第124話 墓守の水流騎士①
『王家の墓』第2エリア『水の墓守』はブルーとラグニアの相性が悪くてここまで来るのに時間が掛かった。
でも、ようやくエリアボスのいるボス部屋まで辿り着いた。
ボス部屋には予想通りというか墓守の水流騎士という名前のモンスターがいる。
全身、水色の甲冑で覆われている。
パッと見だと武器は二本の短剣、双剣使いとかかな。
それなら間合いの有利はこっちにあるな。
「我が王の墓を荒らす者、排除する」
墓守の火炎騎士と同じ決まり文句?を宣言してから二本の短剣を抜刀し、リーフィア目掛けて一目散。
リーフィアは剣を抜かずに盾を正面に構えたまま突っ込む。
墓守の水流騎士の双剣がリーフィアの構えている盾とぶつかる。
予想以上の威力だったのか、リーフィアが後方に仰け反る。
それでも盾でしっかりと受けた為、被ダメは少なく、闇の盾を使っていたこともあって墓守の水流騎士にデバフや状態異常を付与する事に成功する。
後方に仰け反ったリーフィアを追撃しようとしたところでラグニアがシャインダイブで側面から攻撃する。
完全に不意を突いたと思ったけど、必要最低限の動きで躱され、勢いよく通り過ぎるラグニアを数回斬りつける。
その後、リーフィアに向き直ろうとした墓守の水流騎士だったが、何者かに真下からアッパー攻撃をくらう。
何が起きたのか理解する間もなく、雷が降ってきたりし、その隙にリーフィアが体勢を立て直す。
この攻撃をしたのはブルーだ。ラグニアがブルーを抱えた状態でシャインダイブを使い、墓守の水流騎士に突っ込む。
ラグニアの体が死角となり、見えない位置にいたブルーは気づかれることなく、電光迅雷でアッパー攻撃をかまし、鳴神で追撃を行った。
そしてラグニアの上にプルと見事な着地を決め、そのまま四足歩行で走るラグニアの背に乗り、距離を取る。
体勢を立て直したリーフィアもチャンスと捉えたのだろう。
いきなり騎士王の風刃閃を使い、滅多斬りにする。
途中、水の障壁が墓守の水流騎士を守るように展開され、攻撃は中断されだが、リーフィアは距離を取らずにその場に残る。
墓守の水流騎士を守る水の障壁が無くなると同時にブルーはプチサンダー、ラグニアはプチシャイン、リーフィアはダークスラッシュで攻撃を仕掛ける。
三方向からの別々の攻撃、どれかは当たると思っていたが、そんなに甘くは無かった。
ブルーとラグニアの攻撃は水のシールドでピンポイントで防がれる。
リーフィアは正面から攻撃しようとしたが、いとも容易く受け流され、逆にカウンターで攻撃をくらってしまう。
リーフィアのHPはまだ7割近く残っている。大丈夫。まだ回復はいらない。
ラグニアは自分でプチヒールを使ったのかな。残りHP8割。
ブルーは攻撃を受けていないからノーダメージ。
遠距離からブルーとラグニアがそれぞれ別方向から攻撃したにも関わらず、防がれた。
その上、リーフィアにカウンターを決めてきた。
遠距離からの攻撃は効果が薄いかな。
最初は不意を突いたのもあるけど、3体とも前衛みたいなものだった。
前衛を増やした方が効果あるかな。まだ余裕がある内に試してみるか。
「ブルー、スカーレットアロー!ラグニア、オーガフレイム、ライトクロー!」
ブルーは物理攻撃スキルの数が少ないから一旦後衛のままでラグニアを前衛に上げる。
挑発スキルのおかげで墓守の水流騎士の意識はリーフィアに向いたまま。
さっきみたいに今度は水のシールドを展開せずにスカーレットアローとオーガフレイムは攻撃は水属性の攻撃スキルで斬って相殺する形で防がれる。
炎と水がぶつかったことで水蒸気が発生し、密かに距離を詰めているラグニアの存在を隠し、墓守の水流騎士は気づけない。
より一層、ラグニアが距離を詰めていることが気づかれないようにブルーは動き回りながら魔法で攻撃を続ける。
リーフィアもカウンターをくらったばかりではあるが、防御を多少疎かにしてでも攻撃に専念している。
ブルーとリーフィアの頑張りのおかげでラグニアは気づかれることなく、接近に成功。
ここでリーフィアは攻撃を中断し、受けに回る。
もちろん、墓守の水流騎士の攻撃は闇の盾で受けることで付与しているデバフや状態異常を更に悪化させている。
リーフィアは墓守の水流騎士にラグニアが接近していることを気づかせない為にわざと攻撃させている。
スキルを使いすぎて風薙ぎと閃撃以外がクールタイムに入っているのもあるが、攻撃に意識を傾けることでラグニアの接近に気づく可能性を少しでも下げている。
もうちょっと、まだ早い。ギリギリまで待ってから。
……今!!
「ブルー、電光迅雷!!」
ラグニアが気づかれることなく、墓守の水流騎士の背後から奇襲に成功する。
そして、その直後に追撃を仕掛けられるようにタイミングを見計らって雷を纏ったブルーが側面から突っ込む。
完全に墓守の水流騎士の体勢が崩れた。
すかさず、リーフィアは閃撃と風薙ぎで追撃をする。
ブルーとラグニアも指示を出さなくてもリーフィアと息ピッタリのタイミングで更なる追撃を。
さてと、この後のことを考えないとな。
ブルーのあの感じだと、また全ての攻撃スキルを使い果たしそう。まあ、今回はいいけど。
チャンスがあるなら出し惜しみせず、総攻撃を仕掛けたいしな。
この後は墓守の水流騎士の出方にもよるけど、リーフィアとラグニアが近接戦で上手くやり過ごすのが一番無難かな。
ブルーとラグニアのプチヒールは両方とも今すぐにでも使える状態。
仮に大ダメージを負ってもすぐに回復はできる。
これならそこまでリスクは高くないかな。
「リーフィア、ラグニア、2体掛かりでいいから近接戦で墓守の水流騎士を押さえて欲しい。ブルーはスキルのクールタイムが明け次第、魔法攻撃で援護」
黙って何も言わずに行動に移すリーフィアとグルグルとこっちを見ながら頷くラグニア、いつの間にか俺の足下まで来てプルプルしているブルー。
あのー、ブルーさん?何でいつも気づいたら俺の足下にいるのかな?
可愛いくプルプルしてもダメだからね。
はい、向こうに行っててね。
渋々といった雰囲気を出しつつもブルーは俺の足下から離れていつでもリーフィアとラグニアを援護できる位置まで移動した。
ちょうどこの時だった。墓守の水流騎士が今までとは違うことを始めたのが。
なんと双剣をそれぞれ腰の鞘に戻した。
第1エリア『火の墓守』のエリアボスの墓守の火炎騎士と同じように素手で戦うとか?
んーでも、何だろうな。そういう感じじゃない気がするな。
リーフィアとラグニアも警戒して距離を詰め切れていない。
むしろ、徐々に後退している。
うん、それで良い。相手が何するかわからないなら一度下がって様子を見よう。
何をしてくるにしても距離を取ってた方が対処しやすいからね。
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