第51話 最終フェーズ
その後フェーズ22では『遊楽園』で戦った獄卒と、フェーズ23以降は『静寂の魔巣』で戦ったモンスターとバトルした。
これといって特に強化されているという感じはなかった。
あれから2日くらい掛かったけど、ようやくここまで辿り着いた。
『最終フェーズ ドライアドとのバトルを始めます』
今度は何もしゃべらない。
やっぱり『静寂の魔巣』特有の演出か何かだったのかな。
まあそんなことはどうでもいいか。
ここを勝って『追憶の回廊』をクリアする。
ドライアドが地面から樹の根のようなものを出現させる。
それがブルーへと一斉に襲い掛かる。
前回は4体のモンスターそれぞれに攻撃する為に分散されていたが、今回はブルーしかいない。
だから当然、全ての攻撃の矛先がブルーに向けられる。
「ブルー、迅雷の一撃」
開幕と同時にこの攻撃は予想していた。
だから対処法もしっかり考えてある。
攻撃密度がえげつない攻撃だから素早さで振り切る。
その為には迅雷の一撃の高速移動を利用するしかない。
ドライアドの樹の根のような攻撃がブルーが先ほどまでいた場所に突き刺さる。
ほんの僅かだったけど、ブルーが雷を纏ってドライアドに向かって突撃する方が速かった。
つまり、ドライアドの攻撃をブルーの素早さが上回った。
そのままの勢いでドライアドに攻撃が届くかのように思われたが、そこまで甘くはなかった。
風属性の範囲攻撃魔法、トルネードで迎撃される。
ブルーの素早い動きが捉えきれないと判断した上でこの攻撃か。
マジックシールドでは範囲攻撃を防ぎきれない。
ここは素直に受けるか。
ブルーの残りHPは6割弱。
これくらいなら問題ない。
ドライアドは基本的に樹の根を使って攻撃してくる。
今までみたいに殆どのスキルがクールタイムに入ったところを集中攻撃はできないと思った方がいいだろう。
なら樹の根を掻い潜って距離を詰めれた今が攻め時。
「ブルー、プチサンダー、プロミネンス」
この攻撃は風属性の魔法で相殺しにくるか。
今使ったのはウインドカッターとウインドボールかな。
それに一つわかったことがある。
魔法と樹の根は同時に使えないみたいだ。
以前バトルした時はそんなことなかったと思うんだけどな。
まあ、深く気にする必要はないか。
とにかく、今は攻める。
「ブルー、フレイムフォース」
ここはフレイムフォースのみ。
鳴神はブルーの持つスキルの中では最強格。
それでいて雷属性のスキルだからクールタイムが意外と短い。
今までクールタイムの短いスキルは早めに使って回転率重視で攻撃していたが、敢えてここは温存する。
フレイムフォースはただの目眩し。
本命は次。
「ブルー、プロミネンスアタック」
ドライアドがフレイムフォースを土属性の魔法、アースバレットで相殺しようとしたが、失敗する。
それに奇妙な違和感を感じた。
ドライアドって確かアースクエイクも使えたよな。
もしかして、読まれてる?
俺の懸念は当たってしまった。
ブルーがフレイムフォースの炎を目眩しにプロミネンスアタックで攻撃を仕掛けるところを狙ったかのようにアースクエイクで迎え撃たれた。
でも、悪いことしか起きていない訳ではない。
ブルーのフレイムフォースは確実にドライアドのHPを削った。
恐らく、ドライアドはブルーの更なる接近を防ぐ為にフレイムフォースの被弾覚悟でプロミネンスアタックを防ぎにきた。
これはもう確定でしょ。
ドライアドは近接戦闘が一切できない。
『静寂の魔巣』でバトルした時と同じだ。
この何よりも相手モンスターの接近を拒む戦い方。
なら、もっと距離を詰めて近づかせてもらおう。
「ブルー、迅雷の一撃」
雷属性のスキルはクールタイムが他の属性のスキルよりも短い。
だからこの短時間で迅雷の一撃はクールタイムが明けた。
さすがにこの超スピードのブルーの動きは見極めれないみたいだ。
ブルーの攻撃は完璧にドライアドに決まった。
それに予想以上に物理防御が脆いみたいだ。
フレイムフォースでは1割も削れなかったHPが迅雷一撃だけで残り7割まで削れている。
アースバレットでフレイムフォースの威力が落ちていたとはいえ、これはかなりダメージが入っている。
このまま距離を詰めた状態を維持して物理攻撃で仕留める展開に持ち込めたらベスト。
それにドライアドは使える魔法が全てクールタイムに突入していると思う。
樹の根は未だに警戒は必要だけど、それに関しては俺がブルーの目になればいい。
ブルーにはドライアドだけに集中してほしい。
「ブルー、プロミネンス、ファイアボール」
思った通り魔法は全てクールタイムに突入しているみたいだ。
ブルーの攻撃を樹の根を使って防ぎつつ、攻撃もしようとしている。
でも、その攻撃は俺が見ている。
「ブルー、右に飛べ」
プルン、プルン、プルン
ブルーの背後から樹の根が迫っていたが、回避に成功するどころか、樹の根を足場にして縦横無尽に動き回っている。
四方八方からブルーは攻撃を仕掛けている。
いつの間にこんなことできるようになったんだ。
ブルーはやればできる子だな。
ブルーはそのまま縦横無尽に動き回り、ドライアドを圧倒した。
決め手となったのは雷属性のスキルが使えたことだ。
迅雷の一撃は汎用性が高く、クールタイムの短い。
鳴神も同様にクールタイムが短く、威力も高い。
ブルーは魔法攻撃力が極端に高いので、その威力は折り紙つきだ。
使える攻撃スキルの数が増えて、戦いの幅が広がった。
今のブルーならエルナやカーラ、コンと比べても遜色ないと思う。
さすがにステータスは負けるけど。
今度のタッグEトーナメントであの2人と当たるのは恐らく、決勝戦だろう。
確か例年、トーナメントの組み合わせがそうなるようになっていた筈。
だから俺は郁斗と必ず決勝戦まで勝ち抜いて、リベンジを果たす!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます