第96話 蓮VS郁斗①
これから行われる蓮と郁斗のバトルが最後。
このバトルで勝った方がギルドマスターもしくはサブマスターになる。
新入生代表トーナメントではトーナメントに恵まれなかったり、準決勝で惜しくもお互いに敗北したりでバトルの機会は無かった。
これは2人が待ちに待ったバトル。
相手はあの郁斗だ。
一番厄介なのはコンの影分身と妖術、特に陽炎と蜃気楼のコンボ。
これには一応、対策は用意してある。
その為にもコンにはブルーをぶつける必要があるけど、問題はコンが先と後、どっちで来るのか。
郁斗ならたぶんコンを後に出して来ると思う。
まずはネメアのゴーストタウンでフィールドを展開するだろうし。
さすがに郁斗がフィールドの優位を捨てるとは思えない。
こっちには闇属性を扱えるリーフィアがいる訳だし。
でも、そうなるとリーフィアを選出する理由が無い。
そこまで読み切って先にコンを出して来る可能性もあるか。
一瞬、リーフィアより
郁斗ならどう考える。どう分析する。
俺のモンスター3体の中でコンに正面から対抗できそうなのはブルーだけ。
ならコンにブルーをぶつけたいと考えているのは見抜かれてるかな。
だとしたらその組み合わせにならないようにするかな。
コンを先、ネメアを後とか。
でも、これはネメアのゴーストタウンとの相性が最悪のリーフィアを選出しないと読み切った上での選出になる。
仮にリーフィアと
コンの魔法は全て斬り捨てればいい訳だし。
いや、郁斗はそれすらも読んでくるかもしれない。
うん、決めた。読み違えてたら一気に不利になるけど、ブルー、
これで郁斗の上をいく。
『ギルドマスター決定戦、蓮VS郁斗 バトルSTART』
「出でよ、ブルー!」
「出でよ、コン!」
「よし!読み勝った」
プルプル
「マジかよ、蓮はもっと安牌取ると思ってたー」
天を仰ぎ、悔しがる素振りを見せる郁斗。
それだけ自分の読みに自信があったのだろう。
「ああ、クソ。切り替えるしかないな。コン、稲荷狐の祈り、稲荷狐の祟り、影分身、陽炎、蜃気楼」
「ブルー、フレイムフォース」
フィールド全体がコンの影分身による陽炎と蜃気楼で覆われるが、ブルーを起点として全方位に噴出する炎によってそれらは全て掻き消される。
その後すぐにコン本体が陽炎と蜃気楼のコンボを発動する。
しかし、それも時間の問題。
郁斗として時間切れになる前にブルーに大ダメージを与えておきたいところ。
「コン、狐火」
今、コンの影分身はいない。
つまり、無数の攻撃が飛んで来ているように見えるけど、実際一つを除いて全て幻。
ならここは敢えて受ける。
「ブルー、受け止めて」
蓮の指示通りに狐火をまともに受けてプルンプルンと転がっていくブルー。
プルンプルン転がりながらもちゃっかりと幻じゃない狐火が飛んできた方向に鳴神を放ち、反撃もしているが、コンには当たらない。
その後、独断でプチヒールによる回復を試み、光に包まれてブルーのHPは全回復する。
「ブルー、ナイス!ありがとう」
プルプル
なんだろう、いつもよりブルーがバトル中にプルプルしてる気がするな。
さすがに気のせいだよな。
いくらなんでも普段は甘えてばかりのブルーもバトル中はちゃんとバトルに集中してるよな。
「ならコン、鬼火だ!」
「ブルー、今度はディバインシールド」
「しゃーない。紅蓮の誓い、二尾の焔」
「電光迅雷!」
ここで一気にバトルの流れを掴み、ブルーに大ダメージを与えたい郁斗は勝負に出る。
鬼火だけではディバインシールドを突破できないと判断し、紅蓮の誓いと二尾の焔といったスキルを使い、近接戦にシフトする。
見事に紅蓮の誓いでディバインシールドを突破することに成功する。
それとほぼ同時に雷を纏ったブルーがコンの背後へと高速で回り込む。
そのままの勢いで攻撃を仕掛けるが、突如として目の前からコンが消えて電光迅雷は空振りに終わる。
そして気づいたら背後からコンの尻尾に薙ぎ払われている。
このタイミングで使ってくるか。
郁斗はコンに指示を出してなかったし、読まれてたかな。
稲荷狐の境界線でブルーと場所をチェンジ、背後に回り込んだつもりが、逆に回り込ませてしまう。
わかってはいたけど、ここまで厄介だとは思わなかった。
これでまだ影分身が健在だったらと思うとゾッとするけど、影分身がいない今は考えないようにしよう。
それでこの後、どうする。
正直、コンはできれば
バトルが長引けば再び影分身のクールタイムが明けて影分身を出してくる可能性もあるし、その前に倒し切るのがベスト。
それに今までのバトルからコンの取得している攻撃スキルは全て今の攻防で使い果たした筈。
一気に攻めるなら今しかない。
ここでコンを倒す。
「この攻防はある意味、蓮の勝ちね。これでコンは攻撃スキルが全てクールタイムに入った」
「郁斗の読みを上回るとは蓮もやりますね。それでも立て直してくるところはさすが郁斗です!」
「いや、そこは郁斗の考え過ぎでしょ。いろいろ考え過ぎた結果、今までのバトルと何か変えようって考えて選出の順番を逆にしたけど、それが裏目った」
「蓮は莉菜の時もブルーを1体目に選出していますし、郁斗は寧ろ何もしない方が良かったですね」
「うん、ネメアはリーフィアと相性悪くないし、蓮は郁斗にネメアがいる以上、リーフィアを選出できないでしょ。なら消去法で蓮のモンスターはブルーと
「ブルーのやる気が空回りしてる〜」
「あれはコンが上手かっただけでしよ」
「それでも主に褒められたい一心で頑張ってますね」
莉菜とオリヴィアから少し離れた場所でエルナ、カーラ、リーフィアがバトルを観戦している。
3体だけかと思いきや、アルマとマリンもそのすぐ近くで黙ってバトルを見ている。
この2体の背中からはもっと強くなりたいという想いが伝わってくる。
エルナたちはああだこうだとバトルを冷静に分析している。
ここでブルーが不甲斐ない姿を見せたら主に甘えるの禁止令を発令するのもありとリーフィアは考えていたりもする。
この瞬間、何やら妙な寒気がブルーに襲いかかり、負けたらヤバいと感じている。
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