【始動編】異世界企業のダンジョン攻略【第八話】
1:異世界社長
前回のあらすじ
ブラック企業で6年間とにかく必死で働き続けたイッチこと異世界社長は地獄のようなデスマーチを終えた電車で居眠りをしてしまい、異世界で目を覚ます
とりま金いるべ、と起業したイッチは社員たちのサポートのためにも会社をより良くより大きくするため、ひぃこら言いながら仕事に精を出すのだった
(前スレ→『どうやら異世界転移したらしい』『どうやら異世界転移したらしいPart2』)
2:名無しなんだ信じてくれ
有能
3:名無しなんだ信じてくれ
おそろしく早いスレ立て。俺でなきゃ見逃しちゃうね
4:名無しなんだ信じてくれ
とはいえ今日からついにフルメン揃えてダンジョン攻略だろ?
イッチじゃなくても気が逸るのはわかる
5:名無しなんだ信じてくれ
とはいえこっちと違って向こうはガチでなんの比喩もなく社員の命が懸かってるからな
気が逸るというより少しでも落ち着く時間がほしいんじゃないか?
6:異世界社長
>>5
正直それが半分。あと半分は少しでもみんなの意見を聞きたい。
まだ作戦会議まで30分あるんだ、それまでに俺の意見とみんなの意見をすり合わせたい
成果も大事だけど、まずは社員が全員無事に帰ってくることが最優先なんだ
7:名無しなんだ信じてくれ
まぁそりゃそうだよな。人の命には代えられん
8:名無しなんだ信じてくれ
俺らの情報や戦略がパティちゃんたちの助けになるなら協力は惜しまん
9:名無しなんだ信じてくれ
うむ。社員が一人でも欠けようものならお前は全スレ民を敵に回すと思え
10:名無しなんだ信じてくれ
とはいえ本当にミリタリーとかじゃなくRPGの知識が役に立つかはやってみないとわからんからな
11:名無しなんだ信じてくれ
前提として「ゲームじゃなくガチで人の命がかかってる」って頭に入れとけば大丈夫だとは思う
少なくともクラスの概念はミリオタにはノイズだと思うし、そもそも人間の身体能力がこっちと違いすぎる
12:名無しなんだ信じてくれ
まずこっちの戦力を改めて確認するところからか?
ナイト、プリーステス、マジシャン、アーチャー、アサシンだったな
13:名無しなんだ信じてくれ
ナイトは攻防バランスよく、特に防御に関しては物理も魔法もそれなりに硬いんだっけか
単純なステータスとしては万能型というか、特徴がないからこそ強い
ランサーが居ない今としてはみんなを守る壁として前衛で頑張ってほしいよな
14:名無しなんだ信じてくれ
正直パティちゃんの前衛としての役回りが完璧すぎて後衛が悩ましいんだよな……
15:名無しなんだ信じてくれ
そうか? 明らかに後衛役のプリーステス・マジシャン・アーチャーがいるからアサシンを前に出すだけで解決では?
16:名無しなんだ信じてくれ
それはそうなんだが、アサシンの耐久が脆いらしいことと、ミナちゃん曰くプリーステスがけっこう硬いっぽいんよな
17:名無しなんだ信じてくれ
社員たちの命が懸かってる以上、耐久値の低いアサシンとマジシャンは後衛に置きたい
18:名無しなんだ信じてくれ
アーチャーの耐久がわからんのがツラいんよな
19:名無しなんだ信じてくれ
魔法耐久は高いって言ってたから、後衛に置けば敵のアーチャーしかあんまり怖くないんだよな
問題は物理耐久次第で前衛運用もギリいけそうって点なんだ。もしいけるなら前衛ナイトアーチャーで他3人を後衛にできる
20:名無しなんだ信じてくれ
いっそパティちゃんだけ前衛にして後衛4人っていうのはできんのか?
21:名無しなんだ信じてくれ
パティちゃんの負担がデカすぎる。ゲームならともかく、今は安全策として耐久できるメンバーをもう一人くらい前に出したい
22:名無しなんだ信じてくれ
回復タンクとしてミナちゃんを前に出すのは?
