第147話 第4試合決着!!
「顕現せよ、ノワール!」
「頼んだぞ、ドランバード!」
バトルフィールドに2体の竜が召喚される。
ドランバードは竜人というべきか、人に近い姿形をしているが、ノワールは西洋の竜といった感じで大きさは3、4メートルくらいだ。
ドランバードがノワールを倒せば、ギルドバトルは鬼姫の勝ち。
ノワールがドランバードを倒せば、ギルドバトルは第5試合にまでもつれ込む。
2体の竜は召喚されるも一切動かない。
相手の出方を窺っているのか。
少なくともロザリアとノワールは薫とドランバードの出方を窺っている。
だが、薫とドランバードは違う。
アルバスが最後に発動した怠惰な道連れの効果がノワールに適用されているのかを確認している。
本来なら新たに召喚されたノワールに強力なデバフや状態異常が付与されるのだが、それは確認できない。
つまり、デバフ・状態異常無効スキルをデフォルトで取得している竜には効かないことが判明した。
まあ、これ自体は想定の範囲内だから薫にとってそこまで問題じゃない。
「ドランバード、竜爪拳!」
「ノワール、ダークネスフィスト!」
沈黙を破ったのは薫とドランバード。
背中の翼をバサッと広げ、空を駆けノワールに突っ込む。
拳には拳と言いたいのか正面から殴り返すことで迎撃を試みるが、2体とも後方に弾き飛ばされる。
「ノワール、ダークネスブレス!」
「ドランバード、アクアブレス!」
「ノワール、ダークネスノヴァ!」
「ドランバード、水竜爪・滅、水竜爪・破!」
「ノワール、ブラックスター!」
ブレスをブレスで相殺された直後にダークネスノヴァによる全体攻撃。
バトルフィールド全体が闇に染まるが、コンボスキルの水竜爪の滅と破で相殺したするが、次の瞬間、遙か上空から降り注ぐ隕石は防げなかった。
数多の隕石がドランバードに引き寄せられているかのようにピンポイントで落ちる。
かなりのダメージが入ったかのように思えたが、実際はロザリアが思っていたほどでは無かった。
(何かしらの防御スキルを使われた?それとも攻撃して威力を削った?わからない、どっち?)
今、ドランバードが使ったのは
目に見えないオーラを纏って防御力を高る。
一見無防備に攻撃を受けたように見えたが、実際にはしっかりと防御スキルを使っていた。
「やっぱり強い。薫となら本気で戦える。ノワール、ドラゴンフォース!」
「そう来るか。ならこっちもだ。ドランバード、ドラゴンフォース!」
ドラゴンフォースは竜専用スキル。
デメリット無しで大幅に自身を強化できる。
具体的には全ステータス2倍、クールタイム半減。
竜同士のバトルでドラゴンフォースを使うメリットはそこまで無い。
ステータスは両方ともに2倍になるから大した差は生まれない。
強いてメリットを言うならクールタイムが半減になるところ。
それくらいだが、それでもロザリアはドラゴンフォースを使った。
「ノワール、ダークネスブレイク!」
「ドランバード、アクアブレイク、竜爪拳!」
「ノワール、ダークネスクロー!」
一進一退の激しい攻防が続く。
クールタイムが半減しているからスキルの回転率も早い。
それでも与えるダメージは微々たるもの。
未だに神技を使わないのはタイミングを見計らっているから。
こういうバトルは神技をどのタイミングで使うかが重要になってくる。
「ドランバード、水竜爪・滅、水竜爪・破、水竜爪・絶!」
「ノワール、ブラックラグナロク!」
水竜爪のコンボスキルに対して全体攻撃のブラックラグナロクで応戦する。
薫は今までバトルで水竜爪のコンボスキルは滅と破の二つしか見せたことが無かったが、ここにきて三つ目の絶を使う。
それだけロザリアとノワールが強いということ。
フィールドがノワールを中心に徐々に暗くなっていく。いや、闇に染まっている。
この闇に触れたらそれだけで大ダメージを負う。
普通の攻撃では相殺するのも不可能だと薫は直感でわかった。
このままでは水竜爪のコンボスキルでも相殺どころか威力を殺すことすら不可能だと。
「ドランバード、竜闘気解放!」
突如としてドランバードは青色のオーラを纏い始める。
すると普通なら防御不可能のブラックラグナロクを水竜爪のコンボスキルで相殺した。
そして、
「水竜爪・極!」
四つ目の水竜爪のコンボスキル、極。
コンボスキルは決められた順番に使い、攻撃すると威力が跳ね上がる。
既に滅、破、絶の順で使っている。
まさかブラックラグナロクが相殺されると思っていなかったこともあり、水竜爪・極はノワールに直撃する。
