第11話 巨石の採掘場
新入生代表トーナメントまで残り1週間を切った。
エントリー開始は4日後。
既にFランクになっているので、エントリー自体は問題なくできる。
でも、このままじゃ勝ち上がれない。
FランクだとモンスターのLv上限が20に設定されている。
EランクではLv30となっている。
本気で勝ちに来ているプレイヤーは当然のようにLv30のモンスターでエントリーする。
俺はブルーでエントリーするつもりだから新入生代表トーナメントまでにEランクになってブルーのLvを30まで上げる。
勝ちたいなら残り1週間でこれをしないといけない。
その為にはEランク昇格条件の一つであるFランクダンジョンを三つ攻略するを達成する必要がある。
既に『嘆きの墓地』と『見晴らしの草原』の二つのFランクダンジョンを攻略した。
あと一つFランクダンジョンを攻略すれば、Eランクに昇格できる。
もう一つの昇格条件であるモンスターのLv20は『見晴らしの草原』で1週間掛けてLv上げを行ったので、既にブルーが達成済み。
なので、今日は残りのEランク昇格条件を達成するべくFランクダンジョン『巨石の採掘場』に来ている。
このダンジョンは採掘場をモチーフにしているのかダンジョンの中は洞窟となっている。
『巨石の採掘場』は物理防御力が高く、物理攻撃に耐性があるモンスターしか出現しない。
魔法適正のないモンスターしか捕まえていないプレイヤーは必然と避けて通るダンジョンだ。
まあ、物理攻撃に強い反面、魔法攻撃に極端に弱いので、ブルーとの相性が良い。
ここのモンスターの合成素材はかなり高く売れる。
それもあって、残り1週間は『巨石の採掘場』の攻略とEランクに昇格したらブルーのLv上げ、ショップでスキルの書を購入する為のポイント収集という名の素材集めをするつもりだ。
俺はブルー、スケルトンナイト、ハイウルフと3体のモンスターと共にダンジョンに入る。
すると早速、モンスターを発見した。
ロックゴーレムが1体いた。
ここのダンジョンはモンスターが同時に2体以上出現しない。
つまり、常にモンスターは単独でしか出現しないということだ。
「ブルー、プチファイア!」
ブルーがプチファイアをロックゴーレムに向かって放つ。
完全に不意を突かれたこと、素早さが低いことが合わさり、直撃した。
流石に一撃では倒せなかったが、残りHPは1割くらい。
これなら物理攻撃でも倒せると判断。
「スケルトンナイトは閃撃、ハイウルフはノーマルクロー」
2体のモンスターの攻撃はロックゴーレムに直撃した。
これで倒したと思いきや、何とHPが全然減っていなかった。
物理攻撃に強いって言っても限度があるだろうと心の中で突っ込みながらブルーにプチファイアを指示。
この一撃でロックゴーレムは倒れた。
この後もロックゴーレムとの戦闘を繰り返し、無属性の物理攻撃ではまともにダメージを与えることはできないとわかった。
ただ、無属性以外の物理攻撃なら少しはダメージを与えられることも同時にわかった。
これはブルーがフレイムアタックをロックゴーレムにした時に判明した。
ロックゴーレムとはどれだけ戦ってもブルーのLvが上がることはないので、ロックゴーレムとの戦闘は最低限に抑えて俺たちは『巨石の採掘場』のボスに挑戦する。
『巨石の採掘場』のボスモンスターはエルダーロックゴーレム。
簡単に言えば超巨大ゴーレムだ。
エルダーロックゴーレムはロックゴーレムよりも素早さのステータスが低い。
その代わりに魔法防御力のステータスが高く、ロックゴーレムのように魔法を直撃させても大ダメージには繋がらない。
もちろん物理防御力はロックゴーレム以上だ。
スケルトンナイトとハイウルフの攻撃は全く効かないと思った方がいいだろう。
ボス部屋に入ると巨大なゴーレムがいた。
その大きさどれほどだろうか。
最低でも10メートルはある気がする。
巨体で且つ鈍足、完全にブルーの攻撃の的だ。
「ブルー、プチファイア!スケルトンナイトは閃撃で一応攻撃。ハイウルフはノーマルクローで一撃離脱」
ブルーはこのエルダーロックゴーレム戦の要なので、遠距離から一方的にプチファイアで攻撃をする。
スケルトンナイトは閃撃、ハイウルフはノーマルクローで一応攻撃をするが、ダメージを与えられているのか疑うレベルでHPは減っていない。
その後も鈍足のエルダーロックゴーレムに一方的に攻撃を当て続ける。
まともにダメージを与えているのはブルーのプチファイアだけだった。
その調子で10分近く戦い続けて、エルダーロックゴーレムのHPが残り2割を下回った。
ここでエルダーロックゴーレムが狂乱モードに突入した。
だが、戦局は一切揺るがなかった。
寧ろ先ほどまでよりもひどくなっている。
狂乱モードはボスモンスターのHPが2割を下回ると強制的になる。
そして攻撃力と素早さが大幅に上昇し、防御力が下がる。
今のこの状況でエルダーロックゴーレムが狂乱モードに突入するのはデメリットしか無かった。
攻撃力は大幅に上昇しても相手に当たらないと意味は無い。
素早さも元々が低すぎて大幅に上昇している筈なのに雀の涙程度の上昇にしかなっていない。
その為、防御力が低下したことにより、今までよりも与えるダメージが増えたことにより、エルダーロックゴーレムは最後あっけなく散っていった。
『鬼灯蓮のプレイヤーランクがF→Eになりました』
Fランクダンジョン『巨石の採掘場』を攻略したことにより、遂にEランクに昇格する。
このゲームはEランクまでは誰でもすぐに辿り着けるようになっている。
でも、EランクからDランクにはかなり時間が掛かる。
モンスターのLv上限が30になるからだ。
モンスターは進化するとLv1まで戻る。
そこから再びLvを上げるのは時間が掛かる。
それに加えて、進化=強くなる訳ではないので、主力モンスターを進化させたら弱くなったという話もある。
この話が最も多いランクがEランク、Dランクだ。
EランクダンジョンのボスはEランクのLv上限30のモンスター3体いないと攻略できないと言われているくらい難易度が高い。
FランクダンジョンはLv上限20に到達していなくても何とか攻略できたのは、まだチュートリアルの側面があったからだ。
その為、このゲームの本番はEランクからと言われている。
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