いや、そもそも回復魔法の範囲はどうなんだ?
自分だけ、他人だけ、対象一人だけ、全体……それ次第でかなり変わるぞ
23:名無しなんだ信じてくれ
アーチャーは毒・麻痺のバステを撒くけどアサシンなら全種できるって話だったが、そもそも全種が何かわかってない
新人ちゃんの情報も含めて、改めていくつか足りない情報をまとめる必要があるように思うな
24:名無しなんだ信じてくれ
マジシャンの攻撃魔法は後衛にも攻撃可能って話だったが、それもどんな攻撃手段なのか聞く必要があるな
火とか氷みたいな属性魔法なのか、念動力みたいな周囲のものをぶつける魔法なのか、それとも空間攻撃みたいなよくわからん特殊能力っぽい魔法なのか
25:名無しなんだ信じてくれ
そもそもアサシンが「前衛なら多段攻撃」って言ってたのも、基本的には『一撃離脱』が流行戦術として使われてるかもしれないってことなんじゃないか?
26:名無しなんだ信じてくれ
なるほど、攻撃回数か
となると、あとは攻撃範囲も気になるな
27:生徒会書記
まとめてみた
・メンバー全員の耐久値(物理・魔法・総合での順位づけ)
・回復魔法の範囲
・状態異常の種類と効果(全種分)
・新人ちゃんの紹介
・マジシャンの使用魔法
・メンバー全員の攻撃手段(攻撃回数・攻撃範囲)
こんな感じか?
28:名無しなんだ信じてくれ
>>27
パーフェクトだ、書記
29:名無しなんだ信じてくれ
>>27
褒めて遣わす
30:名無しなんだ信じてくれ
>>27
やるやん
31:名無しなんだ信じてくれ
>>27
君さぁ……よく有能って言われない?
32:異世界社長
やっぱり同じように疑問に思ってることや、俺が気にも留めてなかった問題点が出てくるな
うーん……最初はここで出た意見を他の社員たちに共有したり質問したりするつもりだったが、ミーティングの際にプロジェクターで出しながら情報共有した方がいいか?
33:名無しなんだ信じてくれ
確かに手っ取り早い上に素早く情報共有できるかもしれんが、大丈夫なのか? コンプライアンス的に
34:名無しなんだ信じてくれ
まぁ普通ならアウトどころか経営者として破綻してるレベルの提案ではあるが、そもそもイッチの会社自体が異世界あるいはこいつ自身の妄想の中だしな……
35:名無しなんだ信じてくれ
ぶっちゃけどんだけ企業情報を洩らしても利用する方法がこっちには無いからな
36:名無しなんだ信じてくれ
3スレ目にもなって未だにイッチの妄想扱いなの笑う
37:異世界社長
いやほんと異世界なんだよ信じてくれよ……
んじゃまぁ、今回に限りプロジェクターでこのスレを公開しながら会議を行うぞ
少し準備するから待っててくれ
38:名無しなんだ信じてくれ
ふむ……今回だけとはいえ、まさかゲームにどっぷりの俺みたいなのが異世界企業の会議に参加することになるとは思わなんだ
39:名無しなんだ信じてくれ
まぁ会議つってもイッチも言ってる通りゲーマーとしての意見を求められてるわけだからな
40:名無しなんだ信じてくれ
個人単位でロールが決まってる少人数グループで、モンスターっていう俺らの常識が通じない敵との戦いだからな
下手にリアルな軍事的思考でいくと足元をすくわれるかもしれんから、あくまでロールや配置だけ意見を挙げてあとは社員に任せるってのは間違いじゃない
41:名無しなんだ信じてくれ
社員の情報もだが、それ以上に敵についてはほとんどなんも聞かされてないからな
42:名無しなんだ信じてくれ
ていうか敵っていうのが人じゃなくモンスターだけなら「アーチャーやマジシャンは後衛に直接攻撃できる」っていうのがよくわからんな
これ傭兵同士の戦闘が前提の情報じゃないのか?
43:名無しなんだ信じてくれ
そもそも異種族とモンスターの境界というか区別の定義についても気になるが……それはまぁまた今度にするか
44:名無しなんだ信じてくれ
うむ。今大事なのはこの初陣を無事に終わらせるために万全な作戦をイッチたちに与えることだ
45:異世界社長
というわけで作戦会議が始まった
ここから会議終了までは社員全員がこのスレをプロジェクターで見ているという前提で書き込んでくれ
まず最初に、パティとイングリットからダンジョンについて説明があるからまとめるぞ
46:名無しなんだ信じてくれ
そういえばダンジョンについても「地上には出ないモンスターもたくさん出てくる(から素材やらなんやらで稼げる)」くらいしか知らんな
47:名無しなんだ信じてくれ
ダンジョンの規模、形状、出現するモンスターの種類や数についても聞いておけば対策を練れるはずだ
48:名無しなんだ信じてくれ
あとは社員の子たちのダンジョン戦闘経験も聞いておきたいな
イッチじゃ現場にはついていけないだろうし、誰が一番慣れてるかはメンバーの誰かに前線指揮役を任せる場合の指針になる
49:異世界社長
まず先に、さっき生徒会書記がまとめてくれた質問から答えていくぞ
最初は社員たちの耐久値だったな。これは総合的にはパティとミナがだいたい同じかパティが少し高め
そこから少し開いてイングリット>ティナ>メサ(新人)らしい
ただ物理順ならイングリットとティナが逆で、魔法耐久順だとイングリットがトップ、少し開いてパティとミナとティナ、がっつり開いてメサ
50:名無しなんだ信じてくれ
アサシンの耐久が低すぎる……
51:名無しなんだ信じてくれ
そして意外とマジでプリーステスが硬い
52:名無しなんだ信じてくれ
これミナちゃんを前に出すの割とアリなのでは?
53:名無しなんだ信じてくれ
次に回復魔法の範囲と状態異常についてだな
回復魔法はプリーステスの熟練度……ようするにレベルだな? それが上がるほど範囲も効果も上がるらしい
現時点のミナはプリーステスとしてはまだまだ未熟みたいで、対象1人に対してだいたい最大値の半分の回復と、毒と麻痺を無効化くらいしかできないとのことだ
状態異常は全部で6種。
麻痺は「相手の行動を1回分封じる」
毒は「継続的に相手の体力を削っていく」
酩酊は「攻撃命中確立が低下する」
火傷は「相手の受ける回復効果が半減する」
寒気は「相手の行動速度が低下する」
幻覚は「仲間に対して攻撃を行う」
54:名無しなんだ信じてくれ
軒並みエグいけど幻覚と麻痺が特にヤバい
55:名無しなんだ信じてくれ
アサシンがステ低いの全然お釣りが来るレベルで優秀だな?
56:名無しなんだ信じてくれ
毒と麻痺はアーチャーにも使える分、未熟なプリーステスでも無効化できるのか
57:名無しなんだ信じてくれ
これアサシンは後衛に置く方がいいかもしれん
耐久的にもそうだが、回避アタッカーよりはバステ撒くサポーターの方が向いてる気がする
58:異世界社長
じゃあ紹介がまだだったから我が社のアサシンについていくつか
今日からウチで働くことになったのは『マメサクラコ・シドー』って子で、パティとティナが「メサ」って呼んでるから俺もそうしてる
性格とかは前スレの終わり間際にちょっと言ったから割愛するぞ。ようはちょっとお喋りが苦手だけどクールないい子だ
本人曰く「アサシンは前にいる時は動きやすいから回避も楽なんだけど、後衛だとあんまり好き勝手に動けないから回避能力が落ちるよ」とのこと
59:名無しなんだ信じてくれ
なるほど、前衛の時と比べて後衛だと回避能力がいくらか犠牲になるのか
60:名無しなんだ信じてくれ
そうなるとアーチャーとかマジシャンがこえーな
61:名無しなんだ信じてくれ
でもさっき上でも話してた通り、モンスターの中にアーチャーやマジシャンがいるかってのがよくわかんないんだよな
62:異世界社長
それは俺も思ったが、イングリットのおかげで納得がいった
どうやらモンスターにはアーチャーやマジシャンそのものはいないが、似た役割を生まれつき持っているらしい
たとえば以前パティが狩ったサル型モンスター『モンティ』はこちらで言うところの【ナイト】のように攻防のバランスに優れこれといった特徴がない
他にもしばしば街に近付く暴れん坊の『レッドリザード』たちは【ジャッジ】のように攻撃能力と会心率が高く防御性能が低い
そんな感じで【アーチャー】や【マジシャン】のように後衛を直接攻撃する手段を持つモンスターも存在しているんだと
63:名無しなんだ信じてくれ
例の水色のデカいサル、モンティって種族だったんか……
64:名無しなんだ信じてくれ
なるほど、それそのものの敵じゃなくそれぞれのクラスと同じことができる敵がいるんだな
ならクラスごとの傾向をしっかり把握することで相手の弱点を突くこともできるわけだ
65:異世界社長
あとマジシャンが使う魔法は基本的にはその人によるから一概には言えないんだと
ただ基本的には属性魔法で、一定以上の熟練度になると自分だけの魔法に開花するらしい
イングリットはまだ自分だけの魔法を見つけられてないみたいだから、基本の「炎の矢」「氷の針」「石の弾」「風の刃」しか使えないってさ
全部対象1体に対して属性効果つきのダメージを与えるだけで、炎の矢で火傷状態にしたりはできないみたい
属性効果っていうのは「火と水、土と風は互いに対して倍の効果をもたらし、同じ属性同士だと効果が半減するんです」ってイングリットが言ってる
66:名無しなんだ信じてくれ
なるほど、相克じゃなく対立の関係なんだな
67:名無しなんだ信じてくれ
対立はわかるが相克ってなんじゃらほい
68:名無しなんだ信じてくれ
五行とか見たことないか?
ファンタジーならよくあるだろ、火は金に強く、金は木に強く、木は土に強く、土は水に強く、水は火に強いってやつ。あれが『相克の関係』ってやつだ
今回みたいに強い弱いがぐるっと一周するんじゃなく互いにぶつかり合う関係を『対立の関係』って言うんだよ
69:名無しなんだ信じてくれ
ほーん、勉強になったわ
70:名無しなんだ信じてくれ
たまにゲームで見るけど名前があることは知らなんだ
71:名無しなんだ信じてくれ
でも基本とはいえ4種全部使えるのは有難いな
だいたいの状況に対応できる
72:異世界社長
あと攻撃手段だったか? パティによれば基本的に武器はクラスごとにある程度決まってるみたいで、ナイトは基本的に剣と小盾で戦うっぽい
それとこれはお前らすげーな案件なんだが、基本的にナイトに限らず前衛職は「一撃いれたら即離脱」が基本で、至近距離で数秒間留まるなんてことは有り得ないんだそうだ
ようするに鍔迫り合いみたいなことは漫画とかアニメの表現でしか見たことがないんだと
73:名無しなんだ信じてくれ
やっぱりか……
74:名無しなんだ信じてくれ
まぁ普通に考えて自分の攻撃が届く間合いって高確率で相手の攻撃も届く間合いだしな……
75:名無しなんだ信じてくれ
そりゃわざわざ相手の間合いに留まる理由ないよな
76:名無しなんだ信じてくれ
誰だってそーする、俺だってそーする
77:名無しなんだ信じてくれ
実際西洋はどうか知らんけど日本の侍の斬り合いってのは基本「一撃必殺」だったから鍔迫り合いはなかったらしいな
78:名無しなんだ信じてくれ
まぁそもそも戦場では弓矢が主戦力だったし歩兵でも槍がほとんどで刀を使う状況自体レアだったんだが
79:異世界社長
そこらへんの歴史はまた今度じっくり聞かせてくれ
最後にダンジョンについてだったな。これはウチで一番ダンジョン経験があるイングリットが詳しい話をしてくれた
どうやらダンジョンは10階層あり、1階層目には100の部屋があるらしい。この部屋を「フロア」と呼ぶそうだ
これらのフロアは端から端までそこそこの空間があり、過去には一度に50を超えるモンティの群れが出て来たこともあったとか。当然だがその事例では○者が出た
