第101話 輝夜との邂逅
えっと、輝夜さんとジャスパーさんどっちの方がかっこ良かったか?
何かめっちゃ真剣な眼差しで俺を見てる。
「お2人ともかっこ良かったです。でも、個人的にはあの日の輝夜さんのバトルに憧れて俺もこんな風にバトルしてみたいって思いました」
「そっかそっか。蓮くんはシグマが言ってた通り、見どころあるよ。うん」
すごく嬉しそうだな。
ちょっと想像してた輝夜さんのイメージと違うな。
いや、親しみやすくてありがたいけど。
でも、見どころあるはちょっと複雑だな。
「ありがとうございます」
「うんうん。それにしても私に憧れてか。だから人類種のモンスターを捕まえたの?」
「あ、いえ、それは偶然です。スケルトンナイトに虹色宝箱から出た生前の血という合成素材を使ったら特殊条件を満たして、進化させたら
「スケルトンナイトが人類種に進化したのね。そんなことあるのね。初めて聞いた。それに生前の血も」
輝夜さんも知らないのか。
やっぱりスケルトンナイトから
まあ、不人気ダンジョンの虹色宝箱から出た合成素材だからな。
「あの、俺も聞いてもいいですか?」
「もちろん!何でもいいわよ」
「ありがとうございます。輝夜さんのエースモンスターって人類種のアテナですよね。どう育成したらそんなに強くなるんですか?」
「随分とストレートに聞くのね。人類種のモンスターはしっかりと育成すれば、ちゃんと強くなる。焦らず根気よくが大事。あとは武器と防具をともにリヴィングウェポンで揃えることね」
焦らず根気よくしっかり育成するか。
ここはリーフィアともちゃんと話し合って決めていこう。
あと、武器と防具をともにリヴィングウェポンで揃えるか。
こればかりはショップで召喚石を買うしか方法は無いな。
はあ、出るまでにポイントどれだけ消費するかな。
少なく済むとありがたいな。
「ああ、そうだ。リヴィングウェポンの召喚石が一つ余ってるの。丁度いいから蓮くんにあげるね。スマホのLet's Monster Battleアプリを開いて。贈るから」
そのまま流れでアプリを開いて輝夜さんからリヴィングウェポンの召喚石を一つもらい、スマホの画面にもそれを告げる通知が届いている。
…何でこうなった?ありがたいけど。
「あ、え、えっと、輝夜さんありがたいんですけど、こんなことして大丈夫なんですか?」
「ん?ああ12神がどうとかは大丈夫!プレイヤー間で使わないアイテムは交換、もしくは譲渡、これは運営が正式に認めてるの。ちゃんとアプリにその機能が搭載されてるでしよ?」
「あ、そうなんですね。ありがとうございます」
「どういたしまして」
輝夜さんのこの笑顔を見ると全てを容易に受け入れてしまう。
本当なら俺なんかが輝夜さんから施しを貰うなんてダメだろうけど、ここはお言葉に甘えよう。
「さてと、そろそろ本題に入りましょうか。『遊楽園』についてね。何が聞きたいの?」
「輝夜さんはどうやって攻略したんですか?」
「なるほど。攻略の方法か。蓮くんのモンスターの中に光属性の全体攻撃スキル持ちっている?」
「いえ、いません。全体攻撃だとブルーが火属性で一つ持ってるくらいです」
「ブルー?ああ、あのスライムね。でも、火属性で一つだと厳しいね。蓮くんのモンスターが使えるスキルとか差し支えなければ教えてもらえる?」
輝夜さんにブルーたちの使えるスキルを教えてたら何かすごく考えてくれてる感じがする。
もしかして俺が『遊楽園』を攻略する術を考えてくれてるのかな?
「ちなみに蓮くん、シグマには何て言われた?」
「シグマさんには『遊楽園』は低ランクでは攻略できないと言われました」
「シグマはちょっと現実主義のとこあるからね」
それからしばらく輝夜は1人で可能性を模索し続け、一つの結論を導き出す。
「結論から言うと攻略は無理ね。どう頑張っても最奥のボスに勝てない」
『遊楽園』唯一の攻略者である輝夜さんが無理と結論を出した。
シグマさんの言う通り攻略は無謀なのかな。
「最奥のボスを倒せない以上、『遊楽園』の攻略はできない。でも、そこに至るまでの道中は時間がかかるけど、問題なく攻略できる。各エリアボスにも勝てる」
「!!」
4人で挑戦して第1エリアの等活地獄の道中を突破することすらできなかったけど、それを輝夜さんはできると言ってくれる。
ヤバい、めっちゃ嬉しい。
「喜んでるところ悪いけど、一つ伝えておくね。仮に蓮くん個人じゃなく、ギルド鬼姫として挑戦しても結果は変わらない。『遊楽園』がランク詐欺と言われてるのは最奥のボスがランク不相応に強すぎるから」
「4人で挑戦しても無理…」
「本当なら詳しい情報とか教えてあげたいけど、勝てないとわかってるのに教えるのは優しさじゃないと私は思ってる」
そうだよな。
シグマさんも輝夜さんにこうして話を聞く機会を設けてくれたのは、俺に現実を見せる為。
無謀な挑戦は何も残らないってことかな。
「そうだ!蓮くんは
「はい」
「だったら
え?『闇の祭壇』を攻略したら教えてもらえる。
いや、攻略できたらの話だよな。
話の流れ的に『闇の祭壇』はかなり難易度が高い気がする。
それに一緒にチームを組む先輩は2人ともBランクだからランク変動型ダンジョンにチームで挑戦するとなるとダンジョンのランクはBランクの一つ下、つまりCランク相当になる。
「大丈夫!蓮くんと同じチームの上級生2人を頼りなさい。あの2人がいて攻略できないはありえないから」
「え?同じチームの上級生2人が誰か知ってるんですか?」
「チーム分けって実力順だからね。2年生と3年生でチーム1に割り当てられるのはあの2人しかいない」
すごい先輩方とチームが一緒だと思ってたけど、あの輝夜さんにここまで言ってもらえるなんて。
スゴすぎ!!
「蓮くん、君には強い仲間がいる。だから大丈夫!」
「はい!ありがとうございます!」
満足気な笑みを浮かべて輝夜さんはまたねと言って貴賓室から立ち去る。
が、直ぐに貴賓室に戻って来る。
「あ、忘れてた。蓮くん、私とも連絡先交換してもらってもいい?シグマと交換してる訳だし、問題ないよね?」
「え?」
流れるように連絡先を交換したら今度こそ輝夜さんは立ち去る。
俺は1人で輝夜さんと話した内容を振り返りつつ、帰宅する。
*****
蓮くん、期待してるよ。
きっと君なら辿り着ける。
スライムに新たな可能性を示し、育成し続ける君なら。
そして1年後の
リベリオンはジャスパーがきっと間に合わせる。
鬼姫は私が……。
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