第4話 ささくれたココロにうるおいを。
ちょいと儲かったってのを嗅ぎつけたのか性懲りも無くやって来たクソ親父に、気の迷いで会うんじゃなかった。
こんなショボい酒場で気軽に出すんじゃねぇよと言う間も無く置かれる袋。んな適当なモンに入れんな! 相変わらず雑過ぎんだよ……。
自信があんのか知らんが吹っ掛けて来やがって。今までのイザコザを引き合いに脅……穏便なお取引の末、八百五十万シクルまで値切ってやった。血の繋がり的には娘だからって、三千万とか舐めてんだろ。
冒険タグ経由でサクッと送金終了。ギルドの証文書いても良い案件だと受付のオッサンには言われたが、これ以上しょうもない親父のツラなんぞ見たか無ぇから断った。
一応オッサンにも簡易で見てもらったし(種類は不明だが本物らしい)、肌に合わなきゃ売れば良い。暫くは向こうから寄って来なくなるなら損にはならんだろ。
結局は甘いなと思うがアレでも死んだ母さんの惚れた男だけに、何処ぞで野垂れ死なれたら目覚めが悪い。
翌日気を取り直して定宿の部屋で孵す事にした。さて、何が出んのか。
デカい卵なそいつの表面に浮かぶ模様に手を当て、閉じ込められた中身を開放する念を込める。
すると固い岩みてぇだった感触が脆く解けていくように薄くなり――
「ぴあ~っ! ……ぴうぃい?」
最初は丸っこい毛のカタマリかと思ったが、ムクリと巡らせた頭がこっちを向くと、そのヤバさが嫌でも
めちゃめちゃクソ可愛い。
……あぁいや、今はそこじゃねぇ。そいつは胴が太くて短いヘビみたいな体を伸ばすと、コッチに向かって宙を浮いて来やがったんだ。
間違いねぇ、コイツは龍の幼体だ。しかもとびきりヤバい神龍系の。
もう孵しちまった
「ぴぃ、ぴぃ! きゅい~!」
纏わりつく極上の感触に思考を乱されながら、どうやって誤魔化すかを延々と考えるハメに。
あんの
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