我々は『めがね』君たちは『人類』

ほしのしずく

第1話 我々は『めがね』君たちは『人類』

我々は眼鏡族。


この世界に蔓延る人類の視力低下に伴い生まれた物だ。


我々、眼鏡族と人類との付き合いは、紀元前三世紀頃からのものになる。


詳しいことは、祖先からの口伝な為、抜け落ちている部分もあるかも知れないが、その話によるとインドやバビロニア、エジプト、ローマ、中国などの大国で生まれたらしい。


そして、その祖先は、遠視用と老視用二つの部族が存在しており、真ん中が厚いレンズ姿をしていたという。


それに、昔は視力補正だけではなく、太陽の光を集め火をおこす物としても重宝されていたらしい。


また、我々を作る作業はとても手間のかかることだったので、絶対数が少なく神聖なものとして扱われていたようだ。


そこから、我々の体となるフレームが人類たちの手により、形を変えて作られていく。


初めは手持ち。


次に鼻掛け。


そして、今の原型であるツルつきのフレーム。


また当時、高級品だった我々眼鏡族が全ての視力低下で悩んでいる人類へと行き届くように創意工夫を行ってきたのだ。


こうしたさまざまなこと経て、近視用、遠視用、老視用の三つ部族となっていき、現在に至る。


つまり、我々は現在に至るまで、さまざまな場所で彼ら人類を支えてきたと言っても過言ではない。


もちろん、そこに関わってきた人類の労力も相当なものだろう。


なのに、どうだろうか?


昨今では、有名なキャラコラボの激カワフレームの眼鏡や、もはやライバル以上と言ってもいいコンタクト族が幅を利かせているではないか。


一体、人類は何を考えているのだろう?


我々の役目は、彼らの視力を補助する役目だったろうに。


一歩譲って、まぁ……コンタクト族は許そう。


眼鏡だと曇るとか言うしな。


本音を言うと、曇り止めや良いレンズに変えて欲しいのだが、そこは各ご家庭事情が絡んでくるから何も言うまい。


我々、眼鏡族と人類とはもう長い付き合いだ。


それくらいは理解している。


しかし……何だ?


あのレンズなしフレーム野郎や度無し野郎共は……正直、虫唾が走る。


あんな物を我々眼鏡族は、眼鏡だと断じて認めない。

我々の使命である視力補正という役目を忘れた浮かれポンチ野郎だ。


……コホン! すまない……。


知的な眼鏡とあろう物が、どこぞの馬の骨かわからないフレーム以上眼鏡未満の半端物に、気持ちを揺さぶられてしまったようだ。


と……とにかく何が言いたいかというと、今一度。


我々、眼鏡族のことを真剣に考えて欲しい。


有名キャラコラボ激カワ眼鏡であろうとも、色眼鏡であろうとも、老眼鏡であろうとも、我々の一番の存在意義は人類の視力補正なのだから。


……ただ、もし度ありのレンズで有名キャラコラボフレームに変えてくれるなら……まぁ、そのやぶさかでない。


我々も、有名キャラとコラボはしてみたいからな……。


えーっと、その何だ。


これからも、我々眼鏡族を宜しく頼む。


眼鏡族代表、黒縁フレームのTHEめがねより。

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我々は『めがね』君たちは『人類』 ほしのしずく @hosinosizuku0723

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