第12話 チート神眼で無双する



 僕は、大勇者ミサカ・アイさんから、聖武具【大勇者の神眼】を受け継いだ。


・大勇者の神眼

固有スキル:神鑑定かみかんてい

派生スキル:※別ページ参照


神鑑定かみかんてい……?」


・神鑑定(SSS+)

→神の力を秘めし最強の鑑定スキル。

 万物を見通し、見極めることができる。


「なんじゃかふわっとしたスキルの説明だなぁ。抽象的っていうか」


『じゃが、大勇者は、本当に強かった。我ら【七大魔王】を圧倒し、封印するほどに』


 神眼の固有スキル、神鑑定。

 どうやら魔王も勇者も超越する、凄い力みたいだ。


 さすがミサカさんの聖武具!

 すごいなぁ。


『して、ケースケ。これからどうする?』

「まずはこの部屋から、脱出しないとだね」


『そうじゃな。じゃが、真っ暗で出口が見付からんが……』


 ん?

 真っ暗……? あれ?


「ねえ、スペさん。部屋の中って、こんなに明るかったっけ?」

『は? な、何を言ってるのじゃ……真っ暗闇で、何も見えないじゃろ?』


 たしかに、この部屋に入ったときは、僕も暗くて何も見えなかった。

 でも、今は違う。


「なんか、すごく明るいんだ。まるで、お日様の下にいるかのよう」

『! なるほど……これが、神眼の力の一つ、ということじゃな』


・暗視(S)

→光の届かぬ暗所であっても、周囲の様子を視認できる。


 暗視は、派生スキルのひとつだ。

 神眼の派生スキルは、びっくりするくらい多いのである。


『神眼は万物を見通す凄い目じゃからな』

「これがあれば、暗いところでも、灯りがなくても進めるんだね! わぁ、便利!」


 ミサカさん……ありがとう。神眼……大切に使わせてもらいます!

 僕は周りをぐるりと見渡す。


「あ、あそこに扉があるよ!」


 凄い離れたところだけど、壁際に、大きな扉があった。

 あれが、本来の出入り口なのだろう。


『み、見えんのじゃ……』

「そっか。スペさんも一緒に見えるといいんだけどね」


 そのときである。


『うぉお!? なんじゃ……周囲が急に明るくなったのじゃ!』


 肩の上に乗っているスペさんが、声を張り上げる。


『なるほど……これも神眼の力じゃな』


・視覚支援(SS)

→神眼スキル発動中、能力を一時的に付与し、仲間の視力を強化する。


『他者の視界にすら影響を与えられるのか……本当に凄いな……』

「でしょ……!」


『いや、凄いと言ったのは、おぬしのことであって……』

「いやいや、だってこの聖武具は、ミサカさんのだし。僕が凄いんじゃなくて、神眼が凄いんだよ」


『いやまあ……たしかにそうじゃが……しかし今神眼はお主のものなんじゃから、凄いのはお主ってことだとおもうぞ』

「そっか。でも、僕はそう思わないよ」


 ミサカさんの力だもん、これ。

 スペさんは『まあお主が良いならそれでいいよ』と言った。


 さて。

 部屋の中を進んでいくと……。

 

 ぐるん!

 目が、突然明後日の方向を向いた。


『どうしたのじゃ?』

「なんか目が勝手に動いた……。あっちの岩陰、何か光ってない……?」


 少し離れたところの岩が、キラキラ光っている。


『うむ……確かにな。我が様子を見て……』

「行ってみよう!」


 僕はキラキラ光る場所へとやってきた。

 そこには……。


「宝箱だ!」

『本当じゃ。宝箱は、中にあるアイテムの魔力を隠す術式が込められておる。我の魔力感知でも見つけ出せん』


「じゃあ、宝箱を見つけられたのも、神眼の力ってこと?」


探偵眼プライベート・アイ(SS)

→隠されているモノを見つけ出す。

 欲しいアイテムを見つけ出すことも可能。


「この探偵眼って派生スキルの効果みたいだね」

『なるほど、宝箱には隠蔽の術式が込められてる。じゃからこの力で見つけ出せたのじゃな』


 暗視、視覚支援、探偵眼……。凄いスキル満載だ。

 ありがとう……。


 僕はパカッ、と蓋を開ける。


「なんだろう、これ。マントと、ブローチ……?」


 灰色の目立たない色のマントに、手のひらサイズの琥珀がついた、ブローチがセットが、宝箱の中に入っていた。


「鑑定!」


・変幻自在布(SSS+)

→大勇者ミサカの所有品。装備すると、効果範囲内にある服を、自分の好きな形にカスタム可能できる。(当該アイテム含む)


・修復ブローチ(SSS+)

→大勇者ミサカの所有品。装備すると、身に付けている服が、破けても自動修復する。


「わ、すごい……便利なアイテムが入ってた。でも、どっちもミサカさんのアイテム? なんで宝箱に?」


 彼女が入れたのかな……?


