第78話 ギルドマスターは誰だ!?

『鬼灯蓮のプレイヤーランクがE→Dになりました』


 Dランクに昇格したってことは、レッドゴブリンに勝ったんだ!

 誰も倒されることなく、勝てた。

 よかった〜。


 ブルーがプルンプルン飛び跳ねながらこっちに向かってくると思ったらそのまま俺に飛びついてきた。

 俺の腕の中でプルプルしてる。

 よしよし、なでなで、ブルーも勝てて嬉しいんだな。


 少しして落ち着いたタイミングでブルーは無事?リーフィアに連れて行かれた。

 いつもと同じようにプルプルしてたけど、きっとリーフィアと勝てたことを喜んでいるだな。


 勝ったことの余韻というか興奮し過ぎて目の前に虹色宝箱が出現しているのに気づかなかった。

 前回挑戦した『豚蜜』では全て銀色宝箱で虹色宝箱は出なかったから何かかなり久しぶりに見た気がするな。


 早速、虹色宝箱を開けてみるか。

 いざ、オープン!


『炎小鬼の鉤爪を手に入れました』


 炎小鬼の鉤爪、合成素材みたいだな。

 使うとしたらライトウルフ一択かな。

 でも、今はDランクに昇格してLv上限も45になったし、最低でもLv40になってから使うかどうかは考えよう。


 それからボス部屋近辺のモンスターでLv上げをしつつ、ボスであるレッドゴブリンが復活したタイミングで何回か挑戦した。

 その後も一応、全て勝てたけど、かなり時間がかかった。

 最初みたいに上手く決まらない場面も多々あって苦戦を強いられた。

 それでも誰も倒されることなく、全て勝てたのはよかった。



 家に帰って日課となっているブルーの甘えん坊タイムで一つ大事なことを思い出した。

 莉菜からギルドを一緒に作らないかってお誘いを受けてた。

 しかもまだ返事を保留にしたまま放置してる。

 あれって確かタッグEトーナメントの少し後の話だからあれから約1ヶ月半くらい経つな。

 夏までにって話だった気がするけど、これはヤバイかな?

 毎日のブルーの甘えん坊タイムやら期末テストやらレッドゴブリンへのリベンジやらで頭が一杯で何も考えてなかった。


 シグマさんはゲームを最高に楽しむ為にギルドを結成したと言っていた。

 それに俺に対してゲームを楽しみつつ上を目指せとも。

 莉菜の提案に乗ってギルドを作ることは俺にとってよりゲームを楽しめる要因になるのかどうか。


 うん、そこまで悩むことなかったな。

 明日、莉菜に俺の気持ちを伝えよう。



「莉菜、ギルドの件だけど、今いいかな?」


「はぁ夏までって言ったのは私だけど、いくら何でも遅くない?郁斗も返事まだだし」


 あ、やっぱり遅かったか。

 すっかり忘れてて思い出したのが昨日なんて口が裂けても言えないな。


「俺も一緒にギルドを作りたい!昨日、ちょうどDランクになったしね」


「オッケー!これであとは郁斗だけね。てか、昨日Dランクになったの?意外と苦戦したのね。『ゴブリンパニック』でそんなに難易度高いんだ。あそこのボスの情報少ないのよね」


「ボスってことはレッドゴブリンのこと?」


「あ、たぶんそれ!強い以外の情報が無いの。蓮がここまで苦戦したってことは噂以上に強そうね。今度エルナとマリンを連れて私も挑戦しよっと!」


 何でだろうな、レッドゴブリンが可哀想に思えてくる。

 あんまり遠距離攻撃の手段は無かったし、エルナが空中から一方的に攻撃する展開が目に見える。


「あ、郁斗。ちょうどいいとこに来た!ギルドを作る件、どうなの?」


「え?ああ、それなら問題なし!オッケーだ」


「うん、ならこれで4人でギルドを作れるわね!!」


「お、てことは蓮もオッケーか!」


「うん」


「それでギルド名とかギルドマスターとか諸々決まってるのか?」


「何も決まってないわよ。その辺は私に考えがあるからオリヴィアも一緒に放課後にでも話しましょ」


 郁斗の言う通り、ギルドを作るなら名前とかギルドマスターとか決めないといけないよな。

 莉菜に何かしら考えがあるみたいだけど、大丈夫かな?

 まともなアイデアだといいな。


 放課後、オリヴィアを俺たちのクラスに呼んで莉菜が事の成り行きを説明した。

 話の中でわかったことだけど、もう俺以外の3人はとっくにDランクに昇格していたっぽい。

 唯一、郁斗だけここ最近に昇格したっていうのが救いだった。

 でも、オリヴィアはカーラ以外のモンスターがいないって言ってたけど、カーラだけでDランクに昇格した訳じゃないよね?

 さすがにモンスター1体での攻略は無理だろうから最低でも1体モンスターを捕まえたのかな。


「だいたいこんな感じね。それでこれから私たちはギルド名とギルマスそれと一応サブマスも決めないといけない」


 ギルドを作るのに必要な条件は、ギルド名、ギルマス、サブマス(メンバーがギルマス含めて3人以上の場合のみ)、そしてギルマスとサブマスのランクがDランク以上。

 一応、俺たち4人は全員Dランク以上だから誰がギルマスで誰がサブマスでも問題ないけど、やりたいかどうかは別。

 要は誰がギルドの名を背負い、矢面に立つかって話だ。

 割とよく聞くのは一番強いプレイヤーがギルマスになるって話だ。

 それなら莉菜がギルマスの筆頭候補なんだけどな。

 新入生代表トーナメントで優勝してるし。


「私は個人的にギルマスは一番強いプレイヤーがなるべきだと思うの。ギルドの名を背負う訳だし。だから私たち4人で総当たりのギルドマスター決定戦しない?」


「そこは新入生代表トーナメントで優勝した莉菜がギルマスじゃないんだ?」


「だってやりたくないし。それにもう数ヶ月前も前の話でしょ?今バトルしたら結果は変わるかもしれないじゃん!」


「でも、これで莉菜がまた勝ったらどうするんだ?」


 郁斗、それ聞くの?

 俺もめっちゃ気になったけど、何か聞いちゃいけない気がしたやつ。


「その時はおとなしく受け入れるわよ」


「わかりました。莉菜、ルールは新入生代表トーナメントと同じでいいですか?」


「それじゃあ、つまんないでしょ?折角Dランクになった訳だし、あれやろうよ!」


「ん?あ!!もしかしてあれのことか!なるほどな。Dランクになった訳だし、ちょうどいいかもな」


「はい!私も賛成です!!」


「俺もいいよ。面白そうだし」


 まさかDランクに昇格してすぐにあれをやることになるなんて。

 でも、遅かれ早かれこの時は来る。

 俺がリーフィアに名前を与えたのはレッドゴブリンに勝った先にあるこれを見据えていたのもあるしね。

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