第120話 墓守の火炎騎士①
ついにここまで来た。
今日は『火の墓守』のエリアボスに挑戦する。
今の俺たちなら相手がどんなモンスターでも勝てる!
ボス部屋の中へ足を踏み入れると全身に炎を纏った騎士がいる。
炎の化身とも思える風格がある。
名前は墓守の火炎騎士。
見た目とエリア名の通り、火属性に特化したモンスターだ。
「我が王の墓を荒らす者、排除する」
決まり文句?を言うとリーフィアに向かって一目散に走ってくる。
しかも速い!
相手は盾を持ない槍使い。
守りに入るとヤバそうだ。
数の有利を活かして常に攻め続ける。
「リーフィア、閃撃!ブルー、鳴神!
え?嘘、槍で弾いた!!?
いや、リーフィアの魔法斬りとは違う。
防御力が高すぎてわかりづらいけど、ダメージはちゃんと入る。
このまま間合いを詰められると剣より槍の方が有利だ。
リーフィアが更に一歩間合いを詰めて自分の間合いに持ち込めたら話は変わるけど、その為にはブルーと
「
ダメージは二の次。
今、大事なのはリーフィアが自分の間合いで戦えるように墓守の火炎騎士の意識を分散させること。
「!!」
一瞬の隙をリーフィアは見逃さなかった。
ほんの一瞬だが、墓守の火炎騎士の目線が
自分から視線を外したその瞬間に一気にこちらから間合いを詰める。
墓守の火炎騎士も瞬時にその事に気づき、リーフィアと向き直ったが、そうはさせないとブルーが電光迅雷を使い、横撃する。
初見でブルーの電光迅雷の速さに対応できず、突如として来た横からの衝撃に僅かながら体勢を崩す。
そして
リーフィアも攻撃に参加しようと風薙ぎで斬ろうとした瞬間、墓守の火炎騎士が炎を全方位に噴出する。
まるでブルーのフレイムフォースのように。
ブルーは咄嗟にディバインシールドで防げたみたいだが、リーフィアは至近距離で今から攻撃しようとしていた。
今の攻撃で負ったダメージが気になるとこ。
よりダメージの大きい方にブルーのプチヒールを、小さい方に
早く回復しないとって思ってたらリーフィアも
?威力がそこまで高く無かったってこと?いや、それは無い!ブルーのディバインシールドが割られてはいないけど、ヒビが入ってる。
十分に威力は高い筈。
何でかわからずにいると墓守の火炎騎士と距離を取って若干余裕ができたリーフィアが教えてくれた。
「主、今の攻撃は何とか相殺に近い形で私と
「あ、うん。わかった、ありがとう」
ええっと、あれを相殺?あ、いやそれに近い形で防いだだけ。
リーフィアはあれだよね。きっと風薙ぎで斬ったとかだよね?
で、
……あ、もしかして、あの状態でオーガフレイムを使ったとか?
他に方法は思いつかないな。
気づいたらバトルはブルーが墓守の火炎騎士と一騎打ち?みたいなことをしている。
と言ってもブルーがプルンプル、プルンプルと槍を華麗に躱しているだけで、一切攻撃していない。
たぶんリーフィアが俺と会話するのを邪魔されないように墓守の火炎騎士を引き付けてくれてるんだな。
でも、普通なら挑発スキルでリーフィアに意識が向くよな?
ブルーはどうやってそれを自分に向かせたんだ?
うん、その判断は問題ない。むしろファインプレーだ。
下手をしたら一撃で倒されかねない相手、防御力の低い
「リーフィア、騎士王の風刃閃!!」
墓守の火炎騎士の意識が完全にブルーに向いているなら意識の外からリーフィアと
でも、さっきみたいな攻撃がまた来るかもしれないから一度、
ブルーがプルンを槍をギリギリまで引き付けて躱したタイミングでリーフィアが背後から連続で攻撃する。
これでようやくデバフや状態異常が付与できる。
あれ?ブルー、何で攻撃しないの?
今なら距離を少し取って遠距離から魔法で攻撃できるのに。
あ、もしかして、さっき墓守の火炎騎士の意識を奪う為に後先考えずにスキルを使いまくったな。
プル!!プルプルプル
言い訳はしなくていいからね、ブルー。
まあでも、使っちゃったものはしょうがない。
ブルーのおかげでこのチャンスは生まれた訳だしな。
切り替え、切り替え。
背後から騎士王の風刃閃で攻撃していたリーフィアだったが、思わぬ反撃によって攻撃が中断される。
まさか真後ろに向かって足蹴りをしてくるとは。
それによって騎士王の風刃閃は効果を終了して、クールタイムに入る。
さっきみたいに全方位をまとめて攻撃するんじゃなくて、足蹴りでリーフィアだけを攻撃した。
つまり、全方位攻撃できるスキルはさっきの一つだけ?
いや、まだそう決めつけるべきじゃないか。
他があるかもしれない、その警戒もしつつも攻撃するしかないか。
でも、その前にブルーのスキルがクールタイムに入ったままだとちょっと困るな。
まずは時間稼ぎに徹するしかないな。
リーフィアが単独で近接戦を挑み、上手くやってくれてる。
剣で攻撃できる間合いには入れてないから防戦一方だけど、剣や盾でのガードが間に合い、大ダメージは避けてる。
途中、
「ブルー、鳴神、プチサンダー!リーフィア、風薙ぎ!
リーフィアが間合いに入って攻撃できないとこちらの攻め方が単調になる。
だから遠距離からブルーが圧を掛けつつ、リーフィアと
さすがにリーフィアを正面から相手にし、ブルーの魔法を防ぎつつ、
どこかしらに綻びが生まれる。
そこを確実について着々とダメージは与えれている。
しかし、それも墓守の火炎騎士のHPが6割を下回るかどうかというところまで。
このタイミングで持っていた槍を手放す。
本来なら隙ありと捉えて攻撃するところだが、墓守の火炎騎士が放つ圧倒的な圧を前に攻撃が遅れる。
全身をこれでもかというくらい燃え上がらせて、その炎を両拳に集約させる。
恐らく、ブルーたちも感じ取っているだろう。
ここからが本番だ!と。
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