『迷宮が宝箱に、大勇者の所有物ドロップアイテムを、しまったのじゃろう』

「迷宮が?」


『うむ。迷宮は人間が落としたアイテムを回収する習性があるのじゃ。それを宝箱に入れて、迷宮内にランダム配置する』

「なんのために?」


『宝に目がくらんだ、多くの人間を、迷宮におびき寄せるためじゃな。迷宮は生きてると言われておる』


 なるほど……生きてる以上、ご飯を食べる必要がある。

 ご飯は僕ら……人間……ってことか。


 わぁ……迷宮……やばぁ。

 

「おもしろ!」

『そこは恐い~……じゃないのかのぅ……』


「え、そう? 怒ったときの姉ちゃんの方が恐いよ」

『お主の姉上は大鬼オーガか何かなのかの……?』


「大鬼? 僕の姉ちゃんは編集者だよ」

『へんしゅーしゃ?』


「うん。神の」

『神!? 何ものなのじゃ!?』


 ややあって。


 僕はブレザーを脱いで、ミサカさんのマントとブローチを身に着ける。

 マントの効果で、聖武具の見た目も変えることができた。


 聖武具を、学生カバンの見た目から、肩掛けの革鞄に変更する。

 

『やっとまともな服装になったのぅ。さっきまで珍妙な服を着ておったからな』


 確かに異世界人(フェンリル)のスぺさんから見ると、学生服+学生カバン姿の僕は、妙に映っただろう。


『どうして見た目を変えたのじゃ?』

「ミサカさんのマントに、学生服は似合わないかなって」


 なんだかミサカさんのマント、いい匂いがするな。

 来てると、気分がよくなる。 


『ほほぉ~?』


 によによ、とスぺさんが意地の悪そうな笑みを浮かべる。


「なんだよぅ」

『いいやぁ。うふふ。若いっていいのぅ。青春じゃのぅ』

「なんかムカつく。スぺさんご飯抜き!」


『ぬわぁああああ! ごめーーーーーーーーーん! ゆるちて~!』


 さて。

 異世界風ファッションに身を包んだ僕は、スぺさんを引き連れ、部屋の出入り口までやってきた。


「でっかい扉」

『この魔力の感じ、どうやらこの扉は封印がなされておるようじゃ』


 また封印か。

 ミサカさんをよっぽど外に出したくなかったんだな。王族のやつらめ。

 外に出たら一言言ってやらないとだ。


『して、どうする、ケースケよ。我ビームで扉を破壊しようか? ビームするよ? ご飯くれるならな!』


 このわんちゃん、どうやら僕の手料理をよっぽど食べたいらしい。

 ビーム打つ気まんまんだ。やめれ。


 お金に余裕はないんだから。


「神眼の能力を使います」

『え~~~~~~~~! ビームは!?』

「だめです。ビームお預け」

『うぅう~』


 さて。

 僕は神眼の派生スキルを、試してみる。


『して、何を使うのじゃ?』

「透視スキルを使います」


『透視ぃ? それって物の向こう側を透かして見るスキルじゃろ? 見るだけで、脱出はできないじゃないか』


 僕はスキルを発動する。

 目から、光が照射され、扉に触れる。

 すると、光の当たっている部分が、透けて見えた。


 僕はこのまま扉に向かって歩き出す。


『お、おいぶつかるぞ! 透視はただ物を透けてみるだけで……』


 ひょい。


『なんじゃとぉ!? 扉を通り抜けたじゃってえええ!?』


 スキルを切ると、扉に空いていた穴が閉まる。


・超透視(SSS)

→物体に透過効果のある光線を当て、物の向こう側を透かして見るスキル。


「つまり、すけすけビームです」

『やっぱりビームじゃないか! ズルいのじゃ、ケースケばかりビームして!』


 さて。

 部屋から出ることが出来たぞっと。


 やっぱりミサカさんの神眼はすごいや。


『大勇者の力はこんなものじゃないぞ。今おぬしが使った力なんて、力の一端に過ぎん』


 なるほど……まだまだ、使ってない機能が神眼にはあるのか。

 わくわく。


 と、そのときだった。


「う!」

『どうした?』


 右目が熱くなる。

 そして、視界の右半分が、ぶれた。


【わぁあああ! にげろぉおお!】

【だれかぁああああ!】

【助けてぇえええええ!】


 悲鳴。

 そして、逃げ惑う人たち。

 その背後には、巨大なモンスター。


 ……視界が、元に戻る。


「今の、なんだろう。人が魔物に襲われるビジョンが見えたんだ」

『それは未来視じゃな。神眼の勇者のオハコじゃ』


・未来視(SSS+)

→未来の情報を視覚によって捉えるスキル。魔力を消費することで数秒先の未来を予知できる。

また、突発的に遠い未来の出来事を予知できる。


 未来を予知できるスキルってことか!

 すご! か、か、かっこいい!


『それで、ケースケよ。どんな未来を予知したのじゃ?』

「なんか、冒険者かな? おっきなモンスターに襲われて、パーティ全滅してた」


『ふむ……。この先に待ち受ける未来を予知したのじゃな。して、どうするのじゃ?』

「うーん……見ちゃった以上、見て見ぬふりはできないかな」


 幸いにも、僕が見たビジョンは、未来の出来事。

 つまり、まだ起きてないことなのだ。


「未来を変えることができるかもしれない」

『しかしその出来事が、どこで起きるのかわかるのかの?』


「うーん……確かに。ダンジョンのどこかだとは思うけど……」


 するとスぺさん、『うぉっほん』と咳払いをする。

 なんだなんだ?


『我には魔力感知の力がある。感知の範囲は、魔力を込めることで広げることができるのじゃ』

「! そうか、魔力感知の範囲を拡大して、人間たちの位置を特定するんだね!」


 どこで事件が起きるかは不明だけど、複数人の人間がダンジョン内で襲われるってことはわかる。

 ならば、ダンジョン内にいる人間のとこへ行けば、その人たちのとこで事件が起きる!


『しかしなぁ、大量の魔力がなぁ、必要なんじゃなぁ~。ちらちら』


 ……なるほど。

 スぺさん、ご飯食べたいんだね……。


「わかったよ。ストックしてるカレー、温めるから、ちょっと待ってて」

『やったーーーーーー! カレー、カレー♡ ケースケのカレーは世界一~♡』


 調子いいんだから全く……。


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