第17話 失われた輝き ※ヒロイン視点
最近、攻略対象に会うのが少し面倒になってきたかも。
彼らの口から出てくる言葉は、ネガティブな内容ばっかり。それに、仕事でも失敗しているようだし。
前まで感じていた、キラキラ輝いていた素敵なキャラクターたちの姿が、今は暗く淀んだ印象に変わっていた。どうして、変わってしまったのかしら。
あなた達って、もっと優秀でカッコよく、知的で魅力的だったはずなのに。
「あぁ、もうこんな時間だ。研究に戻らないと」
「そうですか! 研究、頑張ってくださいクロヴィス様」
「いや、でも。まだ、アルメルと一緒に居たいな」
好感度を維持するため攻略対象に会いに来たけれど、さっさと終わってほしいという気持ちになってしまった。彼との会話が楽しくない。もっと、楽しい時間を過ごしたいのに。
だから私は、早く仕事に戻るようにと促す。しかし、彼は戻りたくないみたいね。まだ、一緒に居たいと言われる。でも、戻らないといけないのでしょう?
「ダメですよ、クロヴィス様。早く仕事に戻らないと」
「うーん、そうだな。君の言うとおりだ。仕事に戻ろう」
説得すると、彼は名残惜しそうな表情で私から離れた。その往生際の悪さが、私の印象を少し悪くさせる。だってそうでしょう? ちょっと、引き際がよくないわよ。
「アルメル。次は、いつ会えるかな?」
「えーっと、そうね」
クロヴィスとは、もう会うのを止めようかしら。目標だったゲームもクリアしてしまったから、好感度を維持する必要もないのかもしれない。魅力もなくなって、面倒が増えてしまったから。それなら思い切って、会うのをやめてもいいわよね。
少し前までは逆ハーレムルートをクリアするという目標があったから、その面倒も楽しめた。だけど今は、ただただ面倒くさいだけ。いらないのよねぇ。
複数人を同時に、キャラクターの攻略を成功させてきた。今後は誰か1人に絞って、決めた相手と将来を歩むのがいいかもしれない。
真剣に、これから先のことも考えないといけないわよね。
「研究が忙しいのなら、そっちに集中しなきゃダメよ。私のことは放っておいていいから、クロヴィス様は自分のことを頑張ってください。一段落したら、また連絡してほしいな」
「……あぁ、わかったよ。なんとかして、必ず研究で成果を出す。それまで、待っていて」
「わかった、応援してるからねっ!」
そう言って、ようやく別れることが出来た。とりあえずこれで、しばらく彼に会いに行く必要はないかしら。少し残念だけど、彼はポイっとね。
その後も、他の攻略対象に会いに行って、少し距離を置くことにした。今は、自分のことに集中して。
騎士の任務に失敗したトリスタン。将来性のない所属先に任命させられたラウル。いつも王城に勤務して忙しそうにしているトゥーサン。彼らとは、一時的にお別れ。
私は、ルドルフにターゲットを絞って付き合っていくことに決めた。彼は王になるんだから、将来性はバッチリでしょう。他の攻略対象は、ダメになってしまったので諦める。でも、輝きを取り戻したら他の男たちとよりを戻すのもありかもしれない。
だから、彼らにもぜひ頑張ってほしいな。また、あのゲームをクリアするのに夢中になっていた頃の、楽しい時間を思い出せるように。
さてと、一番の本命であるルドルフ様に会いに行こうかしら。
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