カバンの勇者の異世界のんびり旅~ハズレ勇者と王城から追放され奈落に落とされた。でも実はカバンは何でも吸収できるし、日本から何でも取り寄せられるチート武器だった。今更土下座されても戻る気はない
第20話 冒険者たち、自分たちが強くなりすぎて驚く
第20話 冒険者たち、自分たちが強くなりすぎて驚く
駆け出し冒険者パーティ(※推定)、黄昏の竜の皆さんを、料理と鍛冶スキルで強化した。
休憩後。
「よし、ではさっそく出発しよう!」
僕らは現在、48階層にいる。
ここから地上を目指す。
「ケースケ君の料理のおかげで、今のおれたちは、元気いっぱいだ! どんな敵でも倒せてしまいそうだ!」
シーケンさんが自信満々に言う。
お腹が満たされ、気が大きくなってるのかもね。
「おいシーケン、あんま大声出すなよ。このあたりは群れで行動する魔物の縄張りがある。大量の敵に囲まれたらさすがにやべえぞ」
チビチックさんが注意する。
「そうだったな。たしかに大量の魔物が来たらまずい。こっちは護衛してる最中だし。縄張りに入らないように注意しながら、こっそり進もう。そうすれば絶対に安全だ」
と言っていたそばから……。
『魔物じゃ。しかも結構数が多いぞ。けぷ』
お腹いっぱいのスペさんが、魔力感知を使い、敵の接近を知らせる。
この子、、牛カツ食べすぎてボール見たくなってるや。
「な!? そんな馬鹿な……ここはまだ縄張りじゃないはず!?」
「どうして魔物がこっちに気づいたのかしら!?」
うーん、どうして気づいたんだろう……?
「スペさん何か知らない?」
『え、ええっとぉ~……けぷ。さ、さぁのぉう……。魔力量の多い魔物でも現れたのではないかのぉ?』
……ん?
「どういうこと?」
『魔力感知能力を持つ魔物は、我以外にもおるでな。今から来る奴らも、大きな魔力の気配に気づいて、こっちにきたのやもしれんな……』
「へー……」
大きな……魔力の……気配ねえ……。
「スペさん?」
スペさんはフェンリル、凄い魔物だ。
そんな彼女が、さっき僕の魔力いり牛カツを、腹一杯になるまで食べた。
「スペさんのせいだよね、敵に気づかれたの?」
『ええぇ~? 知らんなぁ?』
「とぼけるならご飯抜き!」
『わーん! ごめーん! 我のせいじゃ~! ご飯抜きは勘弁なのじゃぁ~!』
やれやれ、食いしん坊フェンリルめ。
「ごめんなさい、僕の友達のせいで、魔物を呼び寄せてしまったようです。
と僕が提案する。
「そうだな……だが、もう魔物に取り囲まれてしまった」
結構な数の魔物が、近くまで来ていた。
「【
「
・
→集団行動する猿型モンスター。
指揮官の命令に従い、軍隊のように動き、敵を排除する。
ナイフなどの武装を身に付けてるのが特徴。
黒い毛の、お猿さん達に、囲まれる僕たち。
「厄介な敵よ……
エルシィさんが焦りながら言う。
そんなに焦るほどのことかなぁ。
みんな料理と武器のおかげで、だいぶ強化されてるし。
「エルシィ! 魔法の準備! おれとチビチックで時間を稼ぐ! 魔法一発放って、相手を混乱させてるうちに逃げるぞ!」
「「了解!」」
あ、戦闘が始まるみたいだ。
「盗賊は攻撃力が低いから、ドンパチは苦手なんだが……しゃーねー! いくぜ! 閃光斬!」
チビチックさんがダガーを構えて、技を放つ。
ズババァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
「「「………………は?」」」
「わー、ふっとんだね~」
『前方にいた敵がほぼ消えたの~』
チビチックさんの放ったダガーの一撃を受けて、猿たちが呆然としてた。
「あのぉ、戦闘中ですよー?」
「は! しまった……! 敵が来る……!」
ナイフを持ったお猿さんたちが、シーケンさんに襲いかかる。
「「「GIKIKI~!」」」
「くそっ! ガードするしかない!」
パキィイイイイイイイイイン!
「「「GI?????????」」」
「はぁ~~~~~~~~~~!? ナイフが、こ、粉々に砕け散ったぁ!?」
お猿さんたちのナイフの刃が、一瞬で塵と成った。
『あの剣士の鎧は、ケースケが
「スペさん物知りだね~」
のんびり観戦する僕とスペさん。
一方で、シーケンさんとチビチックさんが慌ててる。
「ど、どうなってんだよ!?」
「ダガーも鎧もおかしなことになってる……! って、ことは……」
二人が振り返る。
エルシィさんが、精神を集中させ、魔法の準備をしてる。
『あのエルフ、力を貯めすぎじゃな。バフがかかっているのに、あんなに魔力を込めたら、威力がとんでもないことになるぞ』
エルシィさんが目を開ける。
「みんなお待たせ! 魔法使うわよ!」
エルシィさん、目を閉じていたから、二人の異変に気づいてないっぽい。
「エルシィ! だめだ!」
「まずいって!!!!!!」
シーケンさんとチビチックさんが、彼女の魔法を止めようとする。けど……。
「【
その瞬間……。
10メートルほどの、大きな火の玉が
、エルシィさんの杖先に出現。
「…………はへ?」
「「待避ぃいいいいいいいいいいいいいいい!」」
呆然とするエルシィさん。
シーケンさんとチビチックさんは、全力で走って、彼女の背後に回る。
『ケースケ、もしものことがあるのじゃ。我の後ろに』
ぽんっ、とスペさんが元のフェンリル姿になって、体を丸める。
僕はスペさんの後ろに待避。
シーケンさんたちも、スペさんの後ろへと滑り込んだ。
「ちょ!? まっ……!」
次の瞬間……。
エルシィさんの魔法が、炸裂する。
チュドォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
凄い爆発音と熱波。
スペさんが壁となっていなかったら吹っ飛ばされていたと思う。
「あんぎゃぁああああああああああああああああああああああ!」
エルシィさんが魔法の反動で、後ろにぶっ飛んでいった。
「スキル、鋼糸」
僕は針の勇者さんから
ぱかっ、と開けたカバンの蓋から、糸が吐き出される。
糸がエルシィさんの腰に巻き付いた。
糸に引っ張られて、エルシィさんが空中で止まる。
暴風に遊ばれて、なんか、
ややあって。
「「「…………」」」
僕らの前には、一面の焼け野原が広がっていた。
『けほけほ』
「スペさん大丈夫?」
『平気じゃ。あの程度のとろ火では、
「そっか、君が火傷してなくてよかったよ」
『ケースケぇ、やさしい~のぅ♡』
で。
無数にいた
ダンジョンの地面はガラス化を引き起こしていた。
………………うん。
「さぁ、先に進みましょうか」
「「「いやいやいやいや!!!!! ちょっと待って!!!!!!!!」」」
黄昏の竜の面々が、僕に詰め寄ってくる。
え?
「どうしたんですか?」
「「「どうしたんですか、じゃなぁい!」」」
いやまじどうしたんだろう……?
「敵を無事に倒せたじゃないですか。何か?」
「あのねえ! なんなの!? さっきのあれ!? おかしいわよ!」
さっきのあれ……?
「どれですか? チビチックさんの剣のこと? シーケンさんの鎧? それとも、エルシィさんの魔法?」
「全部がよぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
エルシィさんがあたまをガリガリかきながら叫ぶ。
「ケースケ君! 絶対あなた何かしたでしょ!?」
「何かって?」
「それは……わからないけど!」
「何かわからないんじゃ、お答えできませんねえ」
「いやたしかに、わからないけど! でも絶対君がなんかしたんだわ! 絶対きみが……」
まあまあ、とシーケンさんが、エルシィさんを羽交い締めにする。
「おちつけエルシィ。ケースケくんがたとえ何かしたとしても、無事に敵を倒せたからいいじゃないか」
「そーだぜ、エルシィ。もういいじゃん。オレら無事だったんだからさ」
シーケンさんとチビチックさんは、あんまツッコんでこない。
でも……。
「いやでもぉ! 怖いでしょ!? こんなすごい力、いきなり手に入るなんて! 彼のせいで、何か体に異常が起きてるんじゃ……」
『おい……エルフ女』
フェンリル姿のスペさんが、ずいっと近づいてくる。
『ケースケ【せい】、じゃと? 違うじゃろうが。ケースケの【おかげ】で助かったことを、まずは礼を言うのが筋じゃないのか、ん?』
スぺさんに睨まれたエルシィさんは「そ、それはそう……ね」という。
「ありがとう、ケースケくん。助かったわ。何したかわからないけども」
「いえ、気にしないでください」
オタクさんのところへ早く行くためにやってることだからね。
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