第18話:エマ救出。

一行は塔の中に入った。

アルベルトに他の部下も全員、外に出てるとは思えない。

塔を守るため、数人は部下が残ってるだろことはペルシャディーにも想像がついた。

誰もない殺伐として廊下を進んでいくと、人の声が聞こえてきた。


「やっぱりアルベルトの部下がいるようね」

「あ〜あ、一戦交えないといけないのかな?」


「エマをおとなしく返して欲しいな」


リアムが心細そうに言った。


そのまま進んで行くと、賑やかしいさわぎ声が大きくなってきた。

ペルシャディー達が大広間にやって来ると、アルベルトの部下が大勢

集まって、パーティーを開いていた。

いわゆる飲み会だな。

暇があったらに飲んでばかりいるんだろう。


入り口にペルシャディーたちを発見した部下の一人が

大声で怒鳴った。


「なんだおまえら・・・なに勝手に入って来てんだよ」

「なにしに来た?」


「エマ!!・・・エマはいるか?」


リマムは酒の給仕をしている数人の女たちに声をかけた。

すると一人の女が振り向いて言った。


「リアム・・・ここ・・・ここよ」

「エマ・・・無事だったんだ・・・よかった」

「迎えに来たよ・・・帰ろう?」


「お〜っとそうはいかねえ・・ここにいる女どもはアルベルト様の

ものだからな・・・勝手な真似は許さねえ」


「痛い目に会いたくなかったら、おとなしく彼女を渡しなさい」

「引き渡してくれるなら、騒ぎは痴なさにから」


ペルシャディーはなるべく穏便にすまそうと思った。


「なんだ、チビ女・・・俺たちに指図するつもりか?」


「あなたがたの為を思って言ってるのよ」


「おまえらこそ、生きて帰りたかったらそのまま振り向いて帰れ!!」


「言っても無駄みたいね」


「おい、おまえら、この人を誰だと思ってるんだ」

「この人はアルモグロスの洞窟のドラゴンを一人で倒した超有名なペルシャディー

さんだぞ」


リアムが吹聴した。


それを聞いて、部下たちはざわめいた。

アルベルトの部下の中にも、ペルシャディーの噂は広まっているようだった。


「たぶんこれで決まりだね」


ピアスが言った。


「こんなところで「フローズン・スター」使ったら誰ひとりいなくなるからね」

「フローズン・スター」とは空間にブラックホールを作りだせる魔法。


「戦いになったらそっちに多大な犠牲が出るぞ」

「だからエマを返せ!!」


リアムはペリシャディーがいるので気が大きくなっていた。


アルベルトの部下たちも女ひとりに魏勢を払うわけにはいかないから

無抵抗でエマを返してくれた。


「エマ、おいで・・・帰ろう」


「リアム助けに来てくれたんだね、嬉しい・・・」

「怪我はないか?」


「大丈夫、手荒な真似はされなかったから」


「あんたら、ここから一歩も外に出てきたら、ただじゃ済まないから」

「追って来ないでよ・・・死ぬよ」


ペルシャディーは釘を刺した。

結局、ペルシャディー一行は魔法も使わず戦うこともなく

エマを救い出した。


つづく。


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