80:名無しなんだ信じてくれ
だろうなぁ……
81:名無しなんだ信じてくれ
一度に50体のデカいサルの群れ……こっちの世界のサルでさえ50の群れに襲われればヒトは容易に○されるんよ
82:名無しなんだ信じてくれ
しかもそれがデカい
83:名無しなんだ信じてくれ
ヒェッ……
84:異世界社長
だが100のフロアを全て回らないと下の階層に行けないわけじゃなく、1つのフロアをクリアあるいはリタイアすると同じ階層内の別フロアにランダムで進める
そうして20フロアをクリアした場合、第二階層へ進める。逆にメンバー全員が戦闘を続行できない状態になるか、その階層で20回リタイアした場合、強制的にダンジョン前に戻される
また別のフロアあるいは階層に移動する際も進むかダンジョン前に戻るかを選べるらしい
85:名無しなんだ信じてくれ
ちょっと待て。なんだその……えっなに? すげーいきなりシステム的なこと言うじゃん
86:名無しなんだ信じてくれ
いや今までもHPとかクラスとか色々あったけど……ダンジョンの自然じゃない感というか『施設』っぽさがすごい。
87:名無しなんだ信じてくれ
確かに。なんだろう……こう、めちゃくちゃ『VR体験型アスレチック』みたいな感じするよな
88:名無しなんだ信じてくれ
わかる
89:名無しなんだ信じてくれ
何この……なに?
90:異世界社長
いやわかるよ。俺も思ったよ。なんかすげー配慮行き届いてんなって。でもまぁそれでも○者は出ちゃってるからシャレにならんのよ……
ちなみに100フロアもあるのは最初の一階層だけで、イングリットが聞いた話では二階層はたぶん80フロアくらいしかないっぽいんだよな
91:名無しなんだ信じてくれ
20フロア減ってんのはなんでだ……?
92:名無しなんだ信じてくれ
え、それちなみに過去に何階層まで行った人いんの?
10階層あるってわかってるからには10階層制覇した人がいるってことでは?
93:異世界社長
いや、歴史上最も深くまで進攻した傭兵は9階層までだったそうだ
けどその構造から「次が最後の階層」とわかって引き返したらしい
94:名無しなんだ信じてくれ
どゆこと……?
95:名無しなんだ信じてくれ
わからんが、少なくとも今回の目的からは逸れるからそれ以上はまた今度聞こうぜ
96:名無しなんだ信じてくれ
それもそうか
97:名無しなんだ信じてくれ
>>95
ナイス
危うく話が逸れるところだった
98:名無しなんだ信じてくれ
>>95
グゥゥゥッド……
99:異世界社長
>>95
ありがとう
まぁとにかくフィールドはそこそこ広くて武器の扱いに困るような狭さはしてないってことらしい
この中じゃ一番大きい得物と体格で動き回ってるパティをもってして「ぜんぜん余裕!」って言うくらいだしな
100:名無しなんだ信じてくれ
今後3メートル級のランサーが入社してくる可能性もなくはないが今は関係ないからいいか
101:名無しなんだ信じてくれ
うむ。その頃にはノウハウもある程度できてるだろうし
102:名無しなんだ信じてくれ
とにかく、前提情報はこれである程度共有されたわけだ
敵の情報も「アーチャーとマジシャンの代わりがいる」という情報を得られただけでもかなりデカい
103:名無しなんだ信じてくれ
当初の予定では前衛にパティちゃんとメサちゃんの予定だったが、これは無しかな
104:名無しなんだ信じてくれ
そうだな。安全策という意味でもメサちゃんの強みを活かす意味でも、メサちゃんは後衛に回した方がいい
105:名無しなんだ信じてくれ
だがマジシャンを前に出すのは愚策以外の何者でもない
よってリドちゃんも後衛で確定、パティちゃんも当然だが前衛で確定だ
106:名無しなんだ信じてくれ
つまり問題はミナちゃんとティナちゃんのどちらを前に出すか、だな
107:名無しなんだ信じてくれ
元々の耐久値が高く自己回復もできるミナちゃんを前衛で確定じゃないのか?
108:名無しなんだ信じてくれ
いや、前衛だと全てのアタッカーの的になる。うまくパティちゃんと半々になればいいだろうが、攻撃が集中すると自分しか回復できなくなる
後衛ならマジシャン、アーチャーどちらの攻撃を受けても元々の耐久値でそこそこ耐えて自己回復あるいは味方の回復に切り替えられる
109:名無しなんだ信じてくれ
アーチャーを前衛にする場合、アサシンとどっちが速いかが問題だが……イッチ、ティナちゃんとメサちゃんにどっちが速いか訊いてみてくれないか?
110:名無しなんだ信じてくれ
確かに、速くてバステを撒くってところが共通してるからアサシンが先手をとるならティナちゃんの役割は後衛狙いのアタッカーだな
111:異世界社長
今ちょっと聞いてみたら二人揃って「たぶんメサの方が速い」って意見で一致してた
試してみたりとかは、って言ったらティナが「自分の熟練度がメサの倍もあれば試す意義もありましょう。しかし、今の我々の熟練度に大差はないと考えます」って断った
ティナは自分の腕にかなり自信があるタイプなのに意外だと思ってたらメサも「それに今は作戦直前。手合わせで怪我なんてしたらバカバカしい」って言って試す気すらなかった
つまり二人の間で「単純なスピードならティナよりメサ」っていうのは明らかな事実なんだと思う
112:名無しなんだ信じてくれ
メサちゃん今日入ったばっかりなのに、なんでそんなハッキリわかんの?
113:名無しなんだ信じてくれ
一応、午前中も普通に仕事あったっぽいけど、その時に何かあったんかね
114:異世界社長
昼前の『引っ越しの積み荷運び』の仕事にパティとこの二人を行かせたんだけど、その時の役割分担で「単なる移動ならメサの方が速い」って話になったんだってさ
以下、三人の会話内容そのままなんだが
「軽い荷物を運ぶ時のメサは驚くほど素早いのでありますが、重い荷物となると途端に並以下となっておりました」
「重い荷物を運んでる時なら、ティナちゃんの方がすごく速いから、じゃあ二人にだいたい同じくらい軽いものを持ってもらって役割分担しようと思ったんだけどねっ?」
「アルベルティーナさんも速かったけど……身軽なアサシン相手に、速さ勝負は無謀だと思う……」
って感じだったらしいので、たぶん自分の得意武器持ってるアサシンが戦場でアーチャーより遅いってことはないんじゃないかな
115:名無しなんだ信じてくれ
なるほど。じゃあティナちゃん後ろ、ミナちゃん前か?
116:名無しなんだ信じてくれ
そうだな。アサシンがバステ撒いてアーチャーが後ろから後衛に打撃を与えて……そうなるとミナちゃんの素早さも気になるな
正直、プリーステスは全員の損傷状態を把握してから動いた方がいいから一番鈍足であってほしい
117:名無しなんだ信じてくれ
逆にナイトとマジシャンはどっちが先でもいい
基本的にはサポート→アタック→ヒールの順が理想だからな
118:名無しなんだ信じてくれ
今回の場合、アーチャーはサポートじゃなくアタックに専念してもらうから
アサシン(サポーター)
ナイト・マジシャン・アーチャー(アタッカー)
プリーステス(ヒーラー)
ってことになるのか
119:名無しなんだ信じてくれ
アサシンとアーチャーは本来ならアタッカー兼サポーターとして別々のチームに編成するべきなんだろうな
役割がけっこう被ってるような気がする
120:名無しなんだ信じてくれ
まぁ戦闘だけならそうだが、さっきの会話からしてアサシン重いもん持てないっぽいからな
重量の概念があるなら、ドロップ報酬が溜まるダンジョン後半ほどアサシンはスピードにデバフを受けることになる
121:名無しなんだ信じてくれ
短期的にはアサシンが速いけど、長期的にはアーチャーが速い、と捉えることもできるってこと?
