第13話 第二航空艦隊 ー空母編ー①
ー高速戦艦『長門』防空指揮所ー
遠藤が『長門』の防空指揮所から、4隻の空母で行われている艦載機の発着艦訓練を見ていた中、鼓舞が遠藤に聞いてきた。
「若大将、彼方の4隻の新型空母が、改翔鶴型空母なんですね?」
そう言った鼓舞が指差した方向には、4隻の空母がいた。
「そうだ。あの4隻が、改翔鶴型空母の『舞鶴』、『紅鶴』、『神鶴』、『飛鶴』だ。」
遠藤の言葉に鼓舞達は、新造艦である4隻の空母を見た。
改翔鶴型空母は、翔鶴型空母をベースに建造した航空母艦である。
外見において最大の特徴は、現在、急ピッチで建造中の飛鷹型空母と同じ艦橋と煙突が一体化したアイランド型艦橋になっている。
更に前部と後部の飛行甲板を翔鶴型空母と比べて、若干、延長した。
艦載機の搭載機数は、翔鶴型空母と比べると、多少、少なく常用機が74機、予備機が6機で合計80機ではあったが、正規の大型空母としては充分だった。
また、火災防止・消火作業などのダメージコントロール面の強化が行われている。
他にも特徴としては、エレベーターは従来型のインボード式(飛行甲板の前後に設置)の他に、船体中央部の左舷側ににデッキサイド式のものを装備し、計3基となった。
これは、敵の攻撃で飛行甲板のエレベーターが使えなくなった場合に備えての意味もあった。
その姿に、淵田と久我は目を瞬かせていた。
「いやはや、エレベーターを外部に剥き出しにした形で設置とは・・・、斬新なアイディアやな・・・。」
「ああ、だけど、よく見ると飛行甲板の下は一部が解放式にしているな・・・。」
そんな二人の感想と疑問に、遠藤が説明した。
「その理由は、格納庫内対策だよ。これまでの空母は所謂、密閉型。もし、格納庫内にガスなどが充満して、些細な火気が接したらどうなる?」
それを聞いた淵田と久我は、顔を青ざめた。
「そうなったら、大爆発を起こして、最悪、空母が沈むやないか・・・。」
「それを可能な限り、防ぐ為の左舷のエレベーターであり、一部の格納庫解放式だ。」
淵田達にそう言って、遠藤は説明を終えた。
そんな中、佐野、遠山、奥奈、長津田が驚嘆していた。
「あっちの2隻の新型空母は凄いな・・・。まるで、海に浮かぶ城みたいだな・・・。」
遠山の言葉に、全員が頷いていた。
改翔鶴型空母4隻と並んで、艦載機の訓練等をしている2隻の空母は、改翔鶴型空母を一回り大きくした巨大な空母だった。
(当時、否定したあの『一号艦』をベースに建造した2隻が、空母として第二航空艦隊に編成されたのは、運命の皮肉だな・・・。)
遠藤が内心で苦笑いしながら思ったのも、無理はなかった。
その2隻は、五年前に遠藤が設計上の問題点を指摘した、『一号艦』をベースにした大鳳型空母の一番艦『大鳳』と二番艦『白鳳』だった・・・。
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