こんにちは、異大陸人

GM:意識が戻った皆は、大理石で作られた広間に倒れていました。壁が3枚、三角形の部屋であり、中央には同じく大理石で作られた台座があります。

メメル:千年パ〇ルだ!

GM:人が気にしてたことをズバッと言うなや。

ニコラス:(のそり)起き上がって状況を把握しましょう。

GM:(今のところ起き上がってるのはニコラスだけか)周りには見知った人族と見知らぬ人族が転がっています。

ニコラス:ふむ。1人ひとりをテレパシーで起こすのは時間がかかりそうですね。持ってきた料理道具セットからフライパンとおたまをとりだしてカンカンカンと叩きます!

一同:うるせえ!(笑)

ルートフィールズ:「敵襲か!?」飛び上がる。……なんだ、ニコラスか。寿命が縮まるかと思ったよ。

イリーナ:ふぁああ……朝ですの……?(起きた)

シエナ:……なんですか……騒がしいですよ(起きた)。

ニコラス:こんなこともあろうかと、持ってきておいてよかったです。備えあれば憂いなしですね! というわけでイーヴ様の格言「常に備えよ」のムーブです!(笑顔)

GM:面白かったので「振り直し権利」あげます。

シエナ:むっ。どこですかここ。というかさっきのけたたましい音は一体……?

まだ寝ているメメル:ぐー。

シエナ:メメルも起きなさい(ゆさゆさぺちぺち)。

メメル:んぁ~やめろ2ケツはあぶねー……はっ!!(どんな夢だ)

イリーナ:メメルさんしっかり。「魔剣の迷宮」に挑戦したところですわよ。

ニコラス:おはようございます。皆様。ところで、言葉は通じますか?

GM:はい。互いに交易共通語です。大陸が違えば同じ言語でも多少訛るかなとも思ったんですが、少なくともこのダンジョンの中にいる間は不思議な力で言葉が通じるものとします。めんどいので。

ニコラス:わたしは〝奈落の盾神〟イーヴ様が信徒、ニコラスと申します。こちらは〝慈愛と復讐の女神〟ミリッツァ様の信徒、ルートフィールズです。

ルートフィールズ:(ぺこり)

ニコラス:確認したいのですが、皆さんもハルーラ様の神託を受けてここへやって来た、ということでよろしいのでしょうか?

シエナ:ええ。そういうことになりますね。私はシエナ。〝騎士神〟ザイア様の信者です。

イリーナ:ワタクシはイリーナと申します。〝妖精神〟アステリア様を信仰しておりますの。ワタクシたちも、オーロラを辿るようにと夢で言われましたわ。

メメル:おれはメメル! 信仰は〝風の神〟ル=ロウド様だぜ!

シエナ:GM、私たちがイーヴ神とミリッツァ神のことを知っているか、「神様判定」をしたいです。

ルートフィールズ:こちらもザイア様とル=ロウド様を知っているか判定したいね。

GM:そうですね。判定回数多いので順番にやりましょう。


 各々「神様判定」をする冒険者たち。

 テラスティア大陸組は全員プリーストレベルが高いこともあり、難なくクリア。

 アルフレイム大陸組も出目が良くクリアです。

 ……ちっ。


GM:では解説をご覧くださーい。


〝騎士神〟ザイア

秩序を重んじ、調和を愛し、主や弱者を守ることを教義とする神です。卑怯なふるまいを嫌います。


〝風来神〟ル=ロウド

自由を司る神です。幸運の神とも考えられており、運命は自分の手で切り開くものと説きます。


〝奈落の盾神〟イーヴ

奈落より現れる魔神や、その影響を受けた邪悪な者たちと戦うことを教義とする神です。非常時でない時は、弱者の盾となるよう説きます。


ルートフィールズ:……ミリッツァ様は?

GM:……すまん。ぶっちゃけシナリオに1ミリも関係ないから用意し忘れた(顔そらし)。

ニコラス:ということは! イーヴ様は! 出番があると!(満面の笑み)

GM:えーと、皆さん判定に成功したんですが、神様情報に付随してわかることが1つ。「あれ? この神様こっちの大陸で信仰されてたっけ?」

イリーナ:そうですわよね。ちょっと変に思いますわ。

シエナ:……イーヴ神とミリッツァ神ですか……随分とまあ珍しい(ぼそり)。

ニコラス:そうですか? ザイア神よりは広く遍く民草に親しまれていると思うのですが(笑顔)。

シエナ:そうですか? こちらではイーヴ神よりザイア様の方が広く親しまれているので(にっこり)。

ルートフィールズ:ニコラス、落ち着くんだ。何かがおかしい。ちゃんと話を聞こうじゃないか。

ニコラス:おっと。そうですね。GM、そろそろ目の前にいる方たちがどうやら違う大陸から来たようだ、ということに気がついていいですか?

GM:大丈夫です。「神様判定」に成功してますし気づくでしょう。

メメル:んー? となるとここはどこなんだ? おれたちはテラスティア大陸で「魔剣の迷宮」に飛び込んだんだが。

ルートフィールズ:我々は〝奈落の魔域〟に入ったところだよ。かなりの距離があるし、そちらの大陸に行ったとは考えられないが……。


 頭を突き合せて情報の確認を行う冒険者たち。

 ひとまず、同じ神に導かれた仲間として行動を共にするようです。


イリーナ:まずはこの部屋を詳しく調べてみませんこと? 道が隠されているかもしれませんわ。

ルートフィールズ:台座と壁が3枚だっけ?

