第62話 タッグEトーナメント準々決勝 蓮&郁斗
タッグEトーナメントも1日目が終了した。
明日は準々決勝、準決勝、決勝戦と行われる予定だ。
帰る前に郁斗と莉菜とオリヴィアの3回戦を見たけど、まさかカーラが倒されるとはね。
でも、2体掛かりでカーラを倒すのがやっとでエルナと戦う余力は残ってなかった。
豹獣人とか明らかに相性が悪かったのに、それを覆した。
明日は準々決勝、当然だけど相手もそこまで勝ち上がっている強敵。
俺たちはここまで上手くいってるけど、油断は禁物!
それに明日はどのタイミングで電光迅雷とスカーレットアローを解禁するかが重要になりそう。
スカーレットアローはできる限り隠しておきたいけど、電光迅雷は微妙なんだよな。
もし、決勝戦まで勝ち進めてエルナとカーラのコンビと戦うとなると2体とも空中にいるから電光迅雷で奇襲するチャンスが無さそう。
だから電光迅雷は準々決勝か準決勝のどちらかで解禁って感じかな。
ブルー強くなってる。
一体どんな特訓をしたんだ?
まあでも、今のブルーなら…。
遂にこの時が来た。
準々決勝がもうすぐ始まる。
『時間になりました。タッグEトーナメント準々決勝 鬼灯蓮&二階堂郁斗 VS 中島美奈&車谷有栖を開始します』
『バトルSTART』
「出でよ、ブルー」
「出でよ、コン」
「舞い踊れ、リリア」
「咲き誇れ、ニーニャ」
相手のモンスターは人類種かな、それとも妖精種。
見た感じだとわからないな。
とりあえず、俺は様子を見るか。
「コン、稲荷狐の祟り、稲荷狐の祈り」
「リリア、アクアウェーブ、ブルーにアクアランス」
「ニーニャ、エレメント:水、エレメントウェーブ」
ニーニャの使ったスキル、エレメント。
これは一部の妖精種モンスターが使える極めて強力なスキル。
光と闇属性以外の属性なら好きな属性をエレメント〇〇というスキルに付与できる。
今回はエレメント:水なので、水属性の付与となる。
これってカーラのダークウェーブの水属性バージョン。
まともに受けたら属性相性的にブルーもコンも大ダメージになりかねない。
「ブルー!」
ブルーにはこれで伝わる筈だ。
ディバインシールドで防ぐ。
全て魔法攻撃だから一応、マジックシールドで防いでいると誤認されることも兼ねて、スキル名を言わないでいる。
スキル名を偽るのは重大なマナー違反だからやりたくないしね。
ブルーのディバインシールドはアクアウェーブとエレメントウェーブは完全に防ぎきったが、アクアランスだけは防ぎきれず、障壁を突破される。
しかし、アクアランスもファイアボールを事前に放っていたので、相殺に成功する。
「コン、鬼火!」
「ニーニャ、エレメントウォール」
ここまで開始早々にデバフとバフを付与しただけで何もしてこなかったコンが全体攻撃である鬼火を放つが、ニーニャが展開した水の壁にあっさりと防がれる。
この防御を突破するのは簡単じゃないな。
でも、ブルーがあのスキルを使えば…。
大事なのはタイミング。
見極めろ、俺!
「ブルー、鳴神!」
「ニーニャ、エレメント:土、エレメントランス」
「リリア、アクアボール」
「コン今だ!狐火」
鳴神を防ぐ為にニーニャは水属性から土属性に属性を変化させる。
それだけだと威力不足を判断したのか、リリアもアクアボールを鳴神に向けて放つ。
両モンスターの意識が確実にブルーにいっている。
今がチャンスと判断した郁斗がコンに攻撃を指示するも間一髪のところでリリアがアクアランスを放って相殺する。
お互いに相手モンスターの防御が突破できない状況。
ブルーにはこの状況を打破できるスキルがあるけど、まだその時じゃない。
今、使ってもたぶん対応される。
まだバトルが始まったばかり。
バトルの主導権を相手に渡したくないのは、相手も同じ。
何があろうと対応できるように身構えている筈だ。
「リリア、アクアウェーブ」
「ニーニャ、エレメントウェーブ」
え?何それ?
水属性のアクアウェーブと土属性のエレメントウェーブが合体して土石流みたいなのが迫ってくる。
そんなことできるの!?
「あはは、マジかよ。あれはすごいな」
いや、郁斗も感心してる場合じゃないでしょ!
まずは防がないと。
「ブルー、もう一回頼む!」
プル、プルプル、プル
まるで任せろと言わんばかりにプルプルしてるな。
ディバインシールドで防ぎきれたらいいけど、万が一もある。
ここはそれを想定して対処に動くべきか。
「ブルー、フレイムフォース!」
ディバインシールドを展開中でも他の攻撃スキルは使えるし、味方の攻撃は全てすり抜ける。
その特性を最大限活かしてあの土石流みたいな攻撃を防ぐ。
「「きゃっ」」
「うわ、何も見えない」
「おお、見えねえ。でも好都合!コン、影分身、陽炎、蜃気楼」
ディバインシールド、フレイムフォースと激突した土石流みたいな攻撃な完全に相殺されたが、その影響で辺り一面黒煙に包まれた。
そのせいで何も見えない。
それを逆に利用するとか郁斗もヤバいな。
幻覚と黒煙が混ざりあってもう訳わからない事態に陥っている。
これだけフィールドが混沌としたならいけるかな。
ブルーとは昨日の夜に打ち合わせ済み。
指示を出さなくてもきっと動いてる筈だ。
暫くして黒煙が消える。
コンの幻覚に支配されたフィールドが姿を現した。
その直後、バトルは大きな動きを見せる。
ブルーが相手の裏を取ってる。
まだ相手は幻覚の影響で気づいてない。
今がチャンス!
「ブルー、電光迅雷!」
ニーニャの背後から雷を纏ったブルーが仕掛ける。
「え?いつの間に!?」
「リリア、ブルーにアクアランス」
「させるか。コン、狐火」
即座にリリアはブルーに攻撃するが、コンにそれを阻止される。
ニーニャも想像以上に速く動くブルーに反応できず、まともにくらってしまう。
ニーニャは数メートルほど弾き飛ばされ、立て直す時間すら与えられず、ブルーの追撃によって倒れる。
『ニーニャ DOWN』
「まだよ、リリア!アクアウェーブ!」
この時、中島美奈とリリアの視野は焦りから狭くなっていた。
ブルーを倒せばまだ状況は五分。
それで頭が一杯になっていた。
しかし、これが致命的な隙となってしまう。
コンとその影分身の存在を忘れていた。
それに加えて今も継続してコンの幻覚に囚われていることも。
「コン、鬼火、紅蓮の誓い、二尾の焔」
今、コンの影分身は6体出現している。
コン本体を含めて7体のモンスターから集中砲火を浴びたリリア。
いくら火属性に強いといっても限度がある。
『リリア DOWN』
電光迅雷を解禁することになったけど、勝てた。
次は準決勝か。
そういえば、リリアって妖精種なのか人類種なのかわからずだな。
ニーニャはエレメント系スキルの使い手だから妖精種なのは間違いないけど。
蓮と郁斗は知らなかった。
このバトルに勝つにはあのタイミングでニーニャを倒すしかなかったことを。
もし、ニーニャを倒せていなかったらリリアが本領発揮して押されに押されて敗北しただろう。
ここまで電光迅雷を隠して勝利できたこと、それを解禁したタイミング、この勝利は偶然の産物でしかない。
3回戦までに電光迅雷を解禁して使っていたら、その対策も用意されて、勝つのは厳しいどころか無理だったに違いない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます