第3話

あまりの興奮にすぐに果て、後始末しながら考えた。

「あれ?でもおかしいぞ。ここはどこなんだろう?」

目覚めて一通りの生理現象が射精により一段落すると、うんこしたくなった。

どうもワンルームだ。ユニットバスの便座に腰掛ける。見知らぬそこは、まるで昨日までの続きみたいにトイレットペーパーの端をだらしなく垂らしていた。

少なくともここは僕が暮らしていた山里ではない。

妙に暖かい、いや、暑いくらいだ。

尻を拭いて立ち上がり、流そうと振り向き、それとなく顔を上げて驚いた。

確かに僕だ。けれど、若い。20代半ばくらいか?思考回路は昨日までと変わらない。

糞を流すのも忘れて飛び出す。

音がする。スマホみたいなのが光ってる。

それが止むまでやり過ごした。とりあえずは状況把握だ。部屋の中、特にスマホみたいなものにヒントがあるだろうし、なんとなくうっすらわかってる感じもあるから今日一日でしっかり思い出そう。

外に出るのはそれからだ。

何より夢かもしれない。昨日までとは断絶してる筈なのに、地続きなような妙な違和感がある。

夢なら何しても良い気もするけど、万が一そうじゃなかった場合。

さっきの射精や糞には、妙にリアリティーがあったし。

昨夜酔ってなんかおイタしてどっかの街に居るのかもしれない。ここは女の部屋で、部屋の主は起きない僕を置いて仕事行ってるとか。

だとしたら夜には帰ってくるだろう。

さっき鏡に映った僕は幻覚かもしれない。

あ、そういえば糞流してないや。ついでに良く確認してみよう。恐る恐るドアを開け、今度は最初から鏡を見た。

やっぱり鏡の中の僕は、肌艶の良い若い僕だった。

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