第133話 空中激突!!
第1試合 オリヴィアVSウィリアムが決まった直後のリベリオン控え室にて
「読みが外れたな、ロザリア」
「うん。でも、これで一つわかった。選出は薫がしている訳じゃない」
ロザリアに問いかけたルーカスを含めて頭の中に?を思い浮かべている。
鬼姫は第1試合に姫島莉菜を出してくると判断して比較的相性の良いウィリアムを選出したが、実際はオリヴィアが相手。
幸先の悪いスタートとなったことは否めない。
「大丈夫。これも私の想定の範囲内だから。ただ、莉菜の方が可能性が高いと判断しただけ。薫が選出しているなら莉菜が、蓮もしくは話し合いで選出しているならオリヴィアが来る。だからこちらはウィリアムを出すの」
「それって僕ならあの2人に勝てるって信頼してもらえてるってこと?ロザリアにそこまで信頼してもらえてるのは嬉しいよ。でも、やっぱさ、確実に1勝取るならルーカスを出すべきだったんじゃない?」
「ウィリアム、その話はもう終わったことでしょう?今更、蒸し返さないでよ」
「ユリア、大事なことだよ。ロザリアを除けば、ルーカスが一番強い。それは君もよくわかっているだろう?僕が何を言いたいかも」
「……それは、」
「そうね。私もウィリアムに賛成。私はそもそも第1試合はルーカスが出るべきだって主張し続けてた訳だし。実際にルーカスも第1試合に出るつもりでいた。それを莉菜との相性を理由にロザリアがウィリアムを選出した。でも、実際に莉菜は選出されていないし、想定の範囲内とか。納得のいく説明をして、ロザリア」
「このギルドバトルに勝つ為。鬼姫には1人だけルーカスじゃないと勝てない相手がいる。第1試合には出てこないと私は判断しただけ」
「「「「!!??」」」
シャーロットからの質問に対するロザリアから衝撃の発言。
ルーカスじゃないと勝てない、そうロザリアは断言した。
つまりはそれに値する根拠が存在するということ。
「誰なんだ?」
「それは言えない。みんなに変な先入観は与えたくない。でも、私はフランスで偶然、
「…わかった」
ロザリアの目を見れば、本気かどうかすぐにわかる。
この目は本気でそう考えている。
彼、意図してか、それとも偶然にも口が滑っただけか、候補は2人に絞られた。
ギルドマスターの鬼灯蓮と二階堂郁斗の2人に。
この時、4人の中ではどちらがロザリアの言う彼なのか見当が付いていた。
フランス、偶然にもバトルを見た。この二つの要素から1人に絞られる。
4人ともロザリアを信頼している。
だからこそ、これ以上は何も聞かずにすんなりと受け入れた。
それが俄に信じ難いことでも。
リベリオンの補佐を任されている男は終始一貫してこの話には介入しなかった。
ただ、この場にいるだけ。
「さあ、待ちに待ったこの時がやって来ました!第1試合を戦う2人のプレイヤーの入場です!まずは東側、鬼姫からオリヴィア・ブラウン!!!そして西側、対するリベリオンからウィリアム・キング!!!」
盛大な歓声に包まれながらバトルステージへと入場する2人のプレイヤー。
その顔には緊張は見えない。寧ろ楽しみといった感じが見て取れる。
両プレイヤーのスタンバイが完了したところで遂に戦いの火蓋が切られる。
『第1試合 オリヴィア・ブラウンVSウィリアム・キング バトルSTART』
「お願いします、アルマ!」
「優雅に羽ばたけ、ヴェル!」
バトルフィールドには機械種のモンスター、アルマと鷹の姿をしたモンスター、ヴェルが現われる。
「ヴェル、ウインドカッター、ウインドボール」
「アルマ、エネルギー充填、エネルギーシールド展開、デュアルエッジモード」
「へえ、なるほどね。ヴェル相手に
「アルマ、ダブルスラッシュ!」
「ヴェル、ウインドシールド」
バトル開始早々にオリヴィアには選択が迫られていた。
地上からデュアルショットモードで射撃主体で戦うか、ヴェルの土俵でもある空中で戦うか。
もちろん、空中で戦うには空を飛ぶか浮くかしないといけないが、アルマはしっかりと空を飛べるように育成されている。
背中に見慣れない装甲が加わっている。これが後方にエネルギーを噴射することで空を飛べる。
「ヴェル、落とすよ。ウインドトルネード、ウインドランス」
「アルマ、ミサイル発射!ミサイル補填」
アルマを地に落とそうと放った攻撃はミサイルによって相殺される。
これにより、爆煙が発生し、視界不良に陥る。
ここでウィリアムの纏う雰囲気が変わる。
先ほどまでの余裕そうな雰囲気が一転して真剣そのものに。
ウィリアム自身、決してオリヴィアを侮っている訳じゃない。
強敵と認識しているが、それはあくまでもエースモンスターであるカーラだけだった。
アルマは所詮は2番手、今はまだそこまで脅威じゃないと考えていた節がある。
だが、ここまでの攻防でそれは間違いだと気づかされる。
アルマもカーラ同様に強敵と認識したのだ。
「ヴェル、鷹の目、ウインドダイブ!」
高々と飛び上がったヴェルは視界不良もお構いなしに、爆煙の中へと勢いよく突っ込んだ。
すると、鋭い鉤爪でアルマを捉え、ものすごい勢いで急降下してきた。
そのまま地面に衝突し、土煙が巻き起こるのと同時にズドーンととてつもない衝撃音が鳴り響く。
土煙が収まるとノーダメージで低空飛行しているヴェルとHPを3割ほど削られたアルマがいた。
「え、嘘でしょ?あれでやっと3割?どんな防御力してるのさ。気が遠くなりそうだよ」
「いえ、まさかアルマの防御力を持ってしてもこれだけのダメージ。恐ろしい攻撃力です。ですが、問題ありません。アルマ、リペア」
「はは、その上、回復もか。長期戦は覚悟しないとだね」
リペアは機械種のモンスター専用の回復スキル。
これによってアルマのHPはマックスまで回復する。
これにはウィリアムも苦笑いを浮かべずにはいられない。
(さてと、ここでリペアを使った意図は何だ?僕に見せる為?いや、それだけだと弱いな。…もしかして回復量に難ありか?だとすればリペアのスキルLvはそこまで高くない?んー、こういう相手には速攻が一番だけど、あの防御を突破するのは骨が折れるな。しょうがない、地道にいきますか)←ここまで僅か0.5秒
「飛んでヴェル。一度、仕切り直そう」
「そうはさせません。アルマ、エネルギースラッシュ!」
「うん、そう来るよね。逆なら僕も同じことするよ。だからちゃんと迎撃させてもらうよ。ヴェル、ダウンストーム!」
「!?」
上空から激しい下降気流に押し戻されてアルマは空へと舞い戻ろうとするヴェルを追いかけられない。
「アルマ、スナイパーモード」
上空へと飛び上がれず、このままデュアルエッジモードでヴェルと戦うのが不利と判断し、第三のモードへと切り替える。
手に持っていた二本の双剣は一つに合わさり、その形を大きく変える。
気づけば、アルマの両手には一つのスナイパーライフルがある。
そしてその照準の先にはまだまだ高度を上げようと飛んでいるヴェルが。
(まだダウンストームの効果は継続中。まさか、ダウンストームを貫けるとでも言いたいのか!?それだけの攻撃力が備わっていると?この感じ、万が一がある。備えるべきか)
「アルマ、レーザーキャノン!」
「ヴェル、烈風!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます