第10話 見晴らしの草原③

 Eランク昇格の為に『見晴らしの草原』のボスと戦う。

 ここのボスはリーダーウルフ。

 取り巻きとしてファイアウルフ、ウォーターウルフ、ウインドウルフ、アースウルフ、ダークウルフ、ライトウルフが1体ずついる。

 リーダーウルフは鼓舞のスキルを持っており、取り巻きのウルフのステータスを強化できる。

 それに加えて、ボスであるリーダーウルフは取り巻きのウルフたちと連携を取ってくる。

 Fランクダンジョンの中ではかなり難易度が高い部類に入り、攻略推奨Lv12となっている。

『嘆きの墓地』のボスモンスターであるスケルトンナイトは単体で強力なボスモンスターだけど、『見晴らしの草原』のボスは群の力が厄介なボスモンスター。

 リーダーウルフ単体はそこまで強くはない。


 ボス部屋に入ると奥にはリーダーウルフが待ち構えていた。


「ウォォォン!!」


 リーダーウルフが叫ぶと同時に取り巻きのウルフたち合計6体が召喚される。


「ブルーはプチファイア、スケルトンナイトは閃撃!ハイウルフは素早さを活かして撹乱して」


 ブルーのプチファイアとスケルトンナイトの閃撃が召喚されたばかりの6体を襲う。

 プチファイアはウォーターウルフが、閃撃はウインドウルフがそれぞれ魔法攻撃で相殺する。

 ボス部屋の外で戦ってきたウルフたちはこんな風に相殺はできなかった。

 それだけリーダーウルフのよってステータスが強化されているということか。


 一方でファイアウルフとアースウルフの2体がハイウルフと2対1の戦いを繰り広げている。

 防御力に特化しているアースウルフがハイウルフの攻撃を受けて、その隙にファイアウルフがハイウルフを攻撃する。

 シンプルにそれぞれの長所を活かした役割分担をして戦っている。


 それでもハイウルフの攻撃によるダメージがアースウルフに蓄積していく。

 アースウルフを倒せさえすれば、ハイウルフの方の戦いもだいぶ楽になる。

 倒せたらの話だが。

 アースウルフのHPが残り1割くらいになったタイミングでアースウルフの体が光り輝き始めた。

 すると見る見るHPが回復していき、遂にはマックスまで回復した。

 アースウルフのHPを回復させたのは、ライトウルフだ。


 ライトウルフは回復魔法が使える。

 その為、どれだけダメージを与えてもライトウルフが健在である限り、どんどん回復される。

 ライトウルフは攻撃力が皆無の代わりに防御力はリーダーウルフの次に高い。

 その為、倒すにはかなりの火力持ちのモンスターが必要となる。


「ブルー、ライトウルフにプチファイア!ブルーはライトウルフの相手を頼む。ハイウルフはそのままアースウルフとファイアウルフを、スケルトンナイトはリーダーウルフと残りのウルフの相手をしろ」


 やはりライトウルフを早々に倒す必要があると判断し、ブルーで押さえにいく。

 ブルーがライトウルフを倒すのに時間が掛かると他の2体が危うくなるが、そこは持ちこたえてくれると信じる。


 しかし、この作戦には一つ重要な問題がある。

 リーダーウルフとダークウルフをスケルトンナイトが単独で同時に相手することだ。

 ウォーターウルフとウインドウルフの2体は大した脅威ではない。

 ダークウルフはデバフや状態異常を付与する攻撃をしてくる。

 攻撃力、防御力ともにかなり低いが、嫌らしさはダークウルフが一番だ。

 しかもデバフや状態異常はダークウルフを倒しても解除されない。

 ブルーのプチヒールではデバフや状態異常を回復できない。

 ダークウルフの攻撃を躱しつつ、ボスモンスターであるリーダーウルフやウインドウルフ、ウォーターウルフと戦わないといけない。


 戦局はブルーがライトウルフを残りHP2割のところまで追い込んでいる。

 ハイウルフの方はアースウルフを既に倒しており、今はファイアウルフと一騎打ちをしているが、残りHPが3割と攻撃力に特化しているファイアウルフと戦うには少し心許ない。

 スケルトンナイトは他の2体と違い、かなり追い込まれている。


 最初こそ上手くダークウルフの攻撃を躱せていたが、4対1という数の不利は大きかった。

 2分ほど持ちこたえた所でダークウルフの攻撃を受けてしまった。

 その時に受けたデバフの影響でスケルトンナイトの素早さが下がってしまった。

 辛うじで凌いでいたが、素早さが下がった影響は大きく、徐々に被ダメが増えていく。


 あと一撃でも受けたらダウンする所でブルーがライトウルフを倒し、スケルトンナイトにプチヒールを行い、HPを全回復させる。

 デバフで下がった素早さは回復できないが、HPが回復したこと、ブルーの加勢が戦局を大きく不利から有利に変えた。

 その後すぐにファイアウルフを倒したハイウルフが合流する。


「ブルー、ハイウルフにもプチヒールをお願い!」


 ブルーのプチヒールでハイウルフのHPも全回復した。

 3体掛かりで取り巻きのウルフを倒し、残すはリーダーウルフのみとなった。


「スケルトンナイトは盾を構えてリーダーウルフの攻撃を防いで!ハイウルフは隙あらばノーマルクローで攻撃。ブルーはプチファイアで遠距離から攻撃」


 スケルトンナイトの素早さが下がっているので、アタッカーはハイウルフとブルーに任せる。

 リーダーウルフは単体ではFランクダンジョンのボスの中では最弱の部類に入るだろう。

 それもあり、すぐにリーダーウルフの残りHPは2割を下回り、狂乱モードに突入した。

 狂乱モードに突入したことで攻撃力と素早さは上がったが、防御力は下がる。

 それもあって、ブルーとハイウルフの集中攻撃で一気に倒しきることに成功する。


 これでFランクダンジョンを二つ攻略したことになる。

 宝箱は銀で中身は白色の盾だった。


光狼こうろうの盾を取得しました』


 光狼の盾(物理防御力+3、魔法防御力+3、状態異常耐性Lv1、デバフ耐性Lv1)


 今、スケルトンナイトが使っている鉄の盾何かよりも遙かに強い!

 それに光狼の盾装備時限定ではあるけど、状態異常耐性Lv1とデバフ耐性Lv1を取得できるのもありがたい。


 まだ時間はあるし、このままLv上げを行おう。

 同じプレイヤーはボス戦は連続では行えず、最低でもインターバル30分は必要になる。

 だからインターバル30分が経過するまでこの辺りで出現するモンスターと戦ってLvを上げよう。

 インターバル30分が経過したらもう1回ボス戦を行う。

 今日はあと3回くらいはボス戦ができそうかな。

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