第14話 第二航空艦隊 ー空母編ー②


改翔鶴型空母4隻と一緒に訓練航行と艦載機の訓練をしていた、2隻の巨大空母。


その正体は、『一号艦』をベースに建造された大鳳型空母『大鳳』と『白鳳』だ。

本来、『一号艦』は『大和』、『二号艦』は『武蔵』と命名されて世界最大の戦艦になる筈だった。

だけど、五年前に遠藤が『一号艦』の欠点等を指摘した事で、大和型戦艦の計画は設計のし直しで白紙になった。


だが、遠藤は『一号艦』と『二号艦』については、船体の改善をした上で空母として建造すべきだと上層部に進言して、各方面に奔走して掛け合うなどした事で2隻は空母として『一号艦』は広島の呉海軍工廠で、『二号艦』は長崎の長崎造船所で建造が行われた。


此により、川崎造船所で予定されていた初の装甲空母『大鳳』は中止となり、結果、2隻は大鳳型空母として『一号艦』は『大鳳』、『二号艦』は『白鳳』と命名された。


他にも、大鳳型空母にも新しい装備が施されていた。

艦橋も改翔鶴型空母や飛鷹型空母と同じ艦橋と煙突が一体化したアイランド型艦橋になっている。

勿論、左舷の外側に艦載機用の昇降エレベーターが設計された。

他にも、火災防止・消火作業などのダメージコントロール面のメリットから、格納庫は一部が開放式格納庫になっていた。


また、新しい試みとして、艦首において中空に突き出た従来のような飛行甲板では巨大波に突っ込んだときに圧壊しやすくなるため、同時期のイギリス空母の様に艦首外板を飛行甲板まで延長するハリケーン・バウ(エンクローズド・バウ)という形式をとり、艦首部と甲板を一体化させた。


もう一つの最大の特徴は、搭載機数だ。

改翔鶴型の搭載機数は、常用機で74機、補用機6機の計80機である。

しかし、大鳳型空母は『一号艦』の船体がベースの為、常用機が110機で捕用機が12機の合計122機と正に『世界最大の空母』となった。

そして、飛行甲板は初期の大鳳型みたいな装甲の案もあったが、搭載機数の減少や艦がトップヘヴィーとなって艦が転覆しやすくなる等の懸案事項によって見送られて、従来の木製飛行甲板案が採用された。

結果、大鳳型空母は、全長:266m、艦体幅:38m、基準排水量:61,000トン

として誕生した。


結果、『大鳳』と『白鳳』が加わった事で第二航空艦隊は、6隻合わせて常用機で516機、予備機で48機の合計で564機とかなりの艦載機を所有する事になった。

実際、第一航空艦隊の方は、常用機と予備機を合わせて合計で440機だったから、この差は大きい。


6隻の空母による艦載機の訓練を『長門』から見ていた中、鼓舞が言った。

「まさか、6隻の空母の司令官に、山口さん、小澤さん、角田さんが志願して着任するとは・・・。」

鼓舞の言葉に、全員が頷いていた。


それは、遠藤も同じで、

(まさか、あの三人が志願してきたのは、予想外だったな・・・。)

そう内心で思いながら、遠藤は三人が志願してきた日を思い出した・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る