第14話 開幕
遂に今日、新入生代表トーナメントが開幕。
今日は予選が行われる。
この予選を通過できるのは全部で32人。
出場者は200人を超えると聞いている。
やっぱり凄い人数だ。
「これより、第7回新入生代表トーナメントを開催することをここに宣言します!」
わぁぁぁぁぁぁ―――――――!!
学園長先生の開会の宣言とともにものすごい歓声が響く。
『Let's Monster Battle』をしている1年生はみんなこの日を楽しみにしていた。
実際、俺も今超テンション上がってる!
これは俺たち1年生にとっては入学して最初のイベント。
今日は学園中にARフィールドが展開される。
このARフィールドの中ならARゴーグルを装着しなくても『Let's Monster Battle』を楽しむことができ、今日は学園の至る所でバトルが行われる予定だ。
実際、この新入生代表トーナメントで上位4人が出場するEトーナメントなどの大会会場もこのARフィールドが展開されている。
その為上位の大会、Aトーナメントなんかは常にテレビ中継されていたりもする。
学園としてはこのイベントを通じて他クラスの人たちとも交流を持ち、仲良くなって欲しいという思惑もある。
それもこれも何れプロプレイヤーとして世界に名を轟かす人物が
今日は予選大会が行われる。
予選大会のルールは至ってシンプルで、参加者は今から
このバトルの勝率上位16名が本戦であるトーナメントに出場できる。
ただし、早々に2敗した者から予選敗退となる。
勝ち残り続けている参加者の人数が16人になった瞬間、予選は終了。
また、使用できるモンスターはエントリー時に登録したモンスターのみ。
進化して姿形が変わっているなどは問題ないが、根本的に使用するモンスターそのものを変えることは認められていない。
それが発覚した者は強制的に失格となる。
バトルはランダムマッチングで行われる。
指定された時間にその場所にいないと不戦敗となる。
なので、戦わずしてずっと隠れ続けて残り16人になるのを待つとかはできない。
バトルの結果は『Let's Monster Battle』のアプリを通して、学園側に伝わるシステムになっているらしい。
理屈はよくわからないが、このシステムのおかげで一切の不正ができない。
その後もいろいろと長い学園長先生の話が終わり、予選第1試合の場所と時間を示したウインドウが目の前に表示された。
『予選第1試合 白黒学園 理科準備室にて午後4時開始』
今が午後3時50分だから10分後にバトル開始か。
今いる所から理科準備室はそこまで遠くないし、余裕で間に合うかな。
理科準備室に着くとそこには既に人がいた。
恐らく、俺の対戦相手。
ちょっと緊張するな。
ブルーと俺の力でどこまで戦えるか。
「おまえが俺の対戦相手か?」
「はい、鬼灯蓮です」
「
お互いに簡単に名前を名乗った後は無言の時間が続き、遂にバトル開始時刻となった。
『バトル START!』
「出でよ、ゴブリンキング!」
「出でよ、ブルー!」
バトルが始まるとお互いにモンスターを召喚する。
涼宮隆二のモンスターはゴブリンキング。
右手に大斧を持っていて、一撃はかなり重そう。
それにしても、ゴブリンキングに名前を与えていないのは、序盤でしか通用しないと理解しているからだろうか。
「赤いスライム?まあいい。ゴブリンキング、ぶった切り!」
「ブルー、プロミネンス。迎え撃て!」
普通のスライムは魔法適性がないので、魔法攻撃は無いと判断したのかゴブリンキングは正面からブルーに突っ込んできたが、待ち構えていたブルーのプロミネンスが直撃。
ゴブリンキングが怯んだところをすかさず、プチサンダーで追撃する。
プロミネンスほどダメージは入っていないが、プチサンダーもほんのわずかだが、ダメージを与えている。
ゴブゥゥゥ――――――――――!!
雄叫びを上げるとゴブリンキングは我を忘れたかのようにブルーに突撃してきた。
「ちょっと待て、ゴブリンキング!ああ、クソ!またかよ」
「ブルー、右に右にと躱せ」
ゴブリンキングは右手に大斧を持っている。
それを片手で振り回す腕力は凄まじいが、大斧の無い左側、ブルーから見て右側ががら空き。
かつてスケルトンナイトとの激戦を繰り広げたブルーからするとどうぞ攻撃してくださいと言っているも同然だった。
その後は、クールタイムが明ける度にプロミネンスやプチサンダーといった遠距離から放てる魔法で攻撃をする。
ブルーから攻撃をくらえばくらうほどゴブリンキングの動きは単調になる。
それに伴いどんどんゴブリンキングのHPは減っていく。
しかし、ゴブリンキングはプレイヤーの懸命の訴えを無視し続けて本能のままに暴れる。
そして、ブルーの放ったプロミネンスが最後わずかに残っていたゴブリンキングのHPを削りきった。
『ゴブリンキング DOWN』
こうして予選第1試合はあっけなくブルーが勝利を収めた。
続く予選第2試合は白黒学園 第3体育館で午後4時15分開始とウインドウが表示された。
第3体育館に着いたけど、まだ誰もいなかった。
予選第2試合の相手の女性は時間直前の到着となり、名前とかは何も知らない。
『バトル START!』
「出でよ、ブルー」
「来なさい、ハイフェアリー」
予選第2試合の相手モンスターは恐らく妖精種のフェアリーを進化させたハイフェアリー。
Eランクでフェアリーを捕まえるのはほぼ不可能なので、最初の召喚石での召喚で当てたとかかな。
フェアリーは魔法攻撃と魔法防御力に特化しているモンスター。
このバトルは魔法主体ではなく、物理攻撃であるプロミネンスアタックを中心にした方がいいかもしれない。
「ブルー、距離を詰めて!」
「ハイフェアリー、プチウインド」
「躱して」
ハイフェアリーの放つプチウインドは風属性の魔法。
風属性の魔法の最大の特徴は見えずらいという点にある。
しかし、ブルーは既に見えずらい攻撃をするモンスターを戦ったことがある。
『嘆きの墓地』のボスモンスターであるスケルトンナイトの閃撃の方がよっぽど厄介だった。
威力、速度共に数段劣っており、軌道も真っ直ぐ自分に向かってくる。
そんな攻撃を躱すのはブルーにとってはできて当然と言える。
プヨンプヨンと飛び跳ねながらハイフェアリーとの距離を詰める。
「ハイフェアリー、距離を取って仕切り直して!」
「させない。ブルー、プロミネンス!」
プチウインドを躱されて距離を残り2、3メートルまで詰められているので、距離を取ろうと背を向けたハイフェアリーにプロミネンスが直撃。
ハイフェアリーは背後からの予想外のタイミングで攻撃が飛んできたこともあり、すぐに状況を理解できていない。
「ハイフェアリー、止まっちゃダメ!すぐに動いて距離を取って!」
ハイフェアリーのプレイヤーの指示は的確ではあったが、少し遅かった。
既にブルーは距離を詰め切っていた。
「プロミネンスアタック!」
何が何だか状況を理解できていないハイフェアリーにブルーの攻撃が再び直撃する。
しかし、先ほどとは違い、大ダメージが入った。
ハイフェアリーの残りHPは2割にも満たない。
物理面は紙装甲と言えるハイフェアリーがまともに物理攻撃をくらえばこうなる。
この後も粘り強く距離を取っての魔法の打ち合いに持ち込むが、ブルーはダメージを負ってもプチヒールで回復し、一方的にハイフェアリーにのみダメージを与えていく。
やはり、最初のプロミネンスアタックによるダメージが大きかった。
いくら魔法防御力が高いとはいえ、残りHP2割では厳しかった。
魔法の打ち合いを制したのはブルーだった。
『ハイフェアリー DOWN』
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