第10話

水蒸気を使う方法として、自動車を考えたわけだが、実のところ船に応用する方が、楽である。ポンポン蒸気というものが、前世ではあった。構造は簡単で、水を満たした缶にノズルをつけておく。缶を火にかけると、沸騰してノズルから水が噴き出す。する缶が真空に近くなるので、ノズルを水面下においておけば、ノズルから水が吸い込まれる。そして満たされた水が沸騰し、ノズルから水が噴き出す。

これらを繰り返すことで、船は進む。

これで、海についたからと言って、進むのをあきらめる必要がない。

西の海辺は遠目で視たのみなので、海辺に拠点として、建物を建てた。

作っておいた蒸気船を手元に取り出し、乗り込む。

自宅との往復が、可能であることを確認して、いよいよ船出だ。自宅と船の太陽高度を比べることで、どこまで進んだかはわかる。

夜になったら家に帰るので、食料とか積み込む必要もない。嵐で船が難破したりもしたが、自分は乗っていないので関係ない。嵐にあったらとっとと家に帰るしね。

すると当然のように陸についた。元の場所が弧状列島だとすると、近くに陸があるのは当然ともいえる。

文字通り、前人未到の地なので、何があるわけでもない。

ともあれ折角来たんだからいつでも来れるように小屋とか建てておこうか。

頑張りゃ世界一周だろうが成し遂げられようけど。やっても意味ないし。

さて、北に発見した油田に島伝いにアプローチしてみよう。東の海から北に進む。ある程度北に行ったら西に向かえば、以前発見した油田地帯につくはずだ。山を越えて石油を運ぶのは無理でも、海へと迂回出来れば何とかなる。

とはいえ、パイプラインを引くにはコストがなあ。石油が売れるのならば、回収も容易だが。

とりあえず、動力船はできたので、遠洋漁業に手を出してみよう。

魚をたくさん取れれば、とりあえず儲かる。遠くまで魚を求めて行っても、どうせすぐ帰れるし。極端な話、エンジンかけっぱなしでおっぱなしておいても何か失うでもないので、間違って嵐に合わずに、新大陸的なとこに着くならそれでもいいし。

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