第8話

言われて見れば、普通の若者?みたいけど表情も声も、言い回しも仕草もいちいちどこか気に障る感じはヒロシをおいて他にない。

「ホラ、若い頃はフサフサだろ?なんせ500年時を遡るには30年掛かってね。その間にハゲたんだよ。原理はわからんがどうやら未来へ行くには肉体は同じだけ若返るらしい。それでオレは元通り。あんなじじいになるなんて、正直ショックだったよ。○○君も若返ったじゃないか。なかなかの美男子だ」

すべて合点がいった。このヒロシの嫌な感じは性格かもしれない。けど、長く孤独な時間旅行の間に間違った僕の時代の知識を詰め込んだんだろう。当時のネット掘り起こしたりして。

それであんなにおかしな情報を頑なに信じて自分の非を認めないハゲた井上陽水みたいになったんだ。

だって今、目の前に映ってる姿はまるで若い頃の陽水じゃないか。

「仕事の面接みたいな感じなんだけど、○○くん連れてかなきゃならないとこあるから、これから迎えに行くよ。出られる準備しといて。積もる話はまたそこで」

一方的に言って通信は切れた。

とりあえず歯を磨いて服を探す。

パンツ一丁だったから。あ、れ?

半パンばかりで他の服が無いぞ。

そうか、女が当たり前に乳ぶらぶらさせて歩いてる社会、男も半裸なんだ。

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