147 ジジイたちのバンド

ときどきおれが

勤めている

喫茶店と

同じフロアにある

公民館の前で

年配のジイさんたちが

エレキギターを担いで

バンド活動なんかを

やっているのを

見かけることがある


人は好き好きだし

趣味でバンドを

演っている人を

けなすつもりはないが

おれはもう

バンドには

懲り懲りだ


もう二度と

人前でも

個人的にも

ギターを

弾くつもりはない


バンド活動も

二度と演らない

いい歳して

バンド活動なんて

演る奴の

気がしれない


もちろん

個人の楽しみで

演っていること自体は

否定する

つもりはないが

おれはもう

今までおれと一緒に

バンドを演っていた

連中の

一人一人の

人格を

疑っている


バンド活動なんて

演るのは

若い時だけの

泡沫の夢だ

歳を取ったら

バンド活動なんて

演らずに

静かに

穏やかに

残りの人生を

過ごすべきだ


おれも若い頃は

歳を取って

ジジイになっても

ギターを担いで

仲間たちを

見つけて

バンド活動を

するのかなあなんて

思っていた


それもいざ

自分が歳を取ったら

ギターを

手にすること自体に

飽き飽きして

嫌気が差してきた


ましてや

音楽の演奏しか

取り柄がない

音楽バカたちと

バンド活動を

演るなんて

もってのほかだ


おれが今

自分の手に

取りたいのは

ギターや

ベースではなく

詩を書くための

ペンだけだ



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