫とダークホースと呼ばれている4人がそれぞれ当たる。

 その最初が俺と蜆景虎くんのバトル。

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