ドランバードVSノワール、初めてまともなダメージが今入った。
ここまでハイレベルなバトルを繰り広げてきた分、このダメージは大きくのしかかる筈だった。
「それ、長く持たないでしょ?」
ロザリアからの指摘。
顔には一切出していないが、竜闘気解放はドラゴンフォースと違い、制限時間がある。
その上、効果切れと同時にドランバードのステータスが本来の半分にまで下がる極大のデメリット付き。
この指摘に薫は内心かなり焦っている。
元々使う予定の無かった竜闘気解放を使わされた上に長時間は使えないことが早々に見抜かれた。
ノワールにそれなりのダメージは与えたもののそれ以上に薫とドランバードには見えない何かがのしかかっていた。
かと言って焦ってプレイングのミスでもしたら元も子もないが、慎重に戦って勝てるような生ぬるい相手じゃない。
攻め時を間違えたら負ける。
そう肝に銘じるのだった。
「ドランバード、仙竜爪・絶!」
「ノワール、ブラックテンペスト!」
青いオーラを纏ったドランバードの竜爪と漆黒の嵐がぶつかる。
壮絶な嵐の中を仙竜爪で掻い潜りながら進む。
やがて嵐を抜けるとその先にノワールは……いない。
嵐を抜け、反撃される前に攻撃しようと考えていた分、何が何だか目の前の光景を理解できなかった。
そして理解した時には既に遅かった。
ブラックテンペストはただの目眩し。
※ドランバード級のモンスターなら目眩しにしかならないだけで普通のモンスターなら十分に脅威となります。
実際にブラックスターやブラックラグナロクと比べると攻撃力も大したことなく、ドランバードにダメージを与えられるとはロザリア自身考えていない。
それでもブラックスターやブラックラグナロクを見た後では同系統のスキルと判断して当然、警戒する。
その罠に引っかかった。
「今、神技・ビッグバンノヴァ!」
(ヤバい、躱せない。なら仙竜爪・天で、いや無理だ。神技は防ぎ切れない。使っても一撃でHPが持っていかれる)
完全に虚をつかれた。
このタイミングで真上から神技による広範囲攻撃。
これを防ぐ術をドランバードは持っていない。
神技は神技で防ぐのが定石。
しかし、ドランバードの神技は多少のタメを必要とする。
この局面では間に合わない。
この瞬間、受け入れざるを得なかった。
敗北を。
『ドランバード DOWN』
―――――――――――――――――――
鬼姫VSリベリオンのギルドバトルの2年前
負けた!また負けた!何で勝てない!
明日から俺はあの
こんなとこでつまづいてる訳にはいかないのに。
「はじめまして!僕は野田龍介。君は?」
「生保内薫」
「よろしく!薫」
「……」
「?どうした?僕の顔に何か付いてる?」
それから龍介と一緒にダンジョンに挑戦するようになった。
そして新入生代表トーナメントで俺は優勝してしまった。
そう、龍介の
そのせいで龍介は学園、学園外問わずあまり評価が高くない。
龍介は俺に付き合ってくれた。そのせいで龍介はEランク昇格が間に合わなかった。
俺は気まずくて龍介から距離を置いた。
新入生代表トーナメント、タッグEトーナメントと両方とも優勝したから俺は余計に注目を集めることとなった。
これは本来俺じゃなく龍介が集める筈だった。
それならしばらくして俺は伸び悩んだ。
その時、『追憶の回廊』への挑戦を勧められた。
そして夏休みの常夏の
この時、2年の柊琴音先輩。
初めて顔合わせをした時はのほほんとしててお気楽な人だと思ったし、仲良くするつもりなんて無かった。
でも、バトルを見て俺の抱いていた印象は大きく変わった。
最終日には何とか連絡先を教えてもらえた。
後で教えてくれたことだけど、クソ生意気な後輩だし、連絡先教えるのヤダな〜とか思ってたらしい。
月日は経ち、年度末の学年別個人トーナメントで遂に世間が龍介に気づいた。
龍介は準々決勝で俺に負けたけど、唯一俺と互角のバトルを繰り広げた。
トーナメント運が悪かっただけで実力は間違いなく、俺たちの代では1、2を争うレベルだ。
それから俺はもっと強くなりたいという一心で琴音先輩にいろいろとアドバイスをもらったりした。
――――――――――――
後書き失礼します。
今朝、サイドストーリー郁斗編 第2話を近況ノートに投稿しました。
サポーター限定で下記リンクから読めます!
https://kakuyomu.jp/users/Yumaku00/news/16818093083759408787
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