第9章 ギルドバトル

第131話 開始前、いきなりのハプニング!?

 いよいよ、鬼姫とリベリオンのギルドバトルの日がやって来た。

 この日の為にランクを上げて、できる限りLv上げも行ったし、帰国もした。

 何ヶ月振りだろうな、みんなと会うの。

 結局のところ、みんなの活躍を耳にすることは無かったからどこで何をしていたのかわからないまま何だよな。

 Dトーナメントとなると割と高頻度で開催されてるから優勝とかしてもそこまで目立たない可能性の方が高いし、仕方ないことだけど。


 それにしても楽しみだな。

 初めてギルドとして何かをする訳だし。

 リベリオンにはどんな人たちがいるのかな?

 両ギルドともに事前に出場メンバー5人は発表されてるけど、相手の情報は調べてもあまり出てこなかった。



 午前11時

 ギルドバトルは正午開始だけど、ちょっと到着するの早かったかな。

 いや、遅れるよりはマシか。

 早速、会場の白黒モノクロスタジアムに向かうか。

 ギルドにはそれぞれ控え室が用意されていて、鬼姫は東側の控え室を使う。

 控え室に入ると薫先輩と琴音先輩の2人がいる。

 他のメンバーはまだ来てないのか……ん?何で琴音先輩がここにいるの?


「おはよう、鬼灯。ようやく1人目か」


「おはよう、鬼灯くん!まあ後1時間もあるし、大丈夫だよ」


「あ、おはようございます。えっと、何で琴音先輩がいるんですか?」


「え?そんなの後輩たちの応援に決まってるじゃん!」


 俺の記憶が正しければ、控え室って出場メンバー以外立ち入り禁止じゃ無かったっけ?

 琴音先輩ってここにいて大丈夫かな?


「ここって出場メンバー以外立ち入り禁止ですけど、琴音先輩っていても大丈夫なんですか?」


「もちのろんだよ!ちゃんと学園長からOKもらってるんだから」


「ギルドバトルの細かい注意事項とか諸々の補佐を琴音先輩がしてくれる。今回は両ギルドともに初めてのギルドバトルだからな。リベリオン側にも誰かしら補佐が入ってる筈だ」


 うーん?でも、それって薫先輩とロザリアさんじゃダメなのかな?

 どうしても補佐する人って必要なのかな?


「疑問に思ってそうだから私の仕事について教えておく――――」


 バーン!!

 琴音先輩の話を遮るようにして、勢い良くドアを開けて控え室に入ってきたのは莉菜とオリヴィアの2人だった。

 琴音先輩を見て、固まっている。

 それも無理はない。

 琴音先輩が何でここにいるのか俺もまだ理解してないし。


「これでまだ来てないのは二階堂だけか」


「まあ二階堂くんへの説明は後でいっか。うん、莉菜ちゃんもオリヴィアちゃんも私がここにいる理由がイマイチわかっていないみたいだし、説明するね」


 どうやら事前に決めていたギルドバトルのルールが少し変更になったらしく、それの説明などをする為と本番で戸惑った時の補佐として琴音先輩がいるみたいだ。




 時刻は午前11時50分

 ギルドバトル開始まであと10分となったところで郁斗からメッセージが届く。

 メッセージには飛行機の遅延でかなり遅れるとだけ書かれている。

 具体的にどのくらい遅れるのかなどが一切不明。

 何でこんなギリギリのタイミングで連絡!!?

 はあ、これどうしよう…。

 とりあえず、急ぎで返事が欲しいから電話しよう。


「ん?どうしたの、蓮?もしかして郁斗に何かしらトラブル発生?」


「うん、郁斗が飛行機の遅延で遅れるって」


「「「「え?」」」」


「どうします、琴音先輩?これ開始時間がいじれないですよね?」


「うーん、さすがにそれは無理かな。今更、出場メンバーを変更もできないし。一応、ルール的には開始時にいなくてもバトルに間に合えば大丈夫だから二階堂くんは5試合目に出てもらうしかないかな」


「ですが、郁斗は間に合わない前提で今いる4人で決めるつもりで戦った方がいいですよね?」


「普通の団体戦ならそれもありだが、今回は無しだ。さっき琴音先輩が話しただろ?ルールが少し変更になったって。今回のギルドバトルは仮に3試合で結果が決まったとしても5試合全て行われる」


 え?結果が決まっても5試合全て行われる!?

 あ、そういえばさっき、両ギルドともにギルドバトルが初めてだからルールが少し変更になったって言われたな。

 つまり、経験を積む的な理由で全員必ずバトルできるようになってる訳か!

 いや、でもこれ、今だけは最悪だな。(←何も悪くないのに…)

 てか、郁斗!もっと時間に余裕を持って行動してよさ!!(←ド正論)


「こればかりはしょうがない。正午までに第1試合に出場するプレイヤーを選出しないといけない。まずは誰が出るかを決めよう。二階堂のことは俺たちにはどうにもできん」


「そうよね」


「はい」


「わかりました。じゃあ第1試合に誰が出るかだけど――――」


「はい!私がいきます」


「俺はいいけど、莉菜と薫先輩は…」


「いいわよ。オリヴィア、特訓の成果見せてね!」


「俺も問題無い。俺が出るのはどうせ早くても3試合目だ」


 ?早くても3試合目?

 そういえば、薫先輩はロザリアさんと戦うのが暗黙の了解的なやつで決まってるけど、どうやってこの2人を戦わせるんだろう?

 第1試合から試合前に両ギルドがメンバーを選出する訳だけど、いつロザリアさんが出てくるかわからない。

 もしかしたら第1試合に出てくるかもしれない。


「ああ、そうだった。言い忘れてたよ。ロザリアの相手は薫くんって決まってるからね!」


「…えっと、それって何試合目で戦うって決まってる感じですか?何か薫先輩の口ぶり的に決まって無さそうですけど」


「あ、そういえばまだ話してなかったな。試合前に誰が出るか決めたらこの端末を操作して、登録するんだ。それでもし、俺かロザリアが選出された場合、相手ギルドにそれが自動的に伝わる。つまりだ、ロザリアが選出された場合、鬼姫こっちの端末に通知が届く。こっちが既に俺以外のメンバーを選出している場合、選出は一度リセットされる。この時、リベリオン向こうの誘いに乗るなら俺を選出すればOK。逆に乗らないなら俺以外を選出すれば、リベリオン向こうのロザリア選出がリセットされて、リベリオン向こうはロザリア以外から選出を余儀なくされるって感じだ」


「なるほど」


「ちょうど、端末にはマッチング成立と表示されたからリベリオン向こうはロザリアさんを選出していないってことね」


「つまり、鬼姫の突撃隊長一番槍は私ですね!」


 何か言葉は合ってるけど、意味が違う気がする。気のせいかな。


「オリヴィア、二階堂の為にとか考えて無理にバトルを長引かせるなよ。今回の一件は完全に二階堂に非がある。時間稼ぎは必要だが、それで勝てるバトルを落とすのはダメだ」


 オリヴィアはただ頷く。

 オリヴィアもちゃんと理解している。

 それに郁斗はきっと間に合うって信じている。


 こうして思わぬハプニングに見舞われながらも時刻は正午となり、鬼姫VSリベリオンのギルドバトルが始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る