122:名無しなんだ信じてくれ
簡単に言えばそういうことだろうな
まぁその場合は他の子に荷物を持ってもらうとかである程度は回避できそうな気もするが
123:名無しなんだ信じてくれ
正直、アサシンがサポーターに専念するなら素早さと体力さえ気にしてればいいんだよな
いくら回避ステが下がるつっても、前衛なら回避盾の役割こなせるクラスが多少下がったところでそれなりに避けそうだし
魔法も矢も必中攻撃じゃないなら大丈夫そうなイメージある
124:異世界社長
今、全員分の素早さを確認したんだが、みんなの言う通りミナが一番遅いらしい
ちょっと意外だったのはパティがあんまりミナと大差なかったことだな
つまり行動順はメサ→ティナ→イングリット→パティ→ミナになるだろうって感じだ
125:名無しなんだ信じてくれ
あー、パティちゃんそういえばナイトの紹介の時に「ちょっと足が遅い」って言ってたな
ミナちゃんは何も言ってませんでしたけど……?
126:名無しなんだ信じてくれ
これ絶対プリーステスがとかじゃなくてミナちゃん自身が遅いだけでしょ
127:名無しなんだ信じてくれ
性格はともかく動きまでのんびりしないで
128:名無しなんだ信じてくれ
のんびり(オブラートに包んだ表現)
129:名無しなんだ信じてくれ
ま、まぁ結果的には一番理想的なムーブできるから……!
130:異世界社長
そもそもパティ曰くナイトの弱みは素早さと回避性能しかないらしいよ
総合能力で言ったらナイト・アイドル・マジシャンが横並びトップなんだと
131:名無しなんだ信じてくれ
全体的に高水準なナイトと魔法特化のマジシャンに並ぶくらいアイドル強いんか……
132:名無しなんだ信じてくれ
逆に総合能力で低いのはなんなん?
133:異世界社長
総合能力ならランサーだけどランサーが弱く見えたことが全然ないらしい
仮にもしランサーが今いればどうするか訊いてみたところによると
「そのランサーの後ろにティナかメサ配置するだけで会議の必要がないくらい盤石になる」って意見で満場一致
134:名無しなんだ信じてくれ
ランサーの後ろに配置すればってことは、もしかしてアーチャーやマジシャンの攻撃から後衛を庇えたりする?
135:名無しなんだ信じてくれ
なにそれつっよ
136:名無しなんだ信じてくれ
前衛不足の今めちゃくちゃほしい人材だった……
137:名無しなんだ信じてくれ
ぶっちゃけ一人余っても他の依頼に行ってもらえばいいだけだしな……
138:異世界社長
>>134
どうやらそうらしい。俺も聞いてなかったとはいえ情報共有がまだまだ不十分だった、すまん
しかし無いものねだりしても仕方がない。前衛にパティとミナ、後衛にイングリット、ティナ、メサの配置でいこうと思う
通信機器は持たせた。進撃・撤退の判断はこちらで行うが、戦闘経験の無い俺では前線指揮は行えない
最初はイングリットに指揮を任せようと思ったが……本人が「判断できても指示ができない」と辞退したのでパティに任せる
139:名無しなんだ信じてくれ
確かに、ダンジョン経験が多いとはいえ性格的に指示が向いてるタイプではないわな
140:名無しなんだ信じてくれ
パティちゃんは最古参メンバーだし、他の子たちも文句はないと思う
141:名無しなんだ信じてくれ
指揮役ってのは単に判断力があればいいわけじゃなくて、チームの和を高めるまとめ役をしたり仲間の不安を吹き飛ばして指揮を高めたりっていうカリスマが必要なんだ
その点、パティちゃんの前向きで元気なところはチームを引っ張る力があるし、何より今回は一番の先輩として「従う理由」もちゃんとある
結果的には一番の適役かもしれん
142:名無しなんだ信じてくれ
リドちゃんは経験則からのアドバイザーとして頼るのはどうだろう
少しでもリドちゃんが違和感を感じたら、それが何かわからなくても必ずパティちゃんに伝える
それが戦闘中ならパティちゃんが、移動中ならイッチが決断する。もちろん他の人の意見も聞く必要はあるけどね
143:名無しなんだ信じてくれ
確かに判断指標を担う役はリーダーとは別に一人ほしい。リドちゃんの臆病なくらいの慎重さが今は頼もしいな
144:名無しなんだ信じてくれ
たぶんリドちゃんがダンジョン攻略に行く傭兵グループに引っ張りだこだったのもそういう理由なんじゃないかと思うよ
臆病で怖がりっていうのは、こういう命が懸かった状況なら何より貴重で重要なんだ
その上でリドちゃんは怖がっててもやらなきゃいけないことには勇気を出せる子だしな
145:名無しなんだ信じてくれ
うむ。見てるかリドちゃん!
君の初出勤日の捨て猫エピソードはここのみんな知ってるから、みんな君の勇気を知ってるぞ!
146:名無しなんだ信じてくれ
臆病と勇敢、この二つを兼ね備えた人材はマジで貴重なんだ
会社っていうのは誰かいなくなっても『替えが利く』ようにするもんだが、リドちゃんのそれはマジで替えが利かない
147:名無しなんだ信じてくれ
もちろんみんな掛け替えのない社員なのは俺らもイッチもわかってるぞ!
146のはあくまで会社のシステムとしてはってだけだからな!
148:異世界社長
お前らそれくらいにしてやってくれ
イングリットが感極まって泣き始めた
【パトリシアとヴィルヘルミナに両側から抱きしめられながら大泣きするイングリットの画像】
でも俺も同じ気持ちだ、ナイスだお前ら(ピシガシグッグッ
149:名無しなんだ信じてくれ
ったりめーだよなぁ!(ピシガシグッグッ
150:名無しなんだ信じてくれ
うれし泣きは許すがそうでない理由でリドちゃん泣かしたらぶっ飛ばすからなお前(グッグッ
151:名無しなんだ信じてくれ
まぁその時には既にお前自分で腹切ってそうだが
152:名無しなんだ信じてくれ
それはそう。やめろよ?
153:異世界社長
しねーよ! ……たぶん
154:名無しなんだ信じてくれ
「たぶん」だから信用ねーんだよお前!!!!
◆
あの後、会議はイングリットが泣き止むまで少々時間を要したものの恙なく行われ、私はダンジョンに向かう社員たちを見送り自らの椅子に腰かけた。
帰るまで常に繋いでおくように命じた通信機器からは社員たちの楽しそうな雑談内容が聞こえてくる。話題の中心は、今日入ったばかりのメサと、さっきのイングリットの件か。道中、いくつかのモンスターに遭遇した様子が伺えるが、その程度なら普段1人か2人でこなしている依頼内容と変わらない。今回は現時点のフルメンバーとあって、ほぼ消耗なく進んでいる。このままトラブルなく行ってくれ、と握り締めた拳に手汗がにじむ。
ダンジョン前に到着したという報せは、その後およそ20分ほど経った頃だ。通信機器はリーダーであるパティに持たせている。
『社長、ダンジョン前に到着したよ。何組か見たことのある傭兵グループもいる。一緒にどうかって誘われたりもしたけど、今日は会社のメンバーだけでの仕事だから一緒にはできないって断ったよ。大丈夫だよね?』
「ああ。どのグループからお誘いがあったかは後で教えてくれ。これからも傭兵グループから依頼は受けるが、今後こういうことも少なくはないだろう。世話になっている傭兵グループには私から話を通しておく。だから今は目の前の仕事をしっかり頼むよ」
『わかった。じゃあまずは第一階層、1フロア目。いくよっ!』
さて、ここからが始まりの第一……。
『アローズ、レディゴーッ!』
『『ゴーッ!』』
『『ご、ゴーッ……?』』
ねぇパティ、それホントに今後ずっと合言葉にするの? ノリノリなミナとティナはともかく、大人しい組のイングリットとメサが困惑するって出発前に言ったよね……?
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