第50話 つかんだ
フェーズ18でハーピィに何とか勝てた。
次のフェーズ19では本選1回戦で戦ったレックスという名前のティラノサウルス。
フェーズ20では2回戦で戦ったハイオーガとバトルした。
どちらもハーピィ戦ほどの苦戦はしなかった。
空を飛べない相手だったので、終始ブルーが優位に立ち回り、圧倒した。
フェーズ20が終わったところでセーブはしたけど、問題は次だ。
この流れからして次に戦うのはエルナだ。
一度、負けた相手。
次は勝てると断言できるような相手じゃない。
『フェーズ21 エルナとのバトルを始めます』
バトル開始のウインドウが表示されると星炎の双銃と星炎のイヤリングを装備していないエルナが出現した。
もしかしたら新入生代表トーナメントの時のデータを使ってて、この二つは装備していないんていなんじゃって思ったりしたけど、正に予想が的中した。
いくらゲームとはいえ、モンスターの最新情報を反映するのはさすがに問題になる。
でも、過去に対戦した時のデータを元に独自に強化した状態ならギリギリセーフという判定なのだろう。
正直なところスターフレイムショットとロックオンを使ってこないだけで滅茶苦茶ありがたい。
あれらを使われたらかなり厳しいバトルになるからな。
警戒すべきは光魔法。
あの速さは常に頭に置いて、警戒しておかないと対処できない。
そこから崩されるのだけは防がないと。
これはタッグEトーナメントでも戦う可能性のある相手との前哨戦みたいなもの。
このエルナに勝てないようなら実物には到底勝てない。
「ブルー、プチサンダー」
まずはエルナの出方を窺う。
その為に最もクールタイムが短いプチサンダーを放つ。
魔法で相殺しにくるか、それとも躱すか、どっちだ。
相殺せずに躱した。
今のブルーのプチサンダーはスキルLv8。
それなりに威力のあるスキルとなっている。
恐らく、プチシャインでは相殺することはできないと考えていいだろう。
光魔法は威力が低い代わりにとにかく速い。
同じ威力10の魔法でもスキルLvにもよるが、光魔法の方が威力は遥かに劣る。
威力は同じでも属性によって正確な威力は変動する。
知らないスキルを持っている可能性もあるし、プチヒールもある。
警戒は常に怠れない相手だけど、今のブルーなら何とかできる相手に思える。
その後のバトルは空中からエルナが一方的に攻撃する展開が続いた。
しかし、ブルーはそれら全てを躱している。
未だにマジックシールドを使わずに凌いでいる。
エルナはプチシャインやプチファイアといったクールタイムが短いスキルを巧みに使うことで絶えず攻撃できる状況を作り出している。
ここはブルーにも見習ってもらわないとだな。
でも、どこかで反撃しないと。
守ってばかりではバトルには勝てない。
でも、反撃するタイミングがわからない。
何かあると思うけど…。
考えろ、考えるんだ。
…!
もしかして…。
これならいけるかも。
でも、まだその時じゃない。
今は次のチャンスを待つしかない。
そうしてブルーはエルナの猛攻を躱し続けて、遂に反撃の時が来た。
エルナのプチシャインとプチファイア以外のスキルがクールタイムに突入したこのタイミングしかない。
ここからは攻撃が極端に減る。
他のスキルがクールタイムから明けるのを見計らっているからだ。
ブルーの攻撃スキルは全て使える。
エルナが直前に放ったシャインランスはマジックシールドで防ぐ。
このバトルで初めてマジックシールドを使って、エルナの攻撃を防いだ。
もちろん、この後の反撃につなげる為。
「ブルー、プチサンダー、鳴神、ファイアボール」
まずはプチサンダーと鳴神、そしてファイアボール。
プチサンダーは敢えてエルナの正面よりやや右側に。
鳴神はプチサンダーよりやや遅れて完全に今のエルナのいる場所からしたら当たらない左側に放つ。
ファイアボールはまだ放たない。
最初にプチサンダーを放った時、エルナは相殺ではなく回避を選択した。
使えるスキルがプチシャインとプチファイアしかない状況なら同じ選択をする筈。
そう、俺はエルナに対して回避を選択させたのだ。
それ以外の選択肢がそもそも存在しない状況に攻撃を仕掛けた。
当然のようにエルナは回避を選択。
そして、右側には避けず、左側に避けようとした。
すると回避した先に鳴神が飛んできた。
プチサンダーをの回避には成功したが、鳴神は回避できなかった。
寧ろ自分から鳴神に突っ込んで行ったとも言える。
エルナは今、反射的に自分の正面やや右側に飛んできた攻撃を躱そうと左側に動いたのだ。
鳴神に被弾したエルナにブルーはすかさずファイアボールで追撃する。
最初からファイアボールを放たなかったのはエルナが全く違う方向に回避した時の為だ。
もし、プチサンダーだけでなく、鳴神も躱そうと動いたらその回避先にファイアボールを放つ。
自身の左右に飛んでくる攻撃を躱すには上と下が一番確実。
そこからプロミネンスやフレイムフォースでの追撃を試みるつもりだった。
もちろん、空を飛べるの三次元動きで上手く躱される可能性もあったけど、ここまで攻撃ばかりしており、意識が攻撃にいっていたエルナが急にそこまで頭を回せる可能性は低いと判断した。
ブルーの攻撃を受けてやや高度を下げているエルナに対して更なる追撃を行う。
ここまで高度が下がれば、ブルーの物理攻撃もギリギリ届く。
「ブルー、迅雷の一撃!」
雷を纏い高速で迫るブルーに反応できず、吹き飛ばされる。
空を自由に飛べるモンスターも地に落とせば、問題ない。
そこからは回復される前にプロミネンスやプロミネンスアタック、フレイムフォースで追撃。
これだけではHPを削り切れなかったが、クールタイムが明けていたプチサンダーと鳴神を放ち、何とか回復される前にエルナのHPを削り切れた。
ようやく少しだけ理解できた。
バトルはこちらが優位に立てる状況を如何に相手に押し付けるかだと。
今回は最初以外攻撃せずに防御に徹していたので、エルナの意識が攻撃に傾いていた。
それに加えて、攻撃に使えるスキルがプチシャインとプチファイア以外全てクールタイムに突入しているという状況を利用した。
こちらが優位に立てれば、あとは仕留めきれるかどうか。
二回目以降は相手に警戒されるだろうけど、警戒すればするほど攻撃頻度が減る。
こちらの攻撃も当てづらくなるだろうけど、バトルって基本的に全てそんなものだと思う。
空中にいる相手に一方的に優位を取られないだけでも十分過ぎるし、相手からするとかなり戦いにくいだろうしね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます