第5章 タッグEトーナメント
第56話 タッグEトーナメント1回戦 蓮&郁斗
遂にこの日がやってきた。
今日、明日と2日間掛けて行われるEランクプレイヤーのタッグトーナメント、通称タッグEトーナメント。
俺は
トーナメント表を見た限りだと莉菜とオリヴィアのコンビと戦うのは決勝戦だ。
もちろん、そこまで互いに勝ち上がれればの話だけど。
当然のように相手はEランクプレイヤーだけど、相当な猛者が集まっていると思った方がいいだろう。
俺よりもこのゲーム歴の長い人が多く出場する。
ゲーム歴が長いということはそれだけモンスターの育成に時間を掛けれているということ。
それにダンジョンの宝箱も多く開けているだろう。
虹色宝箱から出たアイテムでモンスターを強化している人も中にはいる筈だ。
いくらブルーが強くなったとはいえ、油断はできない。
「お、蓮!久しぶり!」
「え?郁斗!?久しぶり」
ビックリした!
急に声掛けられて誰かと思ったよ。
「蓮はあれからどうだった?どうするか何も決めてないみたいだったけど」
「学校を休む連絡を市川先生にした時に『追憶の回廊』に挑戦したらどうかってアドバイスをもらって最初はそこに挑戦したよ」
「『追憶の回廊』か。あんまし人気の無いダンジョンだよな?まあ、それはいいか。成果はあったのか?」
「うん、それなりに。攻略した後は『豚蜜』に挑戦したりもしたよ」
「ああ、蜂蜜大好きハニーオークのダンジョンか!『静寂の魔巣』と比べてどうだった?」
「難易度は低かったよ。やっぱり『静寂の魔巣』は難易度高めだったね」
さすがに『静寂の魔巣』はエリアが三つあって、それぞれにエリアボスがいる。
最後にはドライアドという強いボスもいた。
あれに比べたらハニーオークは正直、弱いかな。
「郁斗の方はどうだったのさ?『妖魔の社』でコンのLv上げに取り組んでたんでしょ?」
「まあ、ボチボチかな。それより、トーナメント表見たか?」
完全にはぐらかされた。
「さっき見たよ。予想通りかな、莉菜とオリヴィアのコンビと戦うのは決勝戦」
「そこまで互いに勝ち上がれればの話だけどな」
そう、決勝戦まで勝ち上がる。
口で言うほど簡単なことじゃない。
初めてEトーナメントに出場したプレイヤーが優勝するケースはかなりレアだ。
互いに決勝戦まで進む可能性は正直、低いと思う。
まずは1回戦。
Eトーナメントは規模が小さいから
低ランクプレイヤーが出場するトーナメントで開会式が行われること自体が異例なのだ。
トーナメントのエントリーが締め切られたタイミングで参加者には自動的にトーナメント表とバトルの時間が伝えられる。
時間になったら自動的にバトルが開始する。
逆に時間までに来なければ、自動的に不戦敗だ。
『時間になりました。タッグEトーナメント1回戦 鬼灯蓮&二階堂郁斗 VS 秋川
『バトルSTART』
「出でよ、ブルー」
「出でよ、コン」
「おいで、シャドウレイス」
「お願い、スケルトンリーパー」
相手のモンスターは2体ともアンデッド系か。
シャドウレイスは杖を装備しているし、魔法がメインって感じだな。
スケルトンリーパーはその逆かな。
でも、武器が両手で持つタイプの大鎌って珍しい気がするな。
スケルトンにあの大鎌を装備させてLv上げしたらスケルトンリーパーに進化したのかな。
どっちにしろ、明確に前衛と後衛が分かれているタイプだ。
こっちは連携とかあんまり期待できないし、向こうの連携力次第では厳しいバトルになるな。
「
「わかってる。
「対策が万全?ならこれもか?コン、稲荷狐の祟り、稲荷狐の祈り」
「ブルー、プロミネンス」
コンは解除不可のデバフを相手に、バフを味方に付与する。
ここは電光迅雷といきたいとこだけど、敢えてプロミネンスでいく。
当然だけど、ただ放っただけのプロミネンスは余裕で躱された。
新入生代表トーナメントでの戦いから対策は立てられているだろう。
新スキルはできる限り、温存したい。
この先、勝ち進んで強敵と当たった時の切り札となるから。
そしていきなりコンが新入生代表トーナメントでは使っていなかったスキルを使ったことで相手は困惑する。
しかも、強制的にデバフが付与される。
「くっ、デバフの強制付与。新入生代表トーナメントじゃ使ってなかったスキル」
「新しく取得したスキルね。でも、それだけなら問題ないわ。スケルトンリーパー、闇斬り」
「コン、陽炎」
「シャドウレイス、影渡り」
「マジかよ…」
一瞬でコンの陽炎が破られた。
こうもあっさり破られるなんて…。
シャドウレイスが影渡りというスキルでコンの影まで一瞬で移動する。
正に瞬間移動だった。
幻には影がないからこれだけで本体の居場所がバレた。
実際、陽炎を発動中だとコンの影は見えないけど、無くなる訳ではない。
たぶん、そこを逆手に取られた。
シャドウレイスが出現した場所の手前にコンはいる。
そこを的確に切り裂いた。
「なら蜃気楼だ」
「無駄よ。ゲームに費やした時間が違う。シャドウレイス、影渡り」
「スケルトンリーパー、斬首」
この時、郁斗は不敵な笑みを浮かべた。
まるで獲物がまんまと罠に掛かったみたいな。
「コン、影分身、紅蓮の誓い、二尾の焔」
郁斗は誘ったのだ。
敢えて妖術である蜃気楼を使うことによって、先ほどと同じシチュエーションになるように。
そうして、影分身のスキルを発動し分身と共にまんまと罠に掛かった2体のモンスターを一気に攻撃する。
紅蓮の誓いは物理火属性攻撃スキル、威力40。
このスキルは一定時間、全身に炎纏わせて、相手に攻撃するスキル。
しばらくの間、火属性の攻撃威力上昇。
全身に炎を纏ったコンが尻尾を巧みに使って2体のモンスターを薙ぎ払う。
こうなると最初からわかっていたかのようにブルーが追撃をする。
スケルトンリーパーにはプチサンダーを、シャドウレイスにはプロミネンスをお見舞いした。
シャドウレイスにだけおまけにプロミネンスアタックも。
『シャドウレイス DOWN』
シャドウレイスはおまけが重すぎたのか、このバトルで最初にDOWNしたモンスターとなった。
残るはスケルトンリーパー1体のみ。
それも、コンとブルーが遠距離から魔法でチクチク攻撃してダメージを与えることで最後は一方的にやられた。
『スケルトンリーパー DOWN』
これで1回戦突破だ!
作戦通り、上手くいった。
郁斗は手の内をあまり温存せずに全力で戦う。
相手の注目を郁斗とコンに集めて、警戒させる。
そうすれば、今後強敵と当たった時にブルーが起死回生の一撃を放てるかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます