第2話:国王の頼み。

名前が知れ渡ったペルシャディーはシュランダル王に招待されることになった。


宮廷内の魔法使いが彼らの使い魔を使ってペルシャディーの居場所を探り当てた。


国王の命令とあっては逆らうわけにもいかずペルシャディーは、しぶしぶ

シャランダル国に帰ることにした。


「お城まで歩かなきゃいけないんだよね」

「お師匠さんなら、なんかこう大鷲でも呼び出して背中に乗ってピュ〜って

飛んでったら簡単なのにな・・・あとはさペガサスとか呼べる魔法とか・・・」


いくら国王の呼び出しでも歩いて帰るのは億劫だったけど、しかたないので、

ぼっつらぼっつら歩いてたらティグルに注意された。


「そんなに遅く歩いてたらお城にたどり着くまでにおばあちゃんになるよ

ペルシャディー」


「分かってるけどね・・・瞬間移動とか空飛ぶ魔法でも覚えときゃよかった」

「まあ、歩くのは普段から慣れてるけどね」


ペルシャディーが面倒くさそうにぶつくさ言っていたら、お城から馬車の

お迎えがやってきた。


「ペルシャディー様、国王の申しつけによってお迎えにきました」


「あ〜よく来てくれたね、まじ助かった」


さっきまで死にそうにしていたペルシャディーたちまち元気になった。

馬車もそう早くはないが歩くよりはマシかな?


国王との謁見を許されたペルシャディーは大きな城の中を珍しそうに眺めていた。


「ペルシャディー久しぶりだのう・・・そなたが幼い頃、ウッドガルドの

腰巾着みたいにくっついておったのをよく覚えておるぞ・・・」


「お久しぶりでございます、国王様・・・・」


「ウッドガルドは?息災か?」


「師匠はとっととひとり放浪の旅にでました・・・探すなと言うことなので

行方は分かりません・・・探すつもりもありませんけど」

「あ、師匠の言いつけは守りませんと・・・」


「そうか、ウッドガルドらしいわ・・・相変わらず自由気ままなやつよのう」


「ところでそなたの活躍は国中に響き渡っておるぞ」

「この国の名もそなたのおかげで有名になったものよ」

「シュランダル国には、若いが最強の魔法使いがいるとずいぶんな評判になって

おるわ」

「わしも鼻が高い」


(みんな私のこと、かいかぶってるんだよ・・・)


「察するに、そなたの魔法の実力はこの宮廷内の魔法使いよりはるかに実力が

上と言うことのようだのう」

「若いのにあなどれん・・・よく修行したものよ」

「まあ師匠が師匠だからのう・・・そなたにも天賦の才があったのであろう」


(勝手にべらべらしゃべっちゃって・・・)


「恐れ入ります・・・」


「そこでだ・・・そなたに、ちと頼みがあっての?・・・聞いてくれるか?」


「なんなりと・・・」


(めんどくせ〜)


「ワシには息子がふたりおっての、長男は世継と決まっておるんだが、

次男のほうは蚊帳の外ゆえ、甘やかして育てたせいか自由奔放でわがまま

ちょっと困った息子での・・・」


「直接はおふたりとお話ししたことはありませんがお姿は幾度もお見かけ

しております」


「そうか、ふたりの顔を知っていてくれているのは好都合だ」

「ゆえに次男には多少手こずらされておるような状況で、その不肖のバカ息子が

城を勝手に出て行きおっての」


「しかも宮廷に仕えておった「アルシャダン」と言う若い魔法使いとなにやら

よからぬことを企んでいるようなのじゃ」


「最初は息子の行き先を探し出して宮廷の魔法使いを息子の元にやったが

返り討ちにあったり、怪我をおって帰ってきたりと結局誰も息子を連れ帰る

ことができなんだ・・・」


「向こうにいるアルシャダンは、若いわりにそなた同様天才的魔法の使い手。

強いのはたしか。

やつが息子のそばに付いておる限りおいそれとは連れ戻せそうになく困って

おったのだ」


「そこでだ、できれば、そなたに様子を見に行ってもらいたい」

「息子がなにを企んでいるのか、もしそれが国をも脅かすようなことであるなら

阻止してほしい・・・場合によっては謀反と言うこともありうるからの」


「そのことで万がいちにも息子の命を絶つようなことになってもだ」

「どうかのう・・・やってもらえるか?」


(やだね)


「畏まりました・・・ご要望にお応えできるかどうかは分かりませんが」

「私でお役に立てるなら、かならず王子様を連れ戻して参ります」


(よく言うわ、私)


「おお、そうか・・・それは心強い」

「ではしかと頼んだぞペルシャディー」


ペルシャディーは国王の計らいでシュランダル国の最高クラスの魔法使いに

任命された。

いわゆる今で言うから国家試験に合格したようなもの。


誰からも尊敬される押しも押されぬ高貴な魔法使いになった。

このことは国中に伝令が伝えられた。


その証の首飾りがペルシャディーの首から下がっていた。

ペルシャディーにとっては勘違いされて迷惑な話だが、くれるって

言うんだから貰っとけば今後の旅に役立つと思った。


その首飾りがあれば、敵対国以外は全地域通れない国はなかった。


この首飾りも宝の持ち腐れにならなきゃいいけどね。


ペルシャディーは大袈裟なことになったと、これから向かうであろう空を

眺めながら、肩を落としてため息をついた。


「覚悟きめなくちゃね・・・国王の頼みじゃ断れないし・・・」

「ちゃっと有名になっちゃうとこれだから・・・」


そういうわけで、ペルシャディーはティグルを連れてバカ王子を連れ戻す

使命を負ってまた旅立っていった。


つづく。


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