最後の仕上げはめがね

グレースお姉さま

これから始まる物語

「さてマリアーナさん、変装も見事、基礎知識もある程度まではクリア、ここまでありがとうございました」


 闇の世界から地球を征服する為やってきた暗黒の女王マリアーナ・ブラックウィッチだが、魔法少女の戦乙女ワルキューレに敗れ続けついに闇の世界から見放されてしまった。

 しかし、そんな中でもずっと協力をしていてくれていた協力者がマリアーナを見捨てずにこの地球の住人として生きていけるように手を貸してくれている。


「あぁ……ありがとう、これで私もこの地球で暮らすことができるだろう、感謝する」


 その言葉に少しウルっとしてしまう協力者だったが、頭を振り言葉を紡ぐ。


「いいえ、マリアーナさん、まだまだこれからです、ここからが地球での始まりになりますよ!」


 確かにそうだ、まだ何も終わってもいないし、始まってもいない、今日これからが地球での本当のスタートになるのだ。


「さて、マリアーナさん、身長以外にも髪型も色々できるようにもなりましたがやはり最後はこれでしょう」


 そう言って協力者が取り出したのは……めがね。

 だが私はめがねをかけるほど視力は悪くない。


「えぇ、そうです、これはあくまでも変装用のめがね……いわゆる伊達メガネです」


 そのめがねのフレームはピンク色だったが確かにこの身長くらいだとその色も悪くないだろう……少し気恥しいが。


「うんうん、やっぱり真っ黒な髪だとピンク色が映ますね~」


 めがねをかけてみた私に協力者がそう言って首をうんうんと頷けせている。


「あぁ……マリアーナさん、可愛い!!」


 しまいにはそう言って私に抱きつく協力者。

 振りほどこうとしたが、今日これまでの感謝を込めなされるがまま抱きしめられ、おまけに頭を撫でであげた。


「ありがとう、地球での協力者よ、そしてこれからもよろしく頼む」


 そう言ってお互いの体を離し、私は姿見の前に立つ。


「明日からの私はもう闇の世界の記憶はなく、この地球で生まれ育ち、協力者……いや、あなたを親類として生活する記憶に書き換える、これまで以上に迷惑をかけると思うがよろしく頼む」


 そう言って頭を下げる。


「いえいえ、マリアーナさんみたいな可愛い娘ができて私も嬉しいですよ? 明日からは任せて下さい!!」


 その言葉を聞き、私は自分自身に……鏡に映った自分に魔法をかけ、記憶を書き換える。


 全ては明日から生きるために。

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