#31 エンシャントドラゴン、撃退
「うおりゃ!」「ガルゥ!」
俺とクロエの同時攻撃が、エンシャントドラゴンの背面にヒットする。
広大すぎるその背中は、もはや大陸のようで手応えに欠ける。
が。
「ギギャアアアアアアア!!」
しかし、エンシャントドラゴンは叫び声を上げながらこちらへ鋭い眼光を向けてくる。そしてヘルファイアの射線上に俺たちを巻き込もうと、激しい敵意を持って睨みつけてくる。
その行動を見る限り、確実にダメージは入っているようだ。
「来るぞ! 攻撃をやめて回避だ!」
「了解!」「ガウ!」
だが、ヤツの攻撃は俺達には届かない。
ヴァンが後ろでドラゴンの様子を観察しながら、絶妙なタイミングで回避を指示してくれるからだ。
その声に合わせて、クロエが颯爽と回避行動を取る。
今の俺たちはまさに三位一体、エンシャントドラゴンを退けるための完璧な形が出来あがりつつあった。
「グギリャアアアアアアアア!?」
俺たちはヘルファイアの攻撃範囲外、死角へと常に移動しながら、クロエの噛みつきを中心に攻撃を与え続けた。
気が付くと、エンシャントドラゴンの背中側にわずかにだが傷ができ、そのところどころから出血しているのが見て取れた。
ヤツにしっかりとダメージが蓄積している証拠だ。
「よし……いけるぞ!」
俺は状況を見て取り、思わず叫ぶ。
このまま押し切れれば、ヤツを退避させることができる!
「グルリュアアアアアアア!!」
予想以上のダメージを受けて、エンシャントドラゴンが威嚇するように叫ぶ。
その口から、煉獄の炎が消えていく。
「ヘルファイアが終わる! 一気に畳みかけるぞ!」
「ガル!」
吐き出され続けた激しい炎が、ようやく終わりを迎える。
今ここで、勝負を決める!
俺はそう考え、ケルベロスウェポンを握る手に、さらに力を込めた。
だが、そこに油断が生まれた。
「っ!?」
またもエアリフトの効果が切れてしまい、一瞬、俺たちの身体がぐらりと揺らいだ。
その隙を、エンシャントドラゴンが見逃すことはなかった。
「グリュリャアアアアアアアア!!」
「しまっ――」
高層ビル一本が横倒しになったような大きさの尻尾が、俺たちを薙ぎ払わんとスイングされた。
死ぬ――俺が死を覚悟したとき。
「我が身に宿る精霊よ、その御身を司る風を巻き起こし、翼となりて我を羽ばたかせよ――『エアリフト』!」」
「ガウ!!」
咄嗟にヴァンが詠唱し、クロエがそれに合わせて迎撃体勢を整えた。
二人は、一切あきらめていなかった。
「ヴァン!? クロエ!?」
「剣を正面に構えろ、レオン!」
ヴァンとクロエの連携のおかげで、俺も空中で体勢を立て直すことに成功する。
そしてすぐさま、後ろから支えるようにしながら、ヴァンが俺の手に添えるようにケルベロスウェポンを掴んだ。
「ヤツの力を利用すれば、大ダメージを与えられるだろ!」
「……! ああ、わかった!」
高速で向かってくる巨大な尻尾。
俺とヴァンは共に握ったケルベロスウェポンを、尻尾との交錯と同時に――振り抜いた。
「「でやぁあああああああああ!!」」
「ギギャアアアアアアアアアアアアア!?」
エンシャントドラゴン自身の力すら利用した一撃は、ヤツにクリティカルなダメージを与えた。これまでにない悲鳴のような鳴き声が、その威力を物語っていた。
「見ろ、やったぞ!」
ヴァンに言われて見て見ると。
なんと先程の攻撃により、エンシャントドラゴンの巨大な尻尾を――切り落とすことに成功した。
尻尾を落とされたエンシャントドラゴンは、一度こちらを睨みつけてから、巨大な翼を羽ばたかせて、どこかへ去って行った。
「…………」
なんとか、この凌ぐことができたらしい。
「た、助かったぁ……」
「まったくだぜ……」
「ガルルゥ」
地上に戻った俺とヴァン、クロエは、思わず全員脱力して、地べたに寝転がった。
エンシャントドラゴンの去ったあとの空は、場違いなほどに青く透き通っていた。
:【体力】が大幅に上昇しました
:【魔力】が大幅に上昇しました
:【筋力】が大幅に上昇しました
:【知力】が大幅に上昇しました
:【精神力】が大幅に上昇しました
:【運】が大幅に上昇しました
:【上位:ドラゴンスレイヤー】の職業素養を獲得しました
:【魔族殺し】の職業熟練度が大幅に上昇しました
:【猟師】の職業熟練度が大幅に上昇しました
:【猟師パッシブスキル『部位破壊』】を獲得しました
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