不能

第49話

「シメイくん、シメイくんてばっ!」

あ、まあちゃん。あれ?まだ生きてんのか?ちんこは?もぞもぞ、ある。なんだか細くて軽いけど、ある。瞬間、まあに抱きついて泣いた。

「どうしたの?死んだように眠ってたかと思えば…。怖い夢でも見たんでちゅか?」

夢の内容は言えなかった。

「わたしも嫌な夢見たよ。元彼とシて、何度もイッちゃったの」瞬間フル勃起。まあの口をキスで塞いで強引に。まあも夢のせいかむしろぶつかってくる。


あれ?


勃たない。挿れようとすると、だらん。

何度も繰り返し「まあちゃん、ごめん。砂が気になって」

まあは信じてない顔しながら、「うん、シャワーしてからまたね」


それからシマネに行って、シジミ汁と鮒の子まぶりに舌鼓、良い酒飲んで良いムード、ラブホに泊まってもダメだった。

「あれ?おかしいな。僕のたったひとつの取り柄が、」半べそかきながら謝る僕を優しく抱きしめて「わたし、なくても大丈夫だよ。すき。それに、シメイくん他にいっぱいいいトコあるよ!」と励ますまあ。


いつかどこかで、誰かに言われた台詞そのままだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る