第52話 潜在解放

 ふー、何とか勝てた。

 最終フェーズって表示が出ていたからこれで終わりだよな。

 これでクリアなのか疑いたくなるレベルで何もない。

 え?何か演出とかないの?

 ずっと真っ白な空間にいるだけじゃん。


『追憶の回廊のクリアを確認しました』


『ブルーの試練突破を確認。潜在解放を実施します』


 え?ちょっと待って。急すぎ。

 何、その試練とか潜在解放って。

 しかも選択肢がない!

 強制イベント!!

 これでブルー弱くなったりしないよな。


 光り輝くブルー。

 真っ白な空間と相まって余計に眩しく感じる。

 光が収まるといつもと何ら変わらないブルーがいた。


 プル、プル、プルン、プルプル


 ブルー(プロミネンススライム、一般種)Lv30

 HP:350→410

 物理攻撃力:19→22

 物理防御力:20→23

 魔法攻撃力:42→45

 魔法防御力:15→18

 素早さ:22→25

 SP:0

 スキル:プロミネンスアタックLv10、マジックシールドLv3→ディバインシールドLv4、プロミネンスLv10、ファイアボールLv6、プチサンダーLv8、鳴神Lv4、迅雷の一撃Lv3→電光迅雷Lv4、フレイムフォースLv3、プチヒール、火属性耐性Lv1、物理耐性Lv2


 え?めっちゃ強くなってる。

 マジックシールドがディバインシールドに進化。

 ディバインシールドは魔法攻撃だけでなく、物理攻撃も防ぐことができる。

 迅雷の一撃が電光迅雷に進化。

 電光迅雷は純粋に威力面が強化されている。

 威力30だったスキルが威力40に上昇している。

 これはありがたい。

 今は完全に主力スキルと化しているからこの強化は嬉しい。


『ブルーが特殊進化条件を満たしました。進化させますか? はい いいえ』


 これだけでも十分過ぎる強化なのに特殊条件を満たしたことで進化できるようになった…。

 でも、これって進化させて大丈夫なのか。

 Lv30でできる通常の進化だと弱くなる可能性の方が高いと思って進化させなかったけど、これはどうなんだろ。


 ブルーは進化したそうな素振りを見せているんだよな。

 さっきから俺の足元でプルプルして訴え掛けてくる。


 うん、ここはブルーの意思を尊重しよう。

 俺は「はい」を選択することにした。


 するとブルーは再び光り輝いた。

 進化する時はいつも光り輝くな。

 光が収まるとそこにはまたしてもいつも通りのブルーがいた。

 このプルプル感はブルーなんだよな。


 ブルー(スカーレットスライム、一般種)Lv1

 HP:310→520

 物理攻撃力:14→26

 物理防御力:17→26

 魔法攻撃力:21→45

 魔法防御力:14→26

 素早さ:13→25

 SP:69→0

 スキル:プロミネンスアタックLv10、ディバインシールドLv4、プロミネンスLv10、ファイアボールLv6、プチサンダーLv8、鳴神Lv4、電光迅雷Lv4、フレイムフォースLv3、スカーレットアローLv1、プチヒール、火属性耐性Lv1、物理耐性Lv2


 SPも振り終わって改めてブルーのステータスを確認したらヤバいことになっていた。

 魔法攻撃力と素早さ以外のステータスは進化前のLv30の状態と比べても上昇している。

 これでまだLv1。

 これから先の伸びしろがヤバい。

 それに新スキル、スカーレットアローを取得した。

 スカーレットアローは魔法火属性攻撃スキル、威力40。

 スキルLvを上げればきっとタッグEトーナメントで活躍する気がする。


 ここで急にウインドウが目の前に表示されたと思ったらとんでもない内容が書かれていた。


『注意事項の伝達。潜在解放については秘匿義務がプレイヤーには付与されます。上記を守れなかった場合、プレイヤーアカウントがBANされることもあります』


 つまり、潜在解放については一切他言するなということか。

 ずっと疑問に思っていたけど、市川先生は何で『追憶の回廊』への挑戦を勧めてくれたのか。

 具体的な理由は一切語らず、意味あるものになるとだけ言っていた。

 それって潜在解放のことは知っているけど、秘匿義務があって俺には言えなかったってことか。

 だから回りくどい言い方をしていたんだな。

 この『追憶の回廊』への挑戦を勧めてくれた市川先生に今度感謝の気持ちをちゃんと伝えないとな。


 今日はまだ5月3日。

 タッグEトーナメントは11日から始まる。

 俺に残された時間はちょうど今日を除いて1週間。

 ここから1週間ブルーのLv上げに費やせば、EランクのLv上限である30まで上げることはできると思う。

 そしてタッグEトーナメントで強くなったブルーのお披露目だ。

 そうと決まれば、今日は時間も遅いしホテルに帰って明日以降のスケジュールについて考えよう。


 ホテルで夕食を食べ終えたので、俺は部屋に帰って明日以降の動きを考えていた。

 まあ一番無難なのはこの付近にあるダンジョンでブルーのLv上げを行うこと。

 同時に剣士ソードマンやライトウルフのLv上げも行えたらいい。

 となると剣士ソードマンやライトウルフはまだLvが低いからFランクダンジョンに挑戦する方がいいかな。

 でも、今のブルーの強さなら剣士ソードマンやライトウルフのLvが低くてもEランクダンジョンでも何とかなる気もする。

 とりあえず、近場にあるダンジョンについて調べてみるか。


 あれからいろいろと調べて、明日以降どうするか決めた。

 Eランクダンジョン『豚蜜ぶたみつ』に挑戦する。

 ここはEランクダンジョンの中では比較的難易度が低い。

 道中に出現するモンスターはFランクダンジョンのモンスターを少し強化した程度らしい。

 最奥にいるボスモンスターはEランクダンジョンのボスなので、それ相応に強いらしいが、他のEランクダンジョンのボスモンスターに比べると劣るらしい。

 今の俺には打って付けのダンジョンだ。

 明日からはEランクダンジョン『豚蜜』に挑戦する!


 そうと決まれば、明日に備えて俺は寝る!

 おやすみ~。

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