第111話 確実に何か掴んでいる

 俺は薫先輩と琴音先輩に昨日のお昼頃、3人からメッセージが送られてきたことを話した。

 それを聞いて一安心って感じで、ホッと息を吐いていた。


「そっか。でも、チームに嫌気がさしてとかじゃなくて良かったよ」


「それは良かったけど、これからチームとしてどうするか決めないとな」


「うーん、3人じゃ『闇の祭壇』攻略は無理だし、各々自由行動って感じで良いかな」


「それしかないか。鬼灯はこのまま1人で『闇の祭壇』に挑戦するなら止めはしないけど、何か困ったことがあれば相談しろよな」


「すみません。ありがとうございます」


 その後、薫先輩と琴音先輩とは雑談をして過ごした。

 その中で再びリベリオンの話になって、ギルドマスターのロザリアさんについて聞いてみた。


「ロザリアか?トーナメントのテレビ中継で見たこと無いのか?」


「名前とかは聞いたことあるんですけど、見たことは無いです」


「薫くんと同じでエースモンスターは最強種の竜って知ってるよね?」


「はい。それは知ってます」


「うんうん。じゃあ、私がロザリアとバトルした時の話をするね」


 琴音先輩がバトル、でもそれって確か負けたって言ってたような。


「私とロザリアは去年の春かな、Cトーナメントの3回戦で当たったの。鬼灯くんも知ってると思うけど、Cトーナメントは2対2のバトル。先に1体目のモンスターを倒したのは私の方だけど、直ぐにこっちの1体目も倒されちゃった。そこからは何となく想像できると思うけど、エース対決だよ」


 エース対決。琴音先輩のエースモンスターはシルヴィーユ。

 過去に一度だけ見た琴音先輩のバトルは圧倒的でとにかくすごかった。

 あれだけ圧倒的な強さを誇るシルヴィーユですら勝てないのか。

 やっぱり竜は最強種と言われるだけあって強いんだな。


「勘違いしてそうだけど、ロザリアが強いのは最強種の竜がエースモンスターだからじゃないからな。むしろ2対2のCトーナメントとはいえ、ノワールをロザリアに選出させただけでも十分にすごいことだからな」


「あ、ノワールはロザリアのエースモンスター、竜の名前ね」


 え、今の薫先輩の話的にロザリアさんって相手によってはエースモンスターを選出しないこともあるの!?

 それでもし負けたらとか考えないのかな。


「ロザリアのモンスターはどいつもこいつも強い。ぶっちゃけノワールを選出しなくても勝てるくらいに。まあ琴音先輩のシルヴィーユにはノワールじゃないと勝てないと思われてたみたいだけどな」


 いくらエースモンスター以外のモンスターが強くても俺にはブルーを選出から外すなんてできないな。

 あれ?そういえばブルーどこ行った?

 ずっとARフィールドは展開されてるから部屋の中にいる筈なんだけどな。

 あ、邪魔にならなそうな所でプルプルして鬼狼オーガウルフと一緒にくつろいでる。


「鬼灯くんもいつかロザリアとバトルする日が来るかもね。その時は私の仇取ってよ!」


「いやあ、俺より薫先輩の方が先にバトルする気が…」


「あ、確かに。じゃあ私の仇を取るのは薫くんの役目かな」


「まあ、バトルする機会があったら全力は尽くしますよ。勝てるかどうかは別として」


 その後、もう夜遅いということもあって薫先輩と琴音先輩はそれぞれ自分の部屋に戻った。

 俺は俺で夕食はルームサービスで軽く済ませて、シャワーを浴びてすぐに寝た。

 ブルーがかまってほしそうにしてたけど、今日は疲れたからまた今度と思ってたらベットにプルプルと潜り込んできた。

 もういいやとなって特に気にすることはなかった。



 それから数日ほどかけて『闇の祭壇』第1層のマッピングを行い、エリアボスがいるであろう場所には検討がついている。

 エリアボスに挑むかどうか悩んだけど、まだ早い気がする。

 今はもっとDランクのモンスターとのバトルに慣れるべき。

 特に第1層の深部に出現するジャイアントグール、あれともっとバトルしたい。


 ジャイアントグールを探して歩き回ること数分、1体のジャイアントグールと遭遇する。


「ブルー、鳴神、スカーレットアロー、電光迅雷!リーフィア、閃撃、風薙ぎ、ダークスラッシュ、鬼狼オーガウルフ、プチシャイン、プチファイア」


 ジャイアントグールは巨体だから的としては大きいけど、動きがかなり速い。

 遠距離から攻撃するだけだと、こちらの攻撃は一切当たらない。

 だからリーフィアには常にジャイアントグールと密接して戦ってもらう。

 動きが速くて遠距離攻撃で捉えられないなら足を止めればいい。といっても簡単じゃないけど。

 それでも何とか戦えているのは輝夜さんがリヴィングウェポンの召喚石を一つ譲ってくれたから。

 召喚したリヴィングウェポンは盾の姿形をしていて、今はリーフィアが防具として装備している。

 この盾のリヴィングウェポンは一切攻撃スキルを持っていないというか、一つしかスキルを持っていないけど、そのたった一つのスキルが『闇の祭壇』でのジャイアントグール戦でかなり役立っている。

 ただ、普通のグールとのバトルではちょっと微妙なんだよな。


 まあ今はリーフィアがジャイアントグールを引きつけている内にどんどん攻撃するのみ。

 一斉攻撃でジャイアントグールのHPをバトル開始早々に大きく削ることに成功する。

 このままの勢いで一気にいきたいとこだが、ここでリーフィアが自らジャイアントグールと距離を取る。

 リーフィアがジャイアントグールから距離を取るのは回復を求めている合図。

 基本的には鬼狼オーガウルフが回復を担当する。

 リーフィアが距離を取ろうとしても構わずジャイアントグールは近づいて来る。ブルーはそれを阻止してしっかりとリーフィアのHPを回復する時間を稼ぐという役目がある。

 その際にブルーが大ダメージを負うことも想定して、リーフィアの回復は鬼狼オーガウルフに一任している。

 これは嬉しい誤算だが、ジャイアントグールの攻撃は全然ブルーに当たっていない。

 軽やかに余裕そうな雰囲気を出しつつ避けている。

 リーフィアのHPが回復して各攻撃スキルがクールタイムから明けたタイミングで、リーフィアがジャイアントグールと密接して戦いつつ一斉攻撃を数回繰り返すことで最初はこれでもかというくらい苦戦したジャイアントグールを呆気なく倒すことができた。

 ここまで良い感じに倒せたのは今のが始めてだ。

 確実に何かを掴んでいる。俺はそれを実感することができた。



 ブルー(スカーレットスライム、一般種)Lv30→45

 HP:680

 物理攻撃力:35

 物理防御力:34

 魔法攻撃力:54

 魔法防御力:34

 素早さ:35

 SP:0

 スキル:プロミネンスアタックLv12、ディバインシールドLv5、プロミネンスLv12、ファイアボールLv9、プチサンダーLv10、鳴神Lv8、電光迅雷Lv8、フレイムフォースLv4、スカーレットアローLv4、プチヒール、火属性耐性Lv1、物理耐性Lv3


 リーフィア(騎士王キングオブナイト、人類種)Lv19→22

 HP:500(+340)

 物理攻撃力:32→35(+31)

 物理防御力:26(+17)

 魔法攻撃力:0(+6)

 魔法防御力:24(+17)

 素早さ:33(+21)

 SP:0→3→0

 スキル:閃撃Lv9、風薙ぎLv7、王の威光Lv4、騎士王の風刃閃Lv2(ダークスラッシュLv7、闇属性付与、闇属性強化Lv7、騎士強化、挑発)

 武器:リヴィングウェポン(HP+220、物理攻撃力+30、物理防御力+11、魔法攻撃力+5、魔法防御力+11、素早さ+20、ダークスラッシュLv7、闇属性付与、闇属性強化Lv7、騎士強化)

 防具:リヴィングウェポン(HP+120、物理攻撃力+1、物理防御力+6、魔法攻撃力+1、魔法防御力+6、素早さ+1、挑発)


 リヴィングウェポン(武器種)Lv19→22

 HP:220

 物理攻撃力:30

 物理防御力:11

 魔法攻撃力:5

 魔法防御力:11

 素早さ:17→20

 SP:0→3→0

 スキル:ダークスラッシュLv7、闇属性付与、闇属性強化Lv7、騎士強化


 リヴィングウェポン(武具種)Lv1→8

 HP:50→120

 物理攻撃力:1

 物理防御力:3→6

 魔法攻撃力:1

 魔法防御力:2→6

 素早さ:1

 SP:0→7→0

 スキル:挑発


 鬼狼オーガウルフ(一般種)Lv19→22

 HP:480

 物理攻撃力:31→34

 物理防御力:25

 魔法攻撃力:30

 魔法防御力:23

 素早さ:30

 SP:0→3→0

 スキル:ライトクローLv8、ライトファングLv6、シャインダイブLv7、プチヒール、プチシャインLv7、フレイムクローLv3→4、プチファイアLv4→5、オーガフレイムLv2→3

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