第16話

寿命で死んで、次の世界を目指すことにした。

まぁ、尤も、同じ世界にもう一度生まれなおしてもいいのだが、分かった世界より知らない世界の方が楽しかろうということである。

今まで、裕福っぽい妊婦さんを選んで楽をしようとしてのだが、あまり生まれを役に立ててなかったので、えいやで適当に選んで憑依した。

記憶保管用の分身体も用意してあるし、準備は万端。

この世界で5年ほど過ごして、前世の記憶を取り戻そう。

記憶を取り戻して、ようやく差異が明らかになってきた。

基本的にいるのは人間だけ。草原で遊牧生活を営んでいた部族が、次元断層に巻き込まれて流れてきたようだ。一緒に家畜も来たのは幸いで、転移直後の食糧危機は起こらなかったようだ。とはいえ、物資は使えばなくなるわけで、近所にあったはずの村に略奪に行ったら村がない。あわてて周囲を探ったが、ほかの村も見つからず、ここで初めて、自分たち以外が消えていることに気付けた。物資のいくつかは略奪に頼っていたが、それでは追い着かないので、内製を始めることにした。農民を下に見ていた保守層も、それがないと立ち行かないことに気付いて、あるいは気づかされ、蔑視の意識は消えていった。武器製造の必要性から、もともと鍛冶はある程度発展していたが、鉱石の発見とその利用法が開発され、金、銀、銅を用いた貨幣経済が成立していた。

村にもシャーマンとかいて、祈りをささげることで、様々な現象が起きることが発見され、後にシャーマンという地位に関係なく現象が起こることが広まると、シャーマンという地位の特権性は失われ、誰でもシャーマンが名乗れるようになった。とはいうものの、その力の大小には個人差もあって、偶然にもシャーマンとしての修業が、力を増大させることが分かり、力の強いシャーマンはやはり、一定の尊敬を集めることになった。

シャーマンが持ちうる技能をまとめると、火や水を生み出す技能やそれらを使って攻撃する技能、石を生み出しそれで攻撃する技術。風を吹かせる技術である。分類が困難な特殊技術を持った者もいて、意外と多彩である。

さて、ある程度の齢になったら馬を与えられる。乗馬技術を鍛えておけということだろう。練習がてら、馬に乗ってあちこち出かけることができた。

この世界でも方位磁石は通用したので、北と南に大森林、西に高山。東に海となっていることが分かった。

アボーツによるテレポート能力や物品引き寄せの能力も残っていたがこれはシャーマン技能の一種として受け入れられた。

馬に乗っての旅も時間はかかったが、アボーツ技能やテレポート技能を使って、大過なく達成することができた。

高山帯には噴火しているものもあって、硫黄の採取も容易そうである。

結構しっかりした四季もあって、冬は凍えるほど寒い。

ここは、前世の風呂を再現せねば。風呂桶と風呂釜との接続は、ねじ式で十分として、燃料は薪を使おう。薪は、南の森林から採取できる。技能を使って、薪取で、手間はかかるが、商売にはなる。

ダンジョンも発見されている。シャーマンの力の源として魔素があるが、自然に凝って魔物とかが自然発生することがある。自然発生する場所が、ダンジョンである。

ダンジョンでとれる魔物は食用可能で、中には森があるものもあり、薪等も採取できる。

ダンジョンの魔物や、薪などは勝手に再生するので、採りつくす心配はない。

主にダンジョンに潜り、魔物刈りで生計を立てよう。





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意図的転生による、異世界スローライフ(Retry版) 立ち読み愛好家 @jtanaka_01

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