究極職覚醒編
#71 いざ、究極職へ
「今日も賑やかだな」
俺は今、シュプレナードのギルドにいる。
先ほどまでは王城にいたが、一足先に抜け出してここに来た。
城には、リバース村の皆と共に招集されていたが、今は一人だ。
村の全員が呼ばれた理由としては、魔族の侵攻を食い止めたリバース村に対し、王が直々に礼がしたいと申し出があったためだ。
村人全員に加え、現地で戦ってくれた兵の全員が、なんと
勇騎士とは、騎士階級に近い影響力を持ち、言うなれば勇者の次に頼りにされるような存在と言えた。
小規模とは言え、村の全員にこの称号を与えるというのは、とんでもなく異例のことらしい。まぁ、それだけ魔族による侵略を跳ねのけたことが、重く価値のあることなのだろう。
ちなみに俺個人は、元々勇者だったので丁重に辞退した。
変に影響力が大きくなると身動きが取れず不自由になっていくのは、現代日本でも中世風ゲーム世界でも一緒だからだ。
ギルドで転職したくてうずうずしてたまらなかった俺は、一人我先にと城を抜け出し、ここに来たわけなのだった。
皆はまだ城だろう。
つい忘れがちだが、現村長であるユースティナはロマンラング公国の超絶VIPであるため、色々と特別なおもてなしもされているらしかった。
要するにリバース村は、シュプレナードを魔族の手から守った英雄だと、公に認められたというわけだ。
で、だ。
大きな戦いが終わったら、ギルドに来ないわけにはいかないのが男のサガ。
ワクワクとはやる気持ちを抑えながら、受付で転職可能職業の一覧を見ると――なんと。
「究極職!!」
そう、ついに究極職がリストに並んでいた。
魔族殺しをマスターしていたらしく、それにより究極職への扉が開いたようだった。
あれだけ魔族を屠ったのだ、まぁそりゃそうか。
躊躇なく、俺は究極職――『魔剣王』を選択する。
「究極職、おめでとうございます!」
「あ、ありがとうございます」
ギルドの職員さんたち全員が、拍手を送ってくれる。
周囲のギルド利用者たちも、ちらほらと手を叩いてくれている人がいた。
うーん、ちょっと恥ずかしさもあるが、光栄な気分だ。
究極職と言うのはその名の通り、戦闘能力や知識、魔法の使用などにおいて究極を誇る職業。今回俺が就く『魔剣王』は果たして、どんな分野で“究極”なのか。
俺は、究極職というと、一番ポピュラーな『剣聖』と『大賢者』ぐらいにしかなったことがない。
というか、リメイク版でいくつかの究極職が追加されたらしいのだが、オリジナル版ではその二つと『魔導王』の三つしかなかったのだ。
そんなわけで、未知に飛び込む高揚感もありつつ、俺は魔剣王のスキルノートを開示した。
すると。
「――剣技と魔法を高次元で使いこなし、しかも『魔族との戦闘においては自らを超強化し、敵を弱体化させる』戦闘向きの職業とな……!」
えぇ、強っ。
こりゃもう一気に魔王倒せるんじゃないんですかねぇ?
「そういえば……『魔剣王』には、『覚醒』ってあるんだろうか?」
ふと、俺は思い出す。
究極職には、さらに職業が強力化する『覚醒』というシステムが用意されていた。
職業によって、微妙に覚醒の条件は変わっていたのだが、確か究極職に就いたうえで、ギルド裏にいる占い師に話しかけると、色々と教えてくれたはず。
「いたいた」
俺はギルドの裏手に回り、占い師のばあさんの姿を確認する。
「いらっしゃい。そこに座ってくださいな」
「はい」
促されるままに、質素な椅子に腰かける。
占い師はテーブルの上に置かれた水晶玉へ手を向けながら、なにやらうんうんと唸り始めた。
一応、占いのテイを取ってくれているのだろう。
「おやおや、究極職『魔剣王』。これはまだまだ、可能性を感じさせるジョブだねぇ」
そうそう、この前段を話してから、色々と教えてくれるんだったな。
「シュプレナード西の果てにある、セントラ山脈にある『覚醒の祠』を攻略する必要があるかもねぇ」
「ほうほう」
やはり来たか、『覚醒の祠』。
この祠は、究極職に就くことで各地に出現するダンジョンのことだ。
「ありがとうございます。行ってみます」
「いえいえ、またいらっしゃい」
占い師のばあさんにお礼を言って、俺は席を立つ。
「おっし、商店で備品を揃えたら、さっそく行ってみるとするか」
俺は決意し、街へ向かって歩き出す。
すでに気分は高揚し、やる気満々だ。
目的地は、シュプレナード最高峰――セントラ山脈だ。
:【体力】が上昇しました
:【魔力】が上昇しました
:【筋力】が上昇しました
:【究極:魔剣王】になりました
:【占い師】の職業素養を獲得しました
:【上位:勇騎士】の職業素養を獲得しました
:【魔導狩猟師】の職業熟練度が上昇しました
:【ジャンパー】の職業熟練度が上昇しました
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