第7話

効率的な移動手段を得たところで、西に向かってみる。南北西に山があるので、今いるところは、沖積平野にあたるのだろうと予測がついた。

あとは、ここは島なんだろうかと、若干好奇心が沸いた。まぁ西に進んでいれば、答えは出るだろう。大体西の方角に向かって矢を射る。矢が地面に刺さるようにやや上方を狙うのがコツだ。刺さりが甘いと抜けてしまうので、移動の手段として、使いづらい。

瞬間移動なので、低い山なら越えてしまえるし、広めの川も問題ない。広い川なら、大抵中洲があるので、中洲経由なら、意外と距離もない。

そんなこんなで西に進んでいくと、高山地帯に差し掛かった。高めの峰に上ると、西に海があるのが確認できた。やはり、中央山脈だったようだ。東西に海が見えるということは、島としては以外と小さいようだ。前世の知識に照らせば、おそらく弧状列島の一部かな。高山地帯なので、季節は夏だが、意外と寒い。うろうろと見渡せば、日陰に氷が残ってる。氷の採取ができるように、しっかり目の小屋を建てておこう。これでいつでも採取に訪れられる。

氷の入手が可能なら、冷水器も、作成可能だな。前世の小説には、冷やした酒が、受けまくったというのもあるが、前世はほとんど酒を飲まなかったしなぁ。今世でもあまり酒がうまいとも思えないせいで、やっていないが、酒を仕入れて、冷やして売るだけで、商売になりそうではあるな。

酒に興味がなかったので、調べてなかったが、此方には、蒸留酒がない。鉄製の蒸留器を制作すれば、なんとかなるだろう。冷媒は水でいいだろう。

蒸留機に少し煙が入るようにして、風味付けを行うようにする。燻製の技法だな。それで美味くなるかはよくわからないが、味見を頼んだものからは、好評を得た。

酒を飲む気がないものが、酒場の主というのも何か違う気もするが、まぁ、いいだろう。

婚約者と結婚して、酒場の経営を任せることににした。私はせっかくなので、瞬間移動で、あちこち出歩くことにした。狩りに行くと言っていれば、特に誰にも疑われることもない。出先で獲物は狩るのだし、嘘という訳でもない。

まだ行っていない方角として、北に適当に向かってみる。

山を越えて適当に行くと、なんか異臭が混じるようになった。

この匂いはどっかで嗅いだようなと思っていると、地面から油が湧き出している。これは油田だ。これだけで、世が世なら大金持ちだが、石油化学工業のない世界では、宝の持ち腐れである。

とりあえず、燃料としては使用可能なので、移動用の小屋を建設した。

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