第45話 激闘再び!スケルトンナイトとの再戦

『追憶の回廊』の攻略が厳しいと思い、一度リタイアした。

 まさか連戦を強いられるとは思いもよらなかった。

 でも、このシステムのおかげでブルーの弱点が浮き彫りになった。

 攻撃スキルが絶対的に少ない。

 スライムは元々攻撃スキルに依存するタイプのモンスター。

 最低でもあと一つ、二つくらいは使い勝手の良い攻撃スキルが欲しい。


 今、ショップポイントはだいたい30,000くらい貯まっている。

 一つ10,000する魔法攻撃スキルの書も三つくらいなら購入できる。

 でも、それでいいのかがわからない。

 ブルーは今でこそ魔法攻撃主体だけど、最初は魔法適性がなかったから物理攻撃主体だった。

 今でもプロミネンスアタックを使うことはある。

 なら物理攻撃スキルの書を購入するべきか。

 とりあえず、両方一つずつ購入するか。


 ウインドウを開いてショップから物理攻撃スキルの書を魔法攻撃スキルの書を一つずつ、合計二つ購入しよう。

 これをブルーに使う。


『ブルーに物理攻撃スキルの書を使用しますか? はい いいえ』


『ブルーに魔法攻撃スキルの書を使用しますか? はい いいえ』


 二つのウインドウが表示されて、二つとも「はい」を選択する。


『ブルーは迅雷の一撃を取得しました』


『ブルーはフレイムフォースを取得しました』


 迅雷の一撃、物理雷属性攻撃スキル、威力30

 フレイムフォース、魔法火属性全体攻撃スキル、威力30


 ここに来てブルーが全体攻撃スキルを取得した。

 これはかなり大きい。

 それに雷属性の物理攻撃スキルも。

 雷属性のスキルはクールタイムが比較的短いからこれもかなり使い勝手は良いと思う。

 他の3人のモンスターに比べてブルーが弱く感じていたけど、これで見劣りしない筈だ。


 ブルーが新しくスキルを取得して強くなったし、もう一度『追憶の回廊』に挑戦しよう。

 一度、リタイアするともう一回フェーズ1からやり直しになるが、こればかりは仕方ない。

 あのまま挑戦を続けてもすぐに限界がきただろう。


 その後、フェーズ1からフェーズ4までを無事にクリアした。

 そしてフェーズ5に突入する。


『フェーズ5 スケルトンナイトとのバトルを始めます』


 スケルトンナイト。

 初めて戦ったダンジョンのボスモンスター。

 初めてブルーが負けた相手。


 今までの傾向からスケルトンナイトもかなり強化されているだろう。

 過去に一度勝ったことがあるからと油断したら確実に負ける。

 そんな気がする。

 もう油断なんかしない。

 慢心もしない。

 地に足をつけて、一歩ずつ前に進んで強くなるんだ。

 その為にも今の俺たちの全力をぶつけて、勝つ。


 スケルトンナイト相手に後手には回りたくない。

 常に先手先手で戦う。


「ブルー、迅雷の一撃、プロミネンスアタック!」


 雷を纏ったブルーがあり得ないほど速い動きでスケルトンナイトに攻撃する。

 予想外の速さにスケルトンナイトは反応すらできない。

 そこをすかさず、プロミネンスアタックで追撃するが、これは左手に持った盾に防がれる。


「ここだ!フレイムフォース」


 プロミネンスアタックを盾で防がれた瞬間に俺はフレイムフォースを指示する。

 もしかしたら迅雷の一撃ですら盾で防がれるかもと思っていたけど、さすがにそれはなかった。

 でも、追撃のプロミネンスアタックは確実に防がれると思っていた。

 だからこそ、このタイミングでフレイムフォースを放つ。

 フレイムフォースはブルーを起点にして、全方位に炎が解き放たれる。

 スケルトンナイトの持つ盾では0距離で放たれたフレイムフォースを完全に防ぐことは不可能。


 そして、フレイムフォースを放つとちゃっかりスケルトンナイトと距離を取っているブルー。

 いつの間にあんなに距離を取ったんだ?

 まあ、そこはさすがブルーといったところか。


 スケルトンナイトは右手に持っている剣を振り上げる。

 この感じって、もしかして閃撃。

 まだそこまでHP減ってないのに使ってくるのか。


「ブルー、閃撃が飛んでくる!とにかく動き回って的を絞らせるな」


 これでもかというくらいに出鱈目に動き回っている。

 これではスケルトンナイトも閃撃を当てるのは無理のようだ。

 狙い澄まして放ったのだろうが、ブルーには掠りもしなかった。

 ここからもう一回反撃と思ったらスケルトンナイトが闇に覆われた。

 狂乱モードとは全く違う何か異質な状態に突入している。

 全くの未知。

 どうしたらいいかわからず、様子を見ているとスケルトンナイトは盾を捨てた。

 するとスケルトンナイトの手が伸びた。

 いや、伸びたように見えるだけで、実際は手の形をした闇がブルーに迫っている。

 躱してもブルーをしつこく追いかけてくる。

 ブルーに攻撃をさせないつもりか。

 でも、スケルトンナイトと距離を取ってるこの状況、ブルーならきっと使える。


「ブルー、プロミネンス、ファイアボール」


 まずはプロミネンスとファイアボールで反撃を試みる。

 闇に追いかけられている状況での反撃は予想外だったのか、ブルーの攻撃は直撃した。

 すると、スケルトンナイトの手から伸びていた闇が消えた。

 でも、スケルトンナイトを覆う闇まで消えた訳ではない。

 恐らく、何かしらの理由でスキルが解除されて、クールタイムに突入してのだろう。

 今度はさっきまでとは一転して、スケルトンナイト自らが距離を詰めて剣で攻撃を仕掛けてきた。


 予想していたよりもあまりにも速い。

 このままじゃ斬られると思った瞬間、ブルーが雷を纏った。

 これは迅雷の一撃。

 そうか、迅雷の一撃は高速移動からの攻撃を基本とする攻撃スキル。

 これを応用すれば高速移動を回避に利用できる。

 そのままスケルトンナイトの剣を回避するかと思いきや、何と正面から激突した。


 あの、ブルーさん?

 そこは迅雷の一撃の高速移動を利用して回避するとこなんじゃ…。

 何でそうなっちゃったんですかね。


 ここで更に俺の思いもよらない出来事が起きる。

 迅雷の一撃を放って、スケルトンナイトの剣と激突している最中にブルーが鳴神を使用した。

 鳴神の直撃を受けたスケルトンナイトは堪らず剣に込める力が緩み、迅雷の一撃をまともにくらって、後方に吹き飛んだ。

 そこを狙い澄ましたかのようにブルーはプチサンダーとプロミネンスアタックで追撃。

 プロミネンスアタックで追撃した後は深追いせずに距離を取る。


 そこはちゃんと距離を取るんだ。

 何か誇らしげにプルプルしてる気がする。

 さすがに気のせいだよな?

 バトルの最中だし…。


 スケルトンナイトは体勢を整えると正眼の構えをとる。

 本来なら剣先を相手の目に向けて剣を構えるが、ブルーのどこに目があるのかわからない。

 その為、ブルーの中心に向けて剣先を向けている。

 正眼の構えは攻防共に隙がないとされている構え。

 正直、攻めどころが見つからない。

 近接戦は厳しいか。

 それなら近づかずに戦うだけだ。


「ブルー、鳴神!」


 スケルトンナイトは自身に迫り来る雷を剣で斬り裂いた。


 え?

 剣で斬った?

 魔法って斬れるの?

 嘘でしょ!?

 そんなことされたらもう魔法が使えない。


 魔法を斬られるならもう近接戦しかない。

 ブルーもそれを理解しているのか、徐々に間合いを詰めるが、その歩みを止めた。

 これ以上は迂闊に近づけないということか。


 しばらくお互いに様子見が続く。

 そして先に動いたのはスケルトンナイトの方だ。

 痺れを切らして動いた訳ではない。

 根拠は何もないけど、ただ何となくそう感じた。

 ブルーはそれに対して一切、動かない。

 いつもみたいにプルプルもしていない。

 それだけ集中している証拠。


 今のスケルトンナイトは盾を手放したので、剣しか装備していない。

 つまり、剣を掻い潜ればブルーの攻撃は直撃する筈!


 ブルーはスケルトンナイトの剣をギリギリまで引きつけている。

 そしてギリギリの所を回避に成功。

 そのまま流れるようにプロミネンスアタックで反撃するが、スケルトンナイトは素早く剣を切り返してきた。


 しかし、不十分な体勢での切り返しだったので、ブルーが押し勝ち、プロミネンスやファイアボール、プチサンダーや迅雷の一撃で一気に仕留めに掛かる。

 途中、スケルトンナイトの反撃をくらい、デバフや状態異常を付与されたが、構わず攻撃を続けた。

 HPが2割を下回った時があったけど、これはプチヒールで回復することで何とかなった。

 物理攻撃スキルと魔法攻撃スキルを上手く組み合わせて、強化されたスケルトンナイト相手にも勝利できた。


 今までのブルーは魔法攻撃がメインで、魔法が通じない時に物理攻撃を選択していた感じがあったけど、今は少し違う気がする。

 状況に応じて使い分けることができている。

 何だかカーラみたいな戦い方だ。

 と言ってもカーラはもっと上手く立ち回っているけど…。

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