第30話 も一つ 前が見えない

 御坂峠の西川林道に、まだ未舗装路区間があった頃のお話です。


 次回の年賀状写真を準備するため、御坂峠からの富士山を撮影しに夜駆けで来たのだが、御坂峠から冨士吉田に抜ける林道で、濃い霧が発生して殆んど視界0。


 10数メートル先も良く見えません。


 今回ばかりは、濃い霧でどうにもならないので、ゆっくりゆっくりと峠を降りることにしました。


 それでなくても濃い霧で視界が劣悪なのに、崖の落石はあるは、未舗装路の区間では漬物石くらいの石がゴロゴロしているのです。


 そんなに簡単に、都合よく落石等を避けて走れるはずも無く、車の底にも石がボコボコ当たります。


 写真仲間のランクルならばもっと楽に走れるのかと思いもしますが、小生の車は街乗り用のコンパクトカー、ランクルみたいに車高も高く無いし4WDにもならない。  


 何処をどう走ったのか全然判らないのですが、日の出の頃にやっと麓に降りる事ができました。


 その間、対向車は当然一台も無しです。


 結局この日は、朝からも天気がイマイチだったので、濃い霧の中をウロウロしただけで、何もまともな写真を写せない旅とあいなりました。



 後でこの時のことを振り返って考えると、いつも撮影している場所でUターンして引き返せばよかったのです。

※車がUターン出来る広い場所があるのです。


 そのまま直進して未舗装路区間に入ってしまったのだから、タイヤがスタックしたりして、車の身動きがとれなくならなかったのが、不思議なくらいの状態でしたね。



 いつの間にか御坂峠の西川林道も綺麗に全線舗装されていて、落石は至る所で発生していましたが、随分と走りやすくなっていましたよ。


 以前冬に行った時には、登山道の駐車場の所でゲートで封鎖されていましたので、雪が消える春先になると、冬の間に発生した落石の撤去をして車が走れるようにするのでしょうね。

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