第14話:デルフォイへ。

ペルシャディー一行はようやく森を抜けた。

森を抜けたところから一本道が永遠続いていた。

そこをさらに進んでいくと小さな港町に出た。

船が何隻も止まっていて幾人かの人が港を往来していた。

どうやらそこは人間が住んでる街らしい。


「さ、海を渡るから・・・」

「幸いにも、私の目的パルナッカス山麓へ行くのも、オリバルドのアジトってオプスキュリテの塔も、大陸から離れたデルフォイ島の中にあるからね」


ペルシャディーが海を見ながら言った。


「エマ、生きてってくれよ、今すぐ助けに行くからな」


「この旅、けっこう時間喰ってるからね・・・生きてるかなあ」


「なんで、そう言う人の心を逆なでするようなこと言うんだよ」


「大丈夫だよ・・・オアリバルドは悪いやつだけどむやみに人を殺めたり

するやつじゃないあよ、ましてリアムの彼女に惚れて連れて行ったのなら

大事にされてるよ」


「そんな感情のこもってないセリフなんの励ましにもならんわい」

「くっそ〜ジェラシー燃える〜」


「ふたりとも時間の無駄ですよ」


エレンネルが呆れてそう言った。

バカコントをエレンネルに指摘されるふたりだった。


「それはそうと船で行くんだろ?」

「島まで行くのに渡船とかあるのか?・・・それとも船を雇うのか?」」


リアムが言った。


「デルフィまで渡船があるなんて聞いたことないから船を雇わないとね」


「デルフィとか交流があるのに、なんで敵船とかないんだろ?」


リアムの疑問はみんなも思っていた。


「島まで定期便をデルフィに送っても、途中でことごとく難破するらしいよ」


噂やニュースをよく知ってるピアスが言った。


「途中の海が荒れてるからかな?」


「そこんとこは、私もわからないけど、どっちにしても船を雇わないといけないね」


「しかも、みんなの船賃、どのくらいかかるか分からないから、タダ同然で島へ

行ってくれるお人好しを探さないと・・・」


ペルシャディーが面倒くさそうに言った。


「どうしたもんかな、タダ同然でで島まで行ってくれる人なんかいるか?」


今度はリアム。


「難しいでしょうね」


エレンネルは他人事みたいに言った。


「エレンネル、なにかで三人用の船とかに変えれないの?」


「私は生き物ならなんとかなりますけど、物を物に変えるのは無理です」


「ところでアネモイさんは、ついてきてるの?」


「いますよ・・・ずっとついてきてますよリアム」


「よかった・・・見えないからねアネモイさんは・・・」

「それよりどうするよ船」


「港で聞いてみましょ」


そう言ってペルシャディーはさっさと港に続く坂を降りて行った。


一行は港へ行って、船の掃除をしている人が何人かいたので、ペルシャディーは

一番近くの人に話しかけた。


「すいません」


「な、なんだ・・・なにか用か?」


「私はペルシャディーというものですが・・・失礼ですけどあなたは?」


「俺か?俺は漁師のアルゴだ・・・名前がアルゴ」


「アルゴさん、私たちいろいろ事情がありまして・・・」

「つかぬ事をお伺いしまふが、このあたりでデルフィまで船を出していただける

ような人はいませんか?」


「デルフィだって?・・・あんな恐ろしい島になんか行く奴は誰もいないよ」


「どうしても行きたいんですけど・・・」

「この船はあなたの船ですか?」


「そうだけど・・・俺に頼んでも無理だから」

「家に病気の母親がいるからな、看病しなきゃいけないから忙しくて無理だし」

「なんせ、デルフィへ行く途中の海は魔の海だから、誰も近寄らないんだ」

「この港じゃデルフィなんか行く物好きなやつは誰一人いないよ」


「そうですか・・・ここに来て行き詰まりまりか・・・」


ペルシャディーは思案した。


「私とアネモイは風に乗って島まで行けるけど・・・」


「ピアスとアネモイさんふたりだけ行っても、意味ないでしょ?」

「ここは全員で海を渡らないと・・・」


「あのさ、おじさん」


「なんだい?、お嬢ちゃん」


ピアスはアルゴに話しかけた。


「おじさんのお母さんって病気なの?」


「そうだけどね・・・病気ったって、ボケがひどくてな・・・」

「もう俺の顔も名前も分からなくなってるんだよ」

「放っておくとあちこち徘徊するからな・・・困ってるんだ」

「誰かついてないと・・・」


「あのさ、私がお母さんの病気、治してあげたらデルフィまで船出してくれる?」


「えっ?」


「男は怪訝そうな顔をした」


つづく。

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