GM:いえす。あと台座の上には精巧な像が複数置いてあります。近づいてみます?

シエナ:えっ……怖……近づきますけど。

GM:今のところは何も起きないんで安心して? ええと、台座には不思議と読める文字で「愛とは婚姻だけにあらず。別離すること、並び立つこともまた愛であり、博愛という愛もある」と刻まれています。像は7体。男4、女3です。あと像に隠れてて分かりにくかったんですが、台座の中央にくぼみがあります。

ニコラス:これは……なぞ解き……リドルですか。


7体ある像のうち、3体の男性像の正体が「ライフォス」「ダルクレム」「キルヒア」だと判明。

まあプリーストですしそれくらい知ってて当然ですよね。


〝始祖神〟ライフォス

カルディアにより最初に神格を得たとされ、調和を尊び友愛を大切にするように説く、博愛主義者な神です。


〝戦神〟ダルクレム

イグニスから最初に神格を得たとされ、解放と破壊を司り、全てのしがらみや束縛を破壊することで、生き物は真の姿を手に入れられると説く神です。


〝賢神〟キルヒア

カルディアを見出し、神格を得たとされ、謎を探求し、知識を研鑽することを美徳とする神です。


イリーナ:最初の神様たちですわね。

メメル:〈始まりの剣〉ってやつに触れたっていうアレか。

GM:そうですね。最近ではソードオブジェネシスって言うらしいですけど。GM驚愕。

シエナ:となると残りの像も神様でしょうか(ころころころころ……)。

ルートフィールズ:量が量だからさっさと判定しよう(ころころころころ……)。

ニコラス:(……ころころころころ)こんなに振ってファンブルが出ないのはちょっと寂しいですね。

GM:皆さん出目いいですね。全部分かります。ずらっと出すから頑張って読んでね~。


〝太陽神〟ティダン

天候を操り、光と豊穣をもたらすとされる神です。分け隔てなく富を分配することを美徳とします。


〝月神〟シーン

ティダンの妻と言われている神です。平和を愛し、争いが起こると、全てを闇に閉ざして戦えなくしてしまったという伝説があります。


〝眠りの神〟カオルルウプテ

眠りと安息、怠惰と堕落を司るとされる神です。ダルクレムに深く信頼されていたとされていますが、神々の戦争の中、彼の元を去ったと伝説は語ります。


〝秘隠神〟クス

第三の剣カルディアのありかを知り、守っていたとされる神です。キルヒアと共に剣を隠し続けたという説もあります。


ニコラス:ううん……胃もたれしそうです……。

メメル:GM、まとめて出すな! 情報量が多い!!

GM:すまん! でもリドルやりたかったんや!

シエナ:壁の方も見てみますが。

GM:3つの壁にはそれぞれくぼみがあり、その下に石がはめ込まれています。白色の石、赤色の石、緑色の石ですね。あ、壁1枚につき2つの像を置けそう。

シエナ:これは……置き場所を表しているんでしょうか。

ニコラス:この色……〈始まりの剣〉、もといルールブックの表紙に対応しているのでは?(笑)

GM:(無言で目をそらす)。

シエナ:あっ……GM、そんなメタいことを!(笑)

GM:う、うるさいやい! 表紙の女の子達は昔っからルミエルたん、イグニスたん、カルディアたんって呼ばれてるんだよ一部の界隈で!!

シエナ:GMの性癖に興味はありません(溜息)。では白に〈第一の剣〉陣営であるティダンとライフォスを。

メメル:赤にダルクレムとカオルルウプテだな!

イリーナ:では、緑にキルヒアとクスを置きますわ。

ニコラス:残ったシーンはひとまず真ん中に置きましょう。

ルートフィールズ:では僕は周りを警戒しようか。何が起こるかわからないしね。

GM:置きますと、「解釈が甘―い!」という叫びと共にゴッドフィストが飛んできます。ルートフィールズ以外の皆、「精神抵抗力判定」を目標値15でお願いします。

一同:ええー!


 ちょっと殴ってみましたが、たいして大きなダメージにはならず。しくしく。

 改めて冒険者たちはあーでもないこーでもないと相談を始めます。


メメル:あー! 解釈が甘いとかみみっちいこと言ってんじゃねー!

イリーナ:「婚姻」「別離」「並び立つ」「博愛」の言葉の通りに像を分けるようですけど……。

ルートフィールズ:(神様メモから顔を上げて)GMの解説を読む限り、ダルクレムとカオルルウプテが別離、キルヒアとクスが並び立つ、で間違いないような気がするんだ。となると、シーンとライフォスの位置が違うんじゃないかな? そもそも婚姻しているのはその2人だけだ。

シエナ:なるほど。ではその2つを交換して、設置してみましょう。せいっ(置いたらしい)。

ニコラス:よいしょっ(同じく置いたらしい)。

一同:ごくり。

GM:……正解です! いろんな逸話を読んだ結果、ライフォス様はボッチであるという説にたどり着いた私です。というわけで台座がごごごと沈んでいきまして、下り階段が現れます。

シエナ:行きましょう!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る