第68話 VSゴブリンナイト

 あれから何回かゴブリン数体と遭遇したけど、第一層に出現するのは通常のゴブリンのみだからそこまで苦戦はしなかった。

 ダンジョンもそこまで複雑な構造をしていないから1時間も探索したら第一層のマッピングは終わった。

 ここから第二層に行くにはまずエリアボスを倒さないといけない。


『ゴブリンパニック』第一層のエリアボスはゴブリンナイト。

 基本的に魔法は無く、遠距離攻撃は何一つ無いらしい。

 その代わり、近接戦はとにかく強くて、魔法防御力が高いからどうしても近接戦で戦わざるを得ないらしい。

 そして相手がゴブリンだからと油断して負けたプレイヤーも一定数いるとか。


 大事なのは相手をゴブリンだと考えずに戦うことってネットには書いてあった。


 よし、早速挑戦だ!


 エリアボスのいるボス部屋には正にナイトという言葉が当てはまるような甲冑を身にまとったゴブリンが1体いる。

 武器は右手に剣士ソードマンと同じで剣、左手には盾を持っている。

 魔法防御力が高いモンスターが相手だし、このバトルは剣士ソードマンを軸にして戦う。


剣士ソードマン、閃撃、ライトウルフはシャインダイブ、ブルーは電光迅雷」


 この中で本命の攻撃は剣士ソードマンの閃撃。

 リヴィングウェポンを装備しているから闇属性が付与されている。

 まずはデバフや状態異常を付与して少しでいいから弱体化させる。


 当然だけど、ゴブリンナイトも攻撃を躱すか盾で受け止めるかすると思う。

 だからそれを阻止する為に雷を纏ったブルーが高速でゴブリンに突っ込むが、当たり前のように反応される。

 しかし、ブルーに意識がいくと今度はライトウルフに対応できない筈だと思ったが、シャインダイブは左手に持つ盾で受け止められる。


 よし、これで閃撃が通る!


 ブルーとライトウルフが上手く立ち回ったから閃撃が決まると思われたその瞬間、ゴブリンナイトは右手に持つ剣で飛んできた斬撃そのものを斬り裂いた。


『追憶の回廊』のスケルトンナイトもだけど、遠距離攻撃を斬り裂くのってさすがに普通じゃないよね?

 あ、でも僅かにダメージを負ってる。

 それにデバフや状態異常も付与されている。

 これってめちゃくちゃ上手くやらないとダメージはちゃんと負うってことかな。

 ちょっと一安心。


 その後、ブルーとライトウルフは距離を取って、剣士ソードマンは逆に距離を詰めて近接戦を仕掛ける。


剣士ソードマン、風薙ぎ、ダークスラッシュ」


 ゴブリンナイトは剣士ソードマンの風薙ぎを盾で防ごうとしたが、風を纏った剣を上手く盾で防御しきれず、左腕を深々と斬り裂かれた。

 追撃のダークスラッシュは風薙ぎを防ごうとした時に体勢が崩れたのもあって防御すらできずにまともにくらう。


「今だ!ブルー、スカーレットアロー、鳴神。ライトウルフはプチシャイン」


 ゴブリンナイトは魔法防御力が高いという話だが、全くダメージを負わない訳では無い筈。

 ここは魔法で追撃する。

 その隙に剣士ソードマンも剣による攻撃で着実にダメージを与えている。


 更なる追撃が見事に決まったその時、ゴブリンナイトの持つ剣が赤黒く光出した。


 これは何かしらのスキルがくる!

 どんなスキルかわからない以上、確実に防ぐ。


剣士ソードマンは下がって!ブルーは電光迅雷で距離を詰めてからディバインシールド!」


 ゴブリンナイトが使用した謎のスキルはブルーのディバインシールドでの防御が間に合った。

 しかし、その一撃でディバインシールドは割られてしまう。


 そんな!?

 今までディバインシールドが一撃で破られたことなんて無かったのに。

 あのスキルはまともにくらえばヤバい。

 次からは確実に回避する方向でいこう。


 しかし、ゴブリンナイトの攻撃はこれだけでは終わらなかった。

 赤黒い輝きを増した剣を振り下ろす。

 すると地を斬り裂くように斬撃がブルーに飛んでいく。

 咄嗟のことで回避行動が取れなかったブルーは攻撃をまともに受けて大きく後方に吹き飛ばされた。


 それだけでなく、たった一撃でブルーのHPが4割も削れた。


「ライトウルフ、ブルーにプチヒール!」


 後方に吹き飛ばされたのが幸いしたかゴブリンナイトからと追撃は来ず、ライトウルフによる回復が間に合った。


 今ならあのスキルはクールタイムに突入している。

 次にあのスキルを使われる前に倒しきるのがベスト!


「ブルーはプロミネンス、ファイアボール、プチサンダー。剣士ソードマンは閃撃、風薙ぎ。ライトウルフはシャインダイブからライトクロー、ライトファング」


 そこからは剣士ソードマンがゴブリンナイトと壮絶な斬り合いをしながらブルーとライトウルフは剣士ソードマンの邪魔しないように攻撃。

 剣士ソードマンとゴブリンナイトが1対1での斬り合いなら互角だろうと思うけど、ブルーとライトウルフのおかげでこちらが有利に進めている。


 剣士ソードマンのダメージも決して少なくないけど、そこはブルーがプチヒールを使って即回復。


 ゴブリンナイトのHPを残り1割ってところまで削ったタイミングで再びあの剣が赤黒く光輝くスキルを使ってきた。

 あと少しと更に攻撃に意識を傾けていたタイミングだったので、今度はディバインシールドが間に合わなかった。

 それでも剣士ソードマンが風薙ぎを使ってゴブリンナイトが振り下ろした剣に合わせるように下から斬り上げて鍔迫り合いに持ち込んだ。


「ライトウルフはプチヒールで剣士ソードマンを援護!ブルーは電光迅雷!それからプロミネンスアタック」


 剣士ソードマンがゴブリンナイトの動きを止めた今が仕留めるチャンス!

 ライトウルフには申し訳ないけど、このチャンスはものにしたい。

 だから剣士ソードマンのHPが5割を下回った辺りでプチヒールを使ってもらう。

 そしてその間にブルーが仕留める算段だ。


 ゴブリンナイトと剣士ソードマンの鍔迫り合いは最初は剣を上から振り下ろしていたゴブリンナイトが優勢だったが、徐々に剣士ソードマンが押し返し始めた。


 状況に変化が訪れたのはブルーが電光迅雷を使ったその瞬間、ゴブリンナイトの意識がほんの僅かだが剣士ソードマンからブルーに移った。

 その一瞬の隙を見逃さずになんとライトウルフがゴブリンナイトに飛び付いた。

 剣士ソードマンとブルーに意識がいって回復役であるライトウルフに対して無警戒過ぎた。

 状況が目まぐるしく変化し、ゴブリンナイトはそれについていけなくなった。

 そこを剣士ソードマンが押し返した形だ。


 再度、剣士ソードマンに意識を戻すが、今度は炎を纏ったブルーがゴブリンナイトの背後から突撃してきた。

 ブルーは電光迅雷を高速移動のみに使ってゴブリンナイトの死角に移動していた。


 この一撃で勝負の行方は決した。

 不意をつかれて背後から攻撃を受けたゴブリンナイトは体勢を崩してしまった。

 そこを3体のモンスターから総攻撃を受けてHPは0になった。


 これで第二層に行くことができる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る