最終話:帰還。

アルベルトがいたら、一悶着あったかもしれなかった。

結局ペルシャディーの活躍の場もなくエマを助け出すことができた。


一行は塔を後にした。


「さて・・・どうしたもんかな・・・」


すると門番のが声をかけてきた。


「用事はすんだのか?ペルシャディー」


「うん、終わったよ・・・探し物は見つかったしね」


「そうか・・・じゃあもう帰るのか」


「達者でね、アステリオス」


「ペルシャディーもな・・・今度会うときまでにいっぱいダジャレ考えとくから」


そう言ってミノタウロスは定位置に戻っていった。


エマに気遣いながら、リアムがため息をついて言った。


「さてと・・・シャランダルまで、また歩いて帰るのか?」


同じ道を帰ると思うとリアムは一気にやる気をなくしそうだった。

でもエマがいるから弱音は吐けないでいた。


「しかたがないね・・・少なくとも私とリアムとエマちゃんとエレンネルは

歩きね」


「大丈夫よ・・私、お母様に打診しておいたから」


エレンネルが得意そうに言った。


「打診って?」


「お母様がね、来た道を帰るのは大変だろうから、ペガサスを送ったから

それに乗って帰りなさいって」


「ぺ・ペガサス・・・まじで?」


ペガサスと聞いて俄然元気が出るリマムだった。


「それはありがたいね」


ペルシャディーも一気に元気が出た。


「え〜ペガサスなんて初めて見るよペルシャディー」

「ペガサスってヘリコーンの森に住んでるんだろ?」


「そうだね話では、そう聞くね・・・」


エレンネルが、うんちくを語り出した。


「話ではペガサスは文芸の神ムーサイ様がピーエロス様の娘たちと歌を

競ったとき、ムーサイ様の歌を聴いたヘリコーン山が異常に膨れ上がって

天界にも届きそうになってそれを見たペガサスがヘリコーン山を蹴って

元に戻したって話です」


「なんかスケールのデカい話だな」


リアムが感心した。


「その後もペガサスはヘリコーンの山裾の森に住み着いてるようです」

「私たちの足ではエヘリコーンまでは行けません」


「エレンネル、ヘリコーンってそんなに遠いとかヤバいところなの?」


リアムが続けた。


「ヘリコーンってのは空中に浮いてる島なんです」


「ジブリアニメの天空の城ラピュタみたいなもんか?」

「それは私は知りませんけど・・・」


「とにかく飛行船にでも乗って空を飛んでいかないと行けないんです」


すると一陣の風が吹いたと思ったら、


「さあ、帰りましょ・・・ピアスと私はお先に失礼しますね」


「え?アネモイさん?、いつの間に・・・」


「アルゴさんを船もろとも送って行ったあと、ここに戻って来てたんです」

「では、みなさん私はピアスと一緒に行きますね」

「お元気で、無事に、ご帰還なさってください」

「ピアス行きましょう」


「リマム知り合えてよかった、ペルシャディー楽しかったよ」


「ピアスこっちこそ君に出会えてよかった、いっぱい助けられたね」

「ありがとう」


「ピアス、アネモイふたりともありがとう、またいつか会いましょ」


「それじゃ〜ね、私たち行くね・・・ばいばい」


そう言ってピアスとアネモイは風とともに去って行った。


「なんだか苦労した旅の仲間がいなくなるのって寂しいよな」

「エマを救出できたのはみんなのおかげだな・・・人が体験できないことを

俺は体験したんだ・・・貴重な思い出になるよ・・・」


きっとリアムは自分では気づいてないけど、たくましく成長していた。


「そうだね、リマムにとっては感慨深いね」


「ペルシャディー、俺たちも帰ろう・・・」


「帰りましょ、って、私はこれからまた旅にでなきゃいけないけどね」


「ああ、そうか国王の頼みごとか?」


しばらく待っていると、エレンネルの言ったとこり空からペガサスが

舞い降りてきた。


リアムはエマと、ペルシャディーはエレンネルとペガサスに乗った。


「みんな、いい帰るよ!!」


ペルシャディーの声で、みんなを乗せたペガサスが空に羽ばたいた。


アルベルトの塔では、バトルも仕方ないとペルシャディーは覚悟してたが

結局戦うことな終わった。

フローズン・スターを使うこともなく・・・まあフローズン・スターが

完璧に使えるようになるまで、むやみに使わなくて正解かな。


「ペルシャディー、ありがとう・・・先の旅に一緒について行きたいけど

エマがいるから、俺はエマを連れて帰るよ・・・」


「じゃ〜ねリアム・・・元気でね」

「エマちゃんも元気で」


「ペルシャディーさんありがとう、このご恩は一生忘れません」


「いいの、いいの、リアムと幸せになるんだよ」


「はい、幸せになります」


そう言うとリアムとエマは途中からペガサスに乗ってシャランダル国へ

帰って行った。


ひとつの旅が終わって、ペルシャディーはエレンネルを送り届けてから

ロバの耳亭でビールをしこたまあおって、国王から頼まれたバカ息子を

探し出すためティグルを連れてペガサスに乗ってパルナッカス山麓へと

旅立って行った。


第1章完結・・・第2章につづく。

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彷徨のペルシャディー。〜ポンコツパーティーが行く〜 猫野 尻尾 @amanotenshi

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