#22 クロエの成長
「ふんっ」
「があぁ!?」
俺は魔族が攻撃の射程に入った瞬間、ヤツの喉元めがけてケルベロスウェポンを振りぬいた。
鋭い刃先が首筋にめり込み、魔族の頭と胴体を分断する。その後すぐ、魔力の濃度が濃い魔力の身体は、魔粒子となって大気に消えた。
「あれ、一撃!? 『魔族殺し』すごいな……!」
赤角のサイズを見て、かなり強力な魔族ではないかと警戒していたが、思ったほど強くなかったのかもしれない。
もしくは、俺が『魔族殺し』になったため、かなり能力補正が入ったおかげか。その補正で、大幅に攻撃力が上昇した可能性がある。
「なんにせよ、順調にステータスは上がってるみたいだな」
というかよくよく考えてみると、俺は魔王や四天王の、ヘラジカのようにとんでもなく大きい赤角ぐらいしか、ちゃんと見比べた記憶がない。
なので、実際のところどの程度の大きさになると強い魔族なのか、わからないのだ。今のように戦ってみるまで、勝てるかどうかも正直なところ曖昧である。
ただ一つ言えるのは、今見たぐらいの大きさの赤角魔族なら、一撃で葬りされるぐらいには強くなっているということ。
うん、魔族をじわじわ削っていくには十分すぎるほどだ。
「ワン!」
「おぉ、クロエ。俺を褒めてくれるのか」
俺が自らの攻撃力に驚いていると、クロエが嬉しそうに吠えた。
手を伸ばしてあごの辺りをこしょこしょしてやる。うーよしよし。
クロエにも猟犬として経験を積ませようと、今回の魔族狩りに同行させたわけだが、うん、とにかく可愛い。
すでにお座り、待てなどはお手の物で、俺の物をかぎ分けたりするぐらいのこともできてしまう。
あの、なにかをやり遂げたあとの『褒めて!』のつぶらな瞳が、もうたまらない。
ずっとわしわしもふもふしていられる。
「それに身体も大きくなってきたんだもんなー」
「ウワン!」
クロエの身体を撫でながら、俺は改めてその身体を見る。最近は食欲もかなり旺盛で、ぐんぐん大きくなってきている。
俺は子犬の柴犬にしか実際に触れたことがなかったので、成犬の状態ではどの程度の大きさになるのか見当もついていなかった。
よくネットで柴犬画像を収集しては一時間ぐらいニヤニヤしていた経験があるのだが、画像ではあまり実際の大きさ、体長はわからなかった。
なので今のクロエが、大きいのか小さいのかもよくわかっていない。でも、小さすぎるということはないはずだ。健康でいてくれたらそれでいいと思う。
「うーん、それにしても柴犬って、思ったより大きくなる犬種だったのかもしれないなぁ」
これは魔族の角でも思ったけど、実物を見たことがない物を勝手なイメージで語ってはいけないな。てっきり柴犬は比較的小さくて、せいぜい膝下ぐらいの体高だと勝手に想像してしまっていた。
すでにクロエは、腰ぐらいの高さにまで体高が達している。
顔立ちも拾ったころより凛々しくなり、どこか狼のような逞しさを感じさせる。牙や髭も立派になり、可愛いというよりは美人さんな感じなのである。
「ワウ!」
「おーよしよし。クロエは本当に立派になってきたよなぁ」
顔立ちだけでなく、その四肢も今や街路樹ほどの太さがある。出会ったばかりの頃は華奢で、ちんまりして愛くるしい感じだった。
だが今は、体長ももはや狼ぐらいの大きさとなり、もう少し経てば俺が背中に乗っても大丈夫なんじゃないかってぐらいの体格を誇っている。
まあそれでも、飼ってみたくてたまらなかったお犬様なので、もう可愛くて可愛くて仕方ないのだけれど。
「よーし、今日はクロエとの連携プレイも磨いていこうな」
「ワン!」
狼マスクの位置を直しながら、俺はクロエをもう一度わしわしする。
クロエが立派な猟犬となり、俺との戦闘をサポートしてくれたのなら百人力だ。お互いの背中を守り合えるような、最高の相棒になろう。
そう、狼マスクの剣士と狼のように勇敢な黒柴のコンビで、魔族を震え上がらせてやろうぜ!
「テメェ! そこでなにしてやがんだ!?」
「やっちまえ! 戦え、力を誇示するチャンスだぞ!!」
俺が、固い決意をクロエと交わしていると。
またも魔族が数体現れ、俺たちを取り囲んでいた。
……俺ら、ついてなくない?
:【体力】が上昇しました
:【魔力】が大幅に上昇しました
:【筋力】が上昇しました
:【知力】が上昇しました
:【精神力】が上昇しました
:【魔族殺し】の職業熟練度が大幅に上昇しました
:【猟師】の職業熟練度が上昇しました
:【魔族殺しのパッシブスキル『魔族探知』】を獲得しました
:【一般パッシブスキル『一撃必殺』】を獲得しました
:【一般パッシブスキル『犬好き』】を獲得しました
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