第36話
翌朝僕らは地図とにらめっこしながら、いよいよ外へ向かうルートを組んだ。
「わたしたちフクシマより北行った事ないでしょ?だから、タイヘイヨウ側からセンダイ抜けてアオモリで折り返して南下するのはどうかしら?」「わたしたち?でも僕と元妻もそうだったよ。はじめましてセンダイだね!」「あら、うっかり、ごめんね」
テレッテッテレ
はじめまして センダイ(センダイ)
あなたの住む街
テレッテッテレ
はじめまして センダイ(センダイ)
わたしのお家族
センダイ(センダイ)センダイ(センダイ)
はじめまして よろしく
僕が上機嫌に歌い出すと、まあは吹き出して「ヘンなうたー。昔の歌なの?」
それからふたりで歌いながら、いざセンダイへ。
コーラス担当のまあがすっかり上達した頃。
「ねえ、まあちゃん?僕は前に言った通り身体は若いけどまあちゃんと同い年のジジイなんだ。若い女に興味はない。いや、元妻以外にはまあちゃん以外は嫌なんだ。確かにもともとセックス依存の気があったうえこの若い身体は大変だけど、まあちゃんが受け止めてくれるじゃないか。昨夜みたいなのは、わたしはホントは付き合い切れないから他所でヤッて来て、みたいに聞こえて嫌だよ。もしそうならストレートに言ってくれたらそうするよ。どうなの?」
初めてのちょっとした口論だった。
まあはただ僕にほおを擦り寄せて、「おヒゲ痛い」とだけ言って黙った。
女はずるいや。
それでも当面楽しい事だけを考える事にして、僕らは外へとゆっくり走った。
まあの元彼に引き渡す為に。
それでもなるべく一緒に居る為に。
何故だか涙が出た。
そのまま僕の左肩で居眠りするまあに見られなくて良かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます