第166話 こんなに強いの!?
いよいよ2回戦が始まる。相手の大津優奈さんは強いけど、勝てない相手じゃない。
勝って、明日の準々決勝以降も戦うんだ!
『鬼灯蓮VS大津優奈 バトルSTART』
「出でよ、リーフィア!」
「来て、ミーシャ!」
やっぱり選出をずらしてきた。俺はブルーを選出するつもりなかったけど、大津優奈さんからすると可能性は低くても考慮せざるを得ない。
そうなると最も安牌な選出かな。でも、やっぱり気になるな。本当に空を飛べる相手に攻撃する手段が無いのか。隠しているだけの可能性もあるよな。
「リーフィア、空駆!」
「ミーシャ、こっちも空駆!」
「!!」
そうか!そういうことか。大津優奈さんのもう1体のモンスターが恐らくグリフォンのグリン。グリフォンなら空駆を取得する。そしてミーシャが空駆を使えるってことはコピースキルを持っている可能性がある。俺もラグニアに同じことして空駆を使えるようにしてるし。
「ミーシャ、双爪乱舞・
「リーフィア、騎士王の風刃閃!」
すっごく滅茶苦茶な攻撃!もうとにかく攻撃あるのみって感じだ。猪突猛進にも程があるでしょ!
出鱈目な攻撃すぎてリーフィアも逆に動きが読めず、戦いづらそうにしている。
「そこ!ミーシャ、激流爪!」
ガードをこじ開けられ、そこを的確なタイミングで突く。ミーシャの攻撃が決まったように見えたが、リーフィアのHPが一切減っていない。
先ほどまでの滅茶苦茶な攻撃を続けられるとお手上げだったが、単発の攻撃なら読める。
多少、体勢が崩れていようと空中なので逃げる先は四方八方にある。
今回はカードを崩されるのどほぼ同時に空駆を解除し、攻撃を受けた勢いで後方に倒れつつ、ゆっくりと落下していた。
もちろん、すぐに空駆を再発動して体勢を立て直し、大振りの攻撃で隙だらけのミーシャに風薙ぎによるカウンターをお見舞いしている。
もう少し、愚直に同じ攻撃を続けられる方がリーフィアにとっては嫌だったので、相手に助けられた形だ。
それでも闇属性が付与されている一撃与えたことに変わりない。
「リーフィア、常薙の剣!」
「ミーシャ、
常薙の剣を使った後の僅かな隙を突かれた。最初からリーフィア相手にノーダメージで勝つのは不可能と割り切って常薙の剣を狙ってた?じゃないとあのタイミングでの反撃は説明できない。
不用意には使えなくなったけど、ミーシャには遠距離攻撃が無い。
距離をしっかりと取ってから使えば問題ないけど、今のスキルはヤバいな。
闇の盾でのガードが間に合ったけど、それでも3割近いダメージが入ってる。一撃がとてつもなく重い。
ならここは、
「リーフィア、距離を取って天空斬り!」
「ミーシャ、距離を取らせちゃダメ!」
リーフィアも俺と同じ考えに至っていたから動き出しがミーシャより少しだけ早かった。そのおかげで上手く距離を取ることに成功し、距離を詰めようとするミーシャを天空斬りで抑えられている。
連続で何回でも斬撃を飛ばすことができる天空斬りを前にミーシャは距離を詰めることができず、HPが0になる。
『ミーシャ DOWN』
「天を舞え、グリン!」
間髪入れずに大津優奈さんはグリンを召喚する。リーフィアのスキルがクールタイムから明ける前に決着つけたいという考えが筒抜けだ。
それがわかっていて同じ土俵で戦う必要は無い。俺はゆっくりテンポを落として戦えばいい。
「グリン、メガサンダー、サンダーランス!」
「リーフィア、常薙の盾!」
「うっ!」
常薙の盾で魔法攻撃を防ぐことでグリンにデバフ・状態異常を付与することに成功。
こっちはゆっくり時間を稼ぎながら戦うつもりだから今は待ちだ。
「グリン、サンダーブレイク!」
「リーフィア、ダークスラッシュ!」
ちゃんと距離を保ったまま対応ができているからグリンは攻め手に欠けている状況。
常薙の剣や状態異常によるスリップダメージなどで少しずつダメージを与えられている。
そうこうしている内に天空斬りがクールタイムから明けて、バトルは一方的な展開となる。
やがて、グリンは使える攻撃スキルが全てクールタイムに入り、打つ手無しに。
この時点で勝負あったも同然。
『グリン DOWN』
ジリジリと追い詰められたグリンが先に倒れ、バトル終了。
2回戦第1試合は鬼灯蓮の勝利で終わった。
続いて行われる2回戦第2試合は今日唯一のCランク同士のバトル。
これはさっき知ったことだけど、Cランク同士のバトルでは全ステータスマイナス20のハンデは消えるみたい。
まあ、ランクが同じならハンデとかあってもなくてもそこまで変わらないしね。
辻峰くんと蜆景虎くんのバトル。辻峰くんには悪いけど、たぶん蜆景虎くんが勝つ。
だから俺は蜆景虎くんのバトルをしっかりと見て、分析しないといけない。
辻峰くん、蜆景虎くんと1体目は1回戦と変わらず、ゴーレムのゴーレンとワイバーンのブレイド。
ゴーレンには遠距離攻撃の手段が無いから普通なら魔法とかで攻撃すればいいのに、蜆景虎くんは敢えて相手の土俵で戦っている。
真正面からの殴り合い。と言ってもブレイドは剣のような鋭い刃の尻尾で応戦しているけど。
手数は2本の腕で攻撃できるゴーレンが勝っている。尻尾だけで応戦するのはさすがに無謀じゃと思ったら案の定、攻撃パターンを変えた。
ブレイドがブレスをゼロ距離で放つ。ゴーレンが怯んだ隙に尻尾で滅多斬り。
それでもゴーレンはタフネスさを遺憾なく発揮して、まだHPを7割近く残している。
その後も蜆景虎は謎の拘りを持ち続けて距離を取っての遠距離攻撃は一切行わなかった。
最後、辻峰くんはゴーレンでブレイドに勝つのは無理と判断したのか、ゼロ距離で自爆した。
アルマの使うエネルギー大噴出とは違って、本当の意味での自爆。
使えば最後、必ず倒れるがそれに見合った威力のスキル。
さすがのブレイドもゼロ距離で自爆に巻き込まれたらひとたまりもなかった。
ゴーレンとブレイドのバトルは両モンスター相打ちという結果に終わる。
遂に蜆景虎くんのエースモンスター、カイゼルが登場する。
ただの白い子猫にしか見えないけど、強力な土属性の魔法に物理攻撃を兼ね備えた上、防御面でもかなりタフ。全体的にステータスが高水準のモンスター。ちなみにカイゼルの種族がなんなのか未だにわかっていない。これだけ強いのに心当たりがない。調べてもわからない。シグマさんは新種族じゃないかって言ってたな。
そのカイゼルに対するのは辻峰誠くんのエースモンスター、ジャイコス。火属性の魔法が使えるようになっていて、物理攻撃でも火属性が付与されていることが多い。もしかしたら火属性付与のスキルを持っているかも。
魔法攻撃力がやや低く感じるけど、それ以外のステータスはかなり高い。
あのウィリアムくんですらカイゼルと正面から戦ったら勝てないと思わせたモンスターだけど、ジャイコスが相手なら手の内を温存とかも厳しい筈。
ここで全て曝け出してくれると助かるなとかこの時は思ってたけど、俺はカイゼルを甘く見ていた。
なんとカイゼルはHPを減らすことなく、ジャイコスを圧倒した。
これには激闘を期待し、盛り上がっていた観客も静まり返った。
子猫という体の小ささを利用したあの動き。そこに速さもあるから巨人のジャイコスからすると戦いづらいのか。
ジャイコスの攻撃は全て的外れなところへ飛んでいき、カイゼルの攻撃はジャイコスを直撃する。
体が大きいとその分、的になるけど、ここまで一方的な展開になるとは。
根本的にカイゼル相手にどう攻撃を当てるか。そこか重要になってくるな。
郁斗たちには悪いけど、今日はもう帰ろう。明日の準々決勝までにブレイドとカイゼルとどう戦うか作戦を考えないといけないし、ブルーの状態も気になる。
もし、ブルーが戦える状態になかったらラグニアとリーフィアで戦う必要がある。それならそれで作戦が必要になるし、帰ったらすぐにブルーの状態を見極めないと!
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