第16話 予選終了

 最後、対戦相手がボソッと呟いているのが偶然、聞こえた。

 姫島莉菜。

 ブルーが苦戦したジャイコスを一方的に倒した。

 そんなに強いのか。

 でも今、姫島莉菜のことを考えても仕方ない。

 まずは予選大会を突破することに集中しないと!


 次の予選第4試合は白黒学園 第5グラウンドで午後5時から行われる。

 そこには既に対戦相手のプレイヤーと思われる女性がいた。

 相手のプレイヤーとは時間まで何も会話をするは無かった。

 相当緊張しているのだろう。

 それが痛いほど俺にも伝わってくる。

 そして、時間を迎える。


『バトル START』


「出でよ、ブルー」


「お願い、ハーピィ」


 相手のモンスターはハーピィのようだ。

 頭は人間の女性みたいだけど、それ以外は鳥。

 ハーピィは一応、人類種のモンスター。

 ジャイコスみたいに飛び抜けたステータスは無いと思うけど、注意していこう。

 それにハーピィの厄介なところはステータスではなく、空を自由自在に飛べる点にある。

 空を移動する相手に攻撃を当てるのはそれだけ難しい。

 ブルーの場合、遠距離攻撃の手段があるだけまだマシだが、近距離でしか攻撃できないモンスターは泣きを見る。


「ハーピィ、プチウインド」


「ブルー、プチサンダー」


 ハーピィの放つ風魔法とブルーの放つ雷魔法が正面からぶつかる。

 少しだけ拮抗した様子を見せたが、ブルーの放ったプチサンダーが押し勝ち、ハーピィに直撃する。

 被弾した影響でハーピィの動きが鈍くなる。


「今だ、プロミネンス」


 動きが鈍くなったタイミングで攻撃を仕掛けたが、すぐに立て直したハーピィが難なく躱す。


「ハーピィ、もう一回プチウインド!」


「マジックシールド!」


 先ほどとは違い、プチサンダーはクールタイムに突入している。

 その為、マジックシールドを展開してプチウインドを防ぐ。


「くっ!ならハーピィ翼撃!」


 魔法ではブルーに有効打が与えられないと判断したのか、近接戦闘に切り替えてきた。

 空から一方的に攻撃できる利を捨てて近づくのは、ブルーにとって戦いやすくなるだけだ。


 キィャァァァ――――――!!!


「ブルー、ギリギリまで引きつけてプロミネンスアタック!」


 ものすごい勢いで急降下してくるハーピィと炎を纏ったブルーが正面から激突。

 勢いで勝るハーピィがブルーを弾き飛ばすかと思いきや、逆にハーピィが弾き飛ばされた。

 ハーピィは物理攻撃力はかなり低いモンスター。

 ブルーもそこまで高くはないが、Lvに差があったのだろう。

 これにより、ハーピィはブルーに対して完全に手詰まりに陥った。


 その後の展開はひどく一方的なものだった。

 空を自由自在に飛び、ブルーの攻撃を辛うじで躱し続けているが、ハーピィのHPはじわじわと削れていった。

 最後はブルーの放ったプチサンダーを躱しきれず、直撃。

 この攻撃で勝敗は決した。


『ハーピィ DOWN』



 これで俺は4勝0敗。

 予選大会は最大で5試合行われる。

 あと1試合あるのかどうかはこの後の対戦場所と時刻を示したウインドウが表示されるかどうかでわかる。

 しばらく時間が経っても一向に何のウインドウも表示されない。

 恐らく、他のプレイヤーの対戦結果次第で予選第5試合の有無が決まるということだろう。

 5試合中4勝すれば本戦出場は安泰かなと思っていたけど、どうやら俺の想像以上の激戦になっているのかもしれない。


 それから10分ほど経ち、ようやく結果が判明した。


『おめでとう、鬼灯蓮。あなたは新入生代表トーナメントの予選大会を通過し、本戦出場が正式に決定しました』


 よし!!これで本戦に出場できる!

 二階堂郁斗は予選大会をちゃんと通過できたのかな。

 予選大会で当たらなかったからできれば本戦では戦ってみたいな。

 あ、予選大会を通過して本戦に出場するプレイヤーのリストとトーナメント表が送られてきた。


 二階堂郁斗は反対ブロックか。

 戦えるとしたら決勝戦。

 それに順当に勝ち上がっても姫島莉菜と準決勝で戦う可能性がある。

 あとは、オリヴィア・ブラウンさんって人が気になるな。

 名前的に外国の方だよな。

 噂程度で今年はアメリカ人の留学生が1年にはいるって聞いてたけど、この人かな。

 どんなモンスターでエントリーしてるのかな。

 みんなもモンスターを見られるのも楽しみだな。


『本戦トーナメントは明日4月23日(火)に行われます。1回戦第1試合 鬼灯蓮 VS 藤森翔 は午後4時より開始します。場所は白黒学園バトルスタジアムです。』


 本戦は明日。

 できる限り、今日の内にLv上げをしよう。

 本戦ではきっとジャイコスみたいに強いモンスターばかりだ。

 少しでもブルーのLvを上げて、万全の状態でバトルしよう。

 Lv上げはいつも通り『巨石の採掘場』でいいかな。

 あそこが一番戦いやすいし。


 ブルー(プロミネンススライム、一般種)Lv12→19

 HP:320→350

 物理攻撃力:10→14

 物理防御力:17→20

 魔法攻撃力:36

 魔法防御力:15

 素早さ:22

 SP:0→7→0

 スキル:プロミネンスアタックLv5→7、マジックシールドLv1、プロミネンスLv5→7、プチサンダーLv1→3、プチヒール、火属性耐性Lv1、物理耐性Lv1


 剣士ソードマン(人類種)Lv1→11

 HP:170→220(+100)

 物理攻撃力:16(+10)

 物理防御力:9→14(+5)

 魔法攻撃力:0(+1)

 魔法防御力:8(+5)

 素早さ:12→17(+5)

 SP:0→10→0

 スキル:閃撃Lv5→6、(闇属性付与、闇属性強化Lv1、状態異常耐性Lv1、デバフ耐性Lv1)

 武器:リヴィングウェポン(HP+40、物理攻撃力+10、物理防御力+2、魔法攻撃力+1、魔法防御力+2、素早さ+5、闇属性付与、闇属性強化Lv1)

 防具:光狼の盾(物理防御力+3、魔法防御力+3、状態異常耐性Lv1、デバフ耐性Lv1)


 ライトウルフ(一般種)Lv1→11

 HP:220→250

 物理攻撃力:17→21

 物理防御力:12→15

 魔法攻撃力:14→16

 魔法防御力:10

 素早さ:20→21

 SP:0→10→0

 スキル:ライトクローLv5、ライトファングLv3、プチヒール、プチシャインLv1→3


 リヴィングウェポン(武具種)Lv1→11

 HP:40

 物理攻撃力:4→10

 物理防御力:2

 魔法攻撃力:1

 魔法防御力:2

 素早さ:1→5

 SP:0→10→0

 スキル:闇属性付与、闇属性強化Lv1




――――――――――――――――――――

新入生代表トーナメント本戦 トーナメント表

https://kakuyomu.jp/users/Yumaku00/news/16818093075785785950

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る