第165話 残りの1回戦
次は1回戦第8試合、郁斗と幕下一平くんのバトル。
郁斗の1体目はネメアか。ギルドバトルからどれだけ強くなったのかな。
幕下一平くんの1体目は牛と鬼が融合したようなモンスター、名前はギューモ。恐らく牛鬼だ。
鋭い爪の六本脚牛で牛のような見た目で鬼の角が頭から生えている。間違いないと思う。
だとすると、妖怪種のモンスターになるけど、妖気解放は使えるのかな。
ネメアは安定のゴーストタウンを展開し、デスサイズで大鎌を顕現。
ギューモはそれを黙って見ている。なんか嫌な間だな。何もできないじゃなくて
実際に対面している郁斗とネメアはそれをもっと強く感じ取っているだろう。
この状況で先に動いたのは郁斗とネメアだ。
ブラックホールを使い、なんとギューモを吸い込もうとしている。いや、引き寄せているが正しいのか。ブラックホールの手前に大鎌を構えているネメアが待機している。狙いは明らか。どう対応するのか見るのが目的かな。
すると、ギューモの背中から昆虫?の羽らしきものが出てきて飛ぼうと試みるが、ブラックホールの吸引力の方が強い。これに幕下一平くんは驚きを隠せていないってことはこれで脱出できると考えていたわけか。
よほどの力自慢モンスターなのかな。でも、これで郁斗の負けは薄いかな。
リベリオンとのギルドバトル第5試合、ルーカスくんと郁斗のバトルを見た上でこの対応。
ちょっと郁斗を侮りすぎだ。
バトルはそこから完全に郁斗の手のひらの上って感じで進む。
幕下一平くんはブラックホールを使われた時の対応を見誤った。ネメアはブラックホールの前で待ち構えているわけだし、吸い込まれるという特性を活かして魔法とか叩き込めばよかった。
使えないなら仕方ないけど、後々に普通に魔法を使ってる。使い時を間違えたら有効打にはならない。
それにゴーストタウンを展開中のネメアに一番やってはいけないこともやった。
あれじゃあ相手が郁斗じゃなくても本戦で勝つのは厳しいよ。
まさか、状態異常付与効果を持つ攻撃をするとは。大方、郁斗に流れを持っていかれてからどうにかしないとって焦って状態異常に縋ろうとしたってとこかな。
まあそれが裏目って、ギューモに返ってるけど。
ダークサイズがギリギリ躱されデバフ・状態異常付与ができていなかった郁斗としてはありがたいだろうな。これでグリムリーパーの威力が上がる。
こうして呆気なくギューモはネメアに倒される。
妖気解放が使えたら状況は大きく異なったかなとも一度考えたけど、あの戦い方じゃ妖気解放を活かしきれないという結論に至った。
幕下一平くんの2体目は人類種のドワーフ、名前はドルル。
登場と同時にネメアのデスサイズのようなスキルで自身の身の丈ほども戦槌を召喚した。
あれだけ大きい戦槌となると防御よりも攻撃に特化しているのかな。
ドワーフって攻撃よりも防御のイメージがあるけど、これも絶対じゃないからな。
例えば、弓と魔法に特化しているエルフに剣と盾を装備させて近接戦に特化した魔法剣士的なモンスターに育て上げた人もいる。
だからドルルも攻撃特化で育成に成功しているのかもしれない。
結果だけ言うと弱くはない。ドルルは正直、持てる力の全てをしっかりと発揮すれば強いモンスターだ。
ただ、ドルルに力を幕下一平くんが引き出せていない。
これは幕下一平くんが悪いとかそういう話じゃなく、ドルルの力を引き出そうと思うならウィリアムくんと同等かそれ以上に鋭い観察眼や柔軟な発想などが要求される。
正直、俺にもドルルの力を引き出すのは無理だな。未来予知じみた先読みができないとあそこまで素早さが低いモンスターで戦うのは厳しい。特にネメアは影渡りが使える分、相性は最悪だった。
そんな状態でもネメアをあと一歩の所まで追い詰めるとは末恐ろしい。
まあ郁斗が1回戦を無事に突破できたことを今は喜ぼう!
続いて1回戦第9試合、莉菜と
こっちは莉菜が相手を瞬殺した。
と言ってもマリンの覆海対策を何一つ用意していなかったみたいだし、無理もない。
相澤利香さんのモンスターは一般種最強の恐竜、プテラノドンのプテチとトリケラトプスのトプスの2体。
2体ともしっかりと育成されているのは見てわかった。それ故にマリンの覆海対策が講じずらかったのだろう。
空、地上の両方に対応できるようそれぞれ特化した育成をしていた。でも、唯一海に対応したモンスターがいない。
プテチは深海への誘いで早々に飛行が封じられ、為す術なく退場。トプスは浮力により上手く動けないところを遠距離から魔法で滅多打ちにされた。
実力をほとんど発揮できないまま負ける。
この為だけにモンスターの育成方針を曲げるのを嫌った結果だろうけど、これは相澤利香さんが可哀想になったよ。
次の第10試合は
鈴木岑守さんは俺が新入生代表トーナメントの本戦2回戦でバトルした相手。
今でもよく覚えてる。ブルーが回復魔法を使えなかったら負けてたであろう相手。
予選でのバトルが見れてないけど、ハイオーガがどんな風に進化したのか楽しみだ。
玉城咲良さんの1体目はポチという名前の犬?
鈴木岑守さんの1体目は銀色の獅子だ。名前はシルベール。
よくわからないモンスター同士のバトルが始まる。
バトルが始まってみると、普通に強かった。
お互いに魔法適正が無いのか物理攻撃のみで攻める。
ポチは攻撃力や防御力よりも素早さにステータスを振ってそうだな。
逆にシルベールは防御力に特化していそう。
攻撃力と素早さをある程度犠牲にして長期戦を前提とした戦い方をしている。
ポチの攻撃力じゃシルベールの防御力の前に全然ダメージを与えられていない。
徐々にポチの速さに慣れてきたのかシルベールの攻撃がポチを捉え始める。
速さで相手を翻弄できないなら他の手を考えないといけないけど、ポチにはそれしかないみたい。
ポチが先に倒され、玉城咲良さんの2体目は人類種のハーピィのパネ。
シルベールには空を飛ぶ相手への攻撃手段が無いみたいで早々に倒される。
バトルがイーブンになったところで鈴木岑守さんは茶色のオーガ、オルグを召喚する。
こういう時、飛行封じのスキルがあると便利だけど、そうホイホイと取得するスキルじゃないし、厳しいかとか思ってたら予想外の方法で戦い始めた。
土属性の魔法かスキルで地面の一部分を隆起させて間合いにパネを捉え、ラッシュガンを決める。
パネを地面に叩き落としたら隆起した地面から飛び降り、後を追い追撃を仕掛ける。
オルグの足が地面から離れ、空中にいる今がチャンスと捉えたか、魔法で集中攻撃をする。
それを避けるとかせずに正面から受け止めることで視線を自身へと釘付けにしたオルグは気づかれないように地面を操作してパネの足を地面で固めて拘束し、飛べないようにした。
この時点で勝負はあったも同然。
結果は鈴木岑守さんが勝った。
第11試合、
1体目から激しい空中戦が繰り広げられたが、素早さで勝る椎名伊織くんのモンスター、コランが空中戦を制した。
山口奈那さんの2体目は魔法適性を持っていないモンスターみたいでコランの独壇場となっていた。
結果、椎名伊織くんの勝利。
第12試合は
まさかまさかの瞬殺だった。開始とほぼ同時に青天目朔夜さんの1体目、ソレイユが火属性の全体攻撃魔法で一撃必殺を成し遂げた。
皆川くんも最後まで諦めることなく、頑張ったが、実力の差は明白。
最後は地力勝負となり、ソレイユに軍配が上がった。
結果、青天目朔夜さんの勝利。
第13試合は
今まで見たどのバトルよりも幻想的だった。
フィールド展開スキルだろうけど、氷の世界を展開するとは。一見ただの雪だるまにしか見えなかったけど、水属性の派生属性である氷属性を巧みに使いこなしていた。
派生属性の取得ってランダムスキルの書以外で取得させるのはかなり難易度が高いし、育成面ではかなり苦労しただろうことがバトルを通して伝わってきた。
結果、葵美夏萌さんの勝利。
第14試合は
沢田一樹くんの1体目は人類種なのかな?ワーウルフというかワータイガーだし、一般種?それとも幻想種?
強いんだろうけど、あれは相性が最悪だったな。
神木怜苑さんの1体目は人類種の忍者。変わり身の術とかで相手の攻撃を上手く躱して、隙ができたらそこを的確に突き攻撃。
神木怜苑さんの戦い方が上手いのもあったけど、沢田一樹くんはもう少し育成面をどうにかした方がいいかも。2体目は空を飛べたんだから近接戦に拘らずに遠距離から攻撃できるように育成していたらまた違う展開になってただろうに。
結果、神木怜苑さんの勝利。
第15試合は
ここはちょっと予想外だったな。
御影勝くんの1体目、黒狼のシャルは影に潜伏することができるモンスター。そして影の中から攻撃することも可能。
相手モンスターの影に潜伏し続け、そこから一方的に攻撃を加える。なんの対策も用意せずにバトルしたら嵌められて終わるな。
桂寧音さんはトーナメント運が悪かった。
結果、御影勝くんの勝利。
最後、第16試合は
平安名亘くんの1体目は昆虫系のモンスター、名前はビート。
クワガタとカブトムシを融合させたような見た目で強力な風属性魔法と物理攻撃が特徴だったけど、アルマの手数の多さの前に敗れた。
2体目はアンデットモンスターのリッチ、名前はリリ。リペアでコツコツ回復するアルマを倒せたのはすごかったけど、魔法斬りを完全に会得したカーラの前に手も足も出ずに負けた。
カーラの場合、槍を使っているから正確には魔法穿ちとかだと思うけど、何故か魔法斬りが正式名称になりつつある。
結果、オリヴィアの